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今日は男性に声を掛けられました。【日記】

今日は終電で会社帰りに駅に向かって走っていました。

すると後ろから男性がついてきました。

駅の改札前で声をかけられました。

「すいません」

「すいません、JRですか?」

私は、「終電なので急いでいます。」と伝えました。

なんとか終電に間に合う時間にホームに着いてちょうど良い位置を探していたら、先程声をかけてきた男性が「終電間に合いましたか」と言ってきました。

私は「おかげさまで」と伝えました。

どこに帰るのですかと聞いてきたので地元の駅をあえて伝えました。

そうすると男性は「逆方向ですよ」と言ったで本当に間違っているのではないかと思い、反対側の案内板を見て間違っていないことを確認したのちに私は「ここであってます」と伝えました。

男性は少し残念そうな顔をしました。ほんのわずかな間にそのルートが正しいと気が付いたらしく目が虚になりました。

どうしようかと思い少し考えてからその男性を観察しました。

よく見ると年齢は40代ぐらい服は汚れていて、マスクは綺麗な物をつけていました。

どうしても話しそうにしていたので、私はこの男性を会話をしようと決めました。

男性は目は虚で疲れ切った姿だったのと、どこかで会った人かもしれないと思い、念のため「どこかでお会いしましたか」と聞きました。

「以前に私とお会いしたことはありますか」

男性は「ありません」と答えてきました。

「どうして私に声をかけてきたんですか」

「話を聞いてもらいたくて」

「自分、最近血尿の持病があるんですよ」

「それは大変だ、私は医者じゃないですけど」

男性は少し興奮して

「医者に言えばいいことは知っているんですよ」

しばらく男性は支離滅裂な話しをしていました。

「自分が弱いせいで後輩がいなくなった」

「私は後輩を潰しました。」

私は「そうですか寂しいですね」

男性は「私のせいなんです」

私は「なるほど」

男性は「このまま私と話をしませんか」と私に伝えてきました。

私は「今この時だけでお願いします」

と言ったところで終電が来ました。

私はてっきりそこで話は終わり諦めて私を見送ってくれるかと思ったのですが、男性はよほど私と話をしたかったらしく一緒に電車に乗りました。

正直驚きましたが

まぁ当たり前といてば当たり前ですよね。

男性には何か考えがあったのかもしれません。

男性は素早く座席を確保しました。

私は優先席の車両ドアと近くに座ったので、そのすぐ傍にたちこう宣言しました。

「私は次の駅でおります、この短い時間の間ではありますがあなたの話を聞かせてもらいます。」

男性はリュック型のボロボロの鞄一部切れているからペットボトルを取り出し1杯飲みました。

男性はボソボソと話すので何を言っているか理解できませんでしたが、(もしかしたら金をよこせと言っていたのかもしれません)その男性が息継ぎをするたびに私は相槌をして彼の話を続けさせました。

そして、駅に着く少し前に私は男性に告げました。

「またお会いすることがあればお話をお聞きすることもあると思います。」

男性はもはや私のことは目に入らないくらい自分の世界に行ってしまった虚な目をしていました。

彼は目的を果たせたかはわかりません。

多分、目が虚なところを見ると目的は失敗したのかもしれません。

私は今日は話をしてくれたこと、更にさよならの意味を含めてその男性に「ありがとう」と伝えました。

そして電車を降りました、男性の目は虚なままでした。

同情を引こうとしていたのか、お金が欲しかったのかなど色々考えましたが、男性にとって私と話をしてなんのメリットがあったのだろうと考えました。

私はただ単に彼の話を聞いて相槌を打つだけ、私の住んでいる駅を聞いてきたのでそのうち駅の前に現れて私の家についてくるかもしれません、そうなったらその時は一緒に交番なり警察に行こうと思っています。

もしかしたら彼を探している家族がいるかもしれません。

身なりは汚く目は虚、滑舌は同年代の社員と比べ悪く小太りで服は擦り切れ、時計は身につけている時計は水を吸っていて盤面は見えないものを身につけていました。

彼の着ている服は汚れて鼠色でした。

私は身を守るためにコミュニケーションをしました。

相手の話を聞き、相手の思っていることを言わせて、反感を回避しました。

そこで私は一つの気づきを手にしました、

赤の他人でも話をすることが人間にはできると驚きました。

私はてっきり自分から出る言葉はその男性に対する否定だと思いました。

仕事で疲れてその後に人生の失敗を聞かされたらそれは気分が悪くなるはずです。

やってられるか!と思うのが普通だと思います。

反感を買ってでもその男性を近づけさせない方法もあったでしょう、そちらの方が効率が良いです。

男性もそれを期待していたのかもしれません。

私は社内で政治的な大人の事情のような話に興味がないので、聞いた話だと仕事しかしないつまらない人間だと思われているようです。

そんな人間と男性はコミュニケーションをしたわけです。

男性をお客様として扱ってみて気が付いたことは、コミュニケーションは正しく使うとしっかり自分を守れる道具になるようです。

僅か10分間の不思議なドラマでした。


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