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入院体験記。突然やってくる事態をどう受け入れるか?

今年6月、7泊8日の入院を経験した。病名は「腹膜炎」である。幸い点滴を中心に手術をすることは無かったが、同じ病室にいた患者さん達が数日で退院されたのに比べれば、割と長く入院していたようである。

僕の場合、今年3月の健康診断でほぼオールAだったり、過去の内視鏡検査も特に問題なかったりで、入院はまさに青天の霹靂であった。

一方、世の中視点で見れば、ビジネスパーソンの5人に1人が「過去10年以内に入院経験あり」というデータがあるように、我々にとって「入院」という存在が遠いとは言い難いようである。

ということで、今回は入院体験記を書いてみたいと思う。余計なお節介ではあるが、万が一、皆様に突然降りかかってきても、これを読んでいただければ、多少は安心感を持って入院いただけるような内容にできればと思う。

※N=1の情報のため、すべての病院が以下のとおりとは限らない旨、予めご認識の上でご一読ください


入院に至る経緯

入院2日前(木曜)の昼から腹部に痛みを感じ始める。夜になると歩くのも辛いほどの痛みではあったが、普通に眠ることができていた。

ところが、金曜そして土曜朝になっても痛みが全く改善しない。痛みの場所が右下腹部ということに気づき、ネットで調べてみると、虫垂炎か憩室炎かもしれないという感じが分かってきた。

ということで、土曜午前10時に自宅近くの診療所(消化器内科)を受診した。
今考えれば、痛みの場所が明確だったこともあり、内科ではなく消化器内科を選んだのはGood Jobだったと思う(妻のおかげ)。

先生:「痛みは盲腸より少し上なので憩室炎かもしれません。念のためCTを撮ってきてくれますか?

「えっCT!?」とは思ったものの、診察を受けて1時間後に隣駅の病院でCTスキャンの予約を取ることができた。CTは人生初の経験であるが、痛みなどは全くなく一瞬で終わった。そして、検査から1時間後に検査結果を出していただき、最初に受診した病院へ戻る。

先生:「憩室炎で間違いは無さそうですが、憩室の穴が空いてるかもしれません。大きな病院で検査を受けた方が良いですね…」

(僕:「マジか!?」)
すでに夕方5時をまわっており、いつもであれば晩御飯の準備をしようというタイミングである。とはいえ、穴が空いているのに帰るわけにもいかず、近くの総合病院で予約がすぐに取れたので歩いて移動することにした。

そして総合病院の消化器外科へ行く。土日だからか、まさに救命病棟24時という感じで、私の隣には転んで頭を打ったご高齢の方がいて、普段味わえない緊張感からか、私の血圧はいつもより高めの数字を出していた。

病院に着いた時点で、僕はかなり脱水していたらしく(なぜなら胃腸炎の鉄則に倣い、僕は木曜午後からほぼ食べていなかったから)、看護師さんは細くなってしまった僕の血管に睨みをきかせ、必死になって刺せる血管を探していた。

診察は触診、血液検査、エコー、造影剤入りのCTスキャン(点滴から注入。一瞬体が熱くなる)、レントゲンという流れであり、1時間ちょっとで終わった。

さて、診断の結果。
先生:「血液検査の結果、強い炎症が見られます。標準値が0.3未満のところ25(80倍)を示している。また、CTを見ると大腸の憩室から穴が空き、腹膜が化膿していることが分かります。外来でどうこうできるレベルでは無いので、このまま入院です。相当我慢強いんでしょうね。普通は寝込んで動けないはずです。なので、退院まで1-2週間は点滴そして飲み薬の治療が必要になります」

全くの予想外…。僕は自宅に帰ることなく入院することになったのだ。

入院が決まり、先生から妻に連絡を入れていただいた。実は、妻が息子を産んだ病院であり、院内にコンビニがあることは分かっていたので(その日は既に閉店)、買い物は明日にしようと決め、今日はスマホの電池が切れない程度に、妻とコミュニケーションを取ってから眠った。

入院生活のMust to have

あくまでアラフォー男性という目線ではあるが、入院生活での最低限の必需品を考えた結果、以下にたどり着いた。そして、有り難いことにいずれも病院内で入手できるものばかりであった。

・パジャマとタオル(有料だが、病院から毎日支給される。手術患者が多いからか、病棟の温度は高めに設定されていて、パンツの替えされあれば、服装はこれで十分だった)
・パンツ(コンビニで紙パンツが売っていた)
・歯ブラシ、コップ、シャンプー、ボディソープ(コンビニで「入院セット」として売っていた)
・スマホの充電器(コンビニで売っていた)
・マスク(病棟内は必須。コンビニで売っていた)
・洗剤(病棟内にコインランドリーがあり、コンビニに洗剤が売っていた)
・ティッシュ(コンビニに当然あるが、横着者の僕はコンビニで売っていたビオレの汗拭きシートを代用していた)

僕自身は24時間点滴につながれた状態だったが、幸い歩くことができたので、病院内のコンビニに行けば、入院生活はほぼ困らなかった。また、コンビニなので、電子マネーで決済でき現金も不要だった。今回の入院で現金を使ったのは、コインランドリー利用料の300円のみだったと思う。

入院生活のNice to have

とは言え、妻には無理の無い範囲で色々持ってきてもらった。

・PCと電源(ベッドにテレビは備え付きだったが、見たいものだけ見たかったため)
・クロックス(いちいち靴を履くのが面倒なので、サンダルはオススメ)
・パンツ(紙パンツでも良いのだが、病棟内が暑くて汗をかくため、日常使いの下着の方が快適)
・電動ひげそり(点滴が邪魔だったので、剃刀を使うのは不便)
・イヤホン(Youtubeなどネット動画視聴に不可欠。あと、備え付きのテレビを見る人も不可欠)
・書籍(基本はKindleなのだが、そのタイミングでどうしても読みたい紙媒体があった)

僕は短髪なので不要だが、ドライヤーは看護師さんが「貸しましょうか?」と言っていただいたので、借りなくても済みそうである。とは言え、入院中にドライヤーの音は一切聞こえなかった。アラフォーの僕は院内で圧倒的に若者の部類に入るため、もっと短髪の方が多かったからかもしれない。

また、もし大部屋を選ぶ場合、音に敏感な方は耳栓があっても良いかもしれない。僕は全く気にしないが、いびきをかかれる、痛みで唸っている方々が同じ部屋にいらっしゃったので。

あとは、部屋が本当に暑かったので、充電式の扇風機やうちわ等もあって良いかもしれない。とはいえ、看護師さんに頼めば、部屋の温度を下げてくれるのだが、手術患者用に温度を高めにしているという事実を聞いて、逆に頼みにくくなってしまった(汗)

その他、もしコンセントが少なければ、電源タップ(たこ足配線)があっても良いかもしれない。また、(医者の許可次第だが)ふりかけ等もあっても良い。おかゆが続く人は確実に味変したくなるからだ。

多くは院内のコンビニで揃っていたので、大きな総合病院であれば、暇か否かはさておき、手ぶらでも何とかなりそうというのが個人的な感想だ。

入院病棟の設備・雰囲気

入院直前に「個室は1泊約3万円」と言われたこともあり、僕は即座に「大部屋でお願いします!」と回答した。

大部屋は4人1部屋であったが、各人のベッドの周りがカーテンで仕切られており、顔を合わす機会は全くない。同じ部屋に共同のトイレや洗面台、シャワー室もあるが、皆さん、聞き耳を立てて空気を読んでいたんだと思う。本当に顔を合わせることは無かった。

また、各人のベッドから手の届く範囲で、テレビ、冷蔵庫、棚、コンセントがあるのも快適だったし、無料wifiがあるのもとても便利だった。僕は使わなかったが、テレビも500分1000円で見ることができるようである。

そして、病室内での会話はNGだったが、面会スペースが同じフロアにあり、家族とビデオ通話ができたのも有り難かったし、前述のとおり、コインランドリーも各フロアにあるため、入院前に着ていた服や入院後の下着の洗濯もできて、不都合は特に無かった。

ちなみに、患者さんの中で仕事をしているという人は全く見かけなかった。年配の方が多いということもあったし、計画入院で割と短期間で退院される方が多いので、流石に働こうという意思は無いのかもしれない。また、堂々とオンライン会議をやれる雰囲気は入院病棟内に無かったかと思う。

1日の生活サイクル

消灯は22時、朝は6時を過ぎると部屋の電気がつく。

どんな患者さんでも共通しているのは、体温、酸素飽和度、血圧の測定であり、これが1日3回やってくる。

そして、食事は1日3回である。

ちなみに、僕は腹膜炎ということで絶食期間が長く、丸1週間点滴が不可欠だったので、点滴は寝る時も当然外せなかった。「針を刺したまま寝るんかい!?」と不安に思っていたが、結論、めちゃくちゃ杞憂だった。

お分かりいただけただろうか?つまり、針ではないのだ。この事実を早々に知ったので、夜も割とぐっすり眠れたと思う。

また、点滴をつけっぱなしではあったが、シャワーに入りたい場合は看護師さんに言えば、点滴箇所を濡れないように処置していただけて、毎日シャワーを浴びることが出来たので、汗臭いという事態は避けられたはずである。

とはいえ、腕に異物が入っている感は残るし、点滴が漏れて腕が腫れたこともあれば、点滴の刺し直しを何回もやったこともあった。なので、点滴を外して良いと言われた瞬間が入院生活で一番嬉しかった

まとめると、医師や看護師さんが定期的に部屋に来ていただいたり、採血やレントゲンが定期的にあったりするので、自由とは言い難いが、1日24時間の多くは好き勝手にできる環境ではあった。

一方、同部屋の僕以外の患者さん(入れ替え含めて計5名)はいずれも手術で入院されており、入浴やトイレ、歩行そのものに制限がかかっている方もいらっしゃったので、時間の流れはケースバイケースであることはご認識いただきたいが、総じて入院→手術→退院まで3, 4日で回転率がとても高い。また、手術当日は痛みでめちゃくちゃ辛そうにしていた方も2日後には普通にシャワーに入っていたのはびっくりしたし、傷に対する医療技術の進歩ということなのかもしれない。

支出面で気を付けること

僕の場合は対象外だったが、入院保険に入っているかは早めに確認した方が良い。(僕の場合、ガン保険のみであった)

では、「保険に入っていなければ打つ手が無いか」と言われたら、僕が加入する生命保険のご担当の方に「高額療養費制度」の存在を教えていただいた。

この制度は、「医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度」だそうである。

出所:上記厚労省のサイトから拝借

結果として、上記金額に収まる範囲の請求金額だったのだが、だいぶ痛い出費であったことは言うまでもない…涙
(保険契約の見直しを行う良い機会にはなったが)

今回の学び

最後に今回の学びを4つの切り口でまとめてみたい。

①体調

残念ながら、僕自身は今後も再発の可能性があるということで、腸内環境を良くすべく、ストレスを溜めない、アルコールなど刺激物を摂りすぎない、便通を良くするの3点を肝に銘じて生きていこうと思う。あと、我慢強さを評価され、そして怒られたわけだが、痛みがあれば、今後はすぐに病院へ行こうと思う(当たり前だろ!)。

余談だが、同部屋の皆さんは僕を除いて、手術の前後関係なく高血圧が共通点だった(苦笑)。患者さんの病気との因果関係は不明だが、高血圧にはならないよう気をつけて生きていきたいと思う。

また、僕自身、ショートスリーパーであることが良く分かった。病室内で誰よりも遅くまで起きて、そして誰よりも早く起きていた。それでも眠くないし辛くも無いのだが、疲れが溜まりやすいのかもしれない。

それにしても、病院関係者の皆様の的確かつ迅速な仕事ぶりには頭が上がらない。皆さん処理能力が高すぎる。関係者の皆様のご負担を少しでも軽くできるよう、僕自身は健康維持に努めようと思った次第である。

②家庭

妻の獅子奮迅の活躍により、3歳児とのワンオペ生活が1週間も成立したことには感謝、感謝で一杯なわけだが、一方で、今まで遠慮していた出張ができそうな感覚を掴めたので、共働きの夫婦そろって、働き方の自由度を上げていける手応えを感じた。それにしても、本当にありがとうmm

③利便性

やっぱり都会は便利だ。消化器内科の診療所が自宅からすぐ近くにあり、一駅隣でCTを受けられ、そして、個人病院と同じ駅、つまり自宅近くに総合病院があったわけである。総合病院は紹介状が無いと診療に至るまで時間がかかることを考えても、かなりスムーズに入院できたのではないかと思う。大きな病気ほど一瞬が命取りになるので、やっぱり都会が良いかもと再考させられる良い機会になった。(僕は人込みや満員電車がとにかく苦手なのだが…)

④心境変化

仕事、家事、育児で日常が手一杯だったので、ある程度の自由を得た今回はたっぷり勉強しようと意気込んだものの、結局はいつもと大して変わらない時間の使い方で終わってしまった。つまり、本気でやりたいことがプライベートであるわけでもなく、時間が無いことを言い訳にイライラしがちの毎日だったという事実が浮き彫りになったわけである。本当に情けない話ではあるが、今目の前にある日々の生活をもっと大事に、そして楽しんでいこうという大切な気付きを得たわけである。これからの日常にとてもワクワクしている。

ということで、解像度を高めに入院記録を振り返ってみたが、皆さんいかがでしたでしょうか?
皆さん、健康第一で過ごしましょうねー

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