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自分マガジン お薦め本

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私が読んで面白かった本を紹介します。ジャンルは様々です。世間に余り知られていないであろうマイナー本から、メジャーな本まであります。
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2021年7月の記事一覧

お薦めマイナー本#7 日高山伏物語

 今回紹介するのは、児童文学にカテゴライズされる『日高山伏物語』です。日高山伏物語は、動物を主人公にした児童文学で有名な椋 鳩十(むく はとじゅう)の作品です。  椋鳩十は鹿児島出身の元・教員で、鹿児島県立図書館長も務めたことのある作家です。私も小学生の頃に、この本を含めて何冊か読んだことがありました。ただし、この日高山伏物語は、椋鳩十の中でも異色な作品です。  日高山伏というので、日高地方の山伏の話かと思ったら、作者の出身地である鹿児島のお話でした。また、山伏を長い間”

お薦めマイナー本#6 ガリバー旅行記

 ガリバーと小人の国の話は、絵本になったりもしているので有名です。しかし、『ガリバー旅行記』を風刺小説としてきちんと読んだ人は少ないと思います。私は大学生の頃にこの本を読んで、断片的ではないガリバー旅行記を知りました。  『ガリヴァー旅行記』は、アイルランドの風刺作家ジョナサン・スウィフトにより、執筆された風刺小説です。正式な題名はとても長くて、『船医から始まり後に複数の船の船長となったレミュエル・ガリヴァーによる、世界の諸僻地への旅行記四篇』です。この長いタイトルからもわ

お薦めマイナー本#5 ほら吹き男爵の冒険

 『ほら吹き男爵の冒険』は、実在の18世紀のプロイセン貴族・ミュンヒハウゼン男爵が語ったとされる奇想天外な物語を集めたものです。この物語の主人公”ミュンヒハウゼン男爵”ことカール・フリードリヒ・ヒエロニュムスは、現・ドイツの実在の人物です。最初の本は18世紀に書かれましたが、19世紀に数多くの作家たちによって加筆され、さまざまな言語に翻訳されたため、物語には100以上のバリエーションが存在します。映画化もされているので、欧米ではメジャーな読み物ですが、日本ではあまり知られてい

お薦めマイナー本#4 黒後家蜘蛛の会

 この本『黒後家蜘蛛の会』をマイナー本に分類したら、アシモフのファンやミステリーファンに怒られるかもしれません。しかし、一般的にはあまり知られていないと思うので、怒られるのを覚悟で”マイナー本”として紹介します。  アイザック・アシモフ(Isaac Asimov)は、その著作が500冊以上を数えるアメリカ合衆国の超有名作家です。アシモフが扱うテーマは科学・言語・歴史・聖書など多岐に亘っていますが、特にSFが有名です。アシモフは、アーサー・C・クラーク、ロバート・A・ハインラ

お薦めマイナー本#3 三日月とクロワッサン

 今回は、理系の人には”爆笑必至”のエッセイ集『三日月とクロワッサン』を紹介します。タイトルは女性を意識したようなオシャレな響きがありますが、騙されてはいけません。この本はガチで理系な主に男子にお薦めです。といっても、難しい内容ではないので、誰でも気楽に読めます。  筆者の須藤靖さんは、何と東大大学院理学系の教授で、専門は宇宙物理学です。たぶん(?)その道の大家で、ダークマターの存在などを研究しているそうです。この本は東大出版会というお堅いところが出している『UP(ユーピー

お薦めマイナー本#2 解読 古代文字

 前回は少し”お色気”に走ったので、今回は純粋に真面目な”古代文字”の話です。古代文字は、昔は使われていたのに、何らかの理由で使われなくなった文字のことです。世界史を習っていれば、楔形文字やヒエログリフは知っていると思います。  楔形文字は、メソポタミア文明で使用されていた古代文字です。ちなみに、メソは”中間の”を表し、ポタミアは”河(川)”を表します。この文明は、チグリス川とユーフラテス川の間の地域で栄えた古代文明なので、メソポタミア文明と呼ばれています。楔形文字の筆記に

お薦めマイナー本#1 日本女地図

 写真の殿山 泰司さんは、すでに平成元年にご逝去されているので、若い人は全く知らないと思いますが、癖の強い昭和の名脇役でした。"名脇役"というのはソフトな表現ですが、実際は”因業爺”や”エロ爺”の役が多かったと思います。戦後の日本映画に数多く出演されているので、古い映画が好きな人なら、顔ぐらいは見たことがあるかもしれません。殿山さんは、その破天荒で波乱万丈な人生でも有名でした。私は見たことはありませんが、殿山さんの生涯が映画化されているそうです。  殿山さんは、ジャズとミス