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エビデンスはありますか? 正直村の正直な言語

 論破ブームだそうです。個人的には、論破されるのは嫌ですし、論破しても後味が悪いので、このブームには乗れません。論破で重要なキーワードがエビデンスです。

 エビデンスとは、証拠・根拠などを意味する "evidence" という英単語に由来する”外来の日本語”です。普段の会話でも使われることが増えていて、「その発言のエビデンスを示して下さい」や、「その仮説にエビデンスはありますか?」などのように使います。このマジックワードは、自身を頭良さそうに見せますし、”論破のためには”とっても重要な言葉です。

 人間は自分に都合のよい嘘をつきますし、”嘘をつく能力”や”嘘を信じられる能力”がホモサピエンス(人類)を発展させたとする仮説もあります。しかし、ペルーには”リアル正直村”があって、そこの住人は”証拠がある正しいこと”を言語の基本にしています。

 ペルーのヌエボ・サン・フアに住むマツェの人々は、”話している時点の正しい情報のやり取り”に注意を払います。例えば、「何個のリンゴを持っていますか?」と尋ねられた場合、マツェの人は「かごの中にあったリンゴを最後に見たときは4つあった」と答えます。直接にりんごを見ることができない限り、りんごの個数を答えた人がいくら確信を持っていても”証拠がない”だとか”りんごが盗まれる”という可能性もあるので、『りんごの個数が正確ではない』ということが正しいこと、とマツェ語を話す人々には認識されます。

 マツェの人々は、”話す内容が正しいか”、”どれぐらい真実であるか”、”情報はいつのものか”、などの証拠を要求します。そんなわけで、マツェ語を話す人々には風説(噂話)・神話・歴史を示す方法がありません。歴史などを伝える場合には、”過去に推測された情報”として、話しているそうです。この場所では、TVのワイドショーは成立しませんし、マツェの人々は本当の話しかしませんから、論破は極めて難しいと思われます。

 唐突ですが問題です。嘘つき村の村民は100%嘘をつき、正直村の村民は100%本当のことしか話しません。嘘つき村と正直村の分岐路に1人の住民が立っています。あなたは正直村に行こうとしていますが、この住民が嘘つき村の人か正直村の人かもわかりません。1回だけ質問できるとしたら、どんな質問をしますか?。

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 よくあるクイズですが、答えは「あなたの村はどっちですか?」という質問です。わかりましたか?。

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