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飛行機でのエピソード#3 不思議な機内アナウンス

 機内のアナウンスは、普段はいつもと同じ定型です。特にトラブルが無ければ、離陸前には以下のようなアナウンスが聞こえてきます。

 「皆さま、本日は○○航空123便、沖縄行をご利用下さいましてありがとうございます。この便の機長は山田太郎、私は客室を担当いたします鈴木花子でございます。まもなく出発いたします。シートベルトを腰の低い位置でしっかりとお締めください。那覇空港までの飛行時間は2時間30分を予定しております。ご利用の際は、お気軽に乗務員に声をおかけください。それでは、空の旅をごゆっくりおくつろぎ下さい」

 離着陸が多い混雑した空港では、離陸待ちもしょっちゅうです。また何らかのトラブルで滑走路が一時閉鎖された場合などは、再開後の離陸が混み混みです。「ただいま当機は離陸の順番を待っています。当機の順番は9番目でございます」と言うアナウンスを聞いたこともありました。

 また、搭乗手続きを済ませたのに、まだ飛行機に乗っていない客がいると、その最後の客を待つ場合があります。その時には、「ただいま最後のお客様をお待ちしています。もうしばらくお待ちください」とアナウンスがあります。私は1回だけ、空港にギリギリについて出発直前に機内に乗り込んだことがありました。私は聞いていませんが、私が乗り込む前には、たぶんこんなアナウンスが流れていただろうと想像します。

 一度だけ、不思議なアナウンスを聞いたことがありました。例のように、最後のお客が乗り込まないようで、飛行機のドアが中々閉じません。出発時間は5分くらい過ぎていましたが、まだお客が乗る気配がありません。CAさんがマイクを持って話し始めました。「どうせ、最後のお客を待っているんだろうなぁ」と心の中で思っていましたが、CAさんが予想外のアナウンスをしました。「先程までお客様をお待ちしていましたが、当機はお客様をお待ちしないことにしました」

 えっ・・・、待たないの?。その後、何事もなかったかのようにドアが閉じられ、飛行機はゆっくりと滑走路に向かいました。

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