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占い師の館でバイトしてますけど、その先は異世界だったというあるあるな物語。【熟成下書き】

人を見透かす女性の物語。

彼女の目を見ると人は見透かされたと思ってしまう。その人は心が読まれてしまうと思ってします。

人の不安は憎悪に変わることをご存知でしたか?

たまにメイクも洋服も完璧にして表に出ると容姿端麗ですから人から見られてしまいます。彼女は少し視線をずらして恥ずかしそうに人と話す癖を身につけています。

しかし、間違って視線が合うとちょっと大変です。

人は彼女に痛くもないと本人たちが思っている腹を探られてバレてると思います。

そのため彼女は目が会う人の精神衛生を守る為サングラスを買うほどです。

これはもう一つの能力です。

世の中に聖人君子?聖女様?、彼女の能力を回避できる人はいるのでしょうか?まずいないでしょうね。

そんな彼女に適した職業はあるのでしょうか?

彼女は10代からいろんな仕事をしています。パン屋さん、花屋さん、コンビニ、会社の受付、保険営業、どれもダメでした。

美人なのに可愛いのに残念な人として人々は自分の過去に犯したかもしれない悪さを彼女のせいにします。少し現実的じゃないって?そうですよね。でも、世の中で現実的なことって少ないような気がします。

基本的に営業職や対面販売はダメです。

ところが、上手く行ったのがひとつだけありましたそれは新聞配達。

え、仕事仲間と会うじゃないですか。そうですよね。

そう思ってちょっと当時の彼女を思い出すと、メガネは厚いガラスのコップのようで、マスクをつけて、髪はボサボサで彼女をみる人はいませんでしたし彼女は人と目を合わせていませんでした。

配達の仕事はやることをやれば文句を言われませんでした。

新聞配達をするぐらい家が貧乏な訳ではありません、両親たちを見透かして家庭内で悪い状況を作ったわけではありません。彼女と妹と両親は仲良くやっています。

勿論、人には旅立ちの日がやってきます。今は彼女だけ就職の都合で東京に引っ越してきました。

そうそう、彼女の職業ですが、今はOLしながら占い師やってます。

OLの時はレンズの厚い眼鏡と三つ編みおさげで凌いでます。

彼氏は?当然いません。

占い師の時は少しおしゃれなプルーライトを防ぐレンズ入りの眼鏡を掛けています。

彼女の占いは風変わり、「自分自身がわかる」と人々に人気になりつつあります。

そして彼女を人々は「見透かしちゃん」や「見透かし様」と呼びようになりました。

今日も商社でお仕事をしている「見透かしちゃん」宮内奈々(ミヤウチネネ)見た感じは20代から30代位(思われる)はいつものように淡々と総務の仕事をしています。

仕事仲間からはコンタクトにしたらとか、メガネはおしゃれにしなよと髪型変えればと言われますが、適当に断っています。

今の会社は2社目です。1社目で見透かし力を使ったため大変なことになりました。またいつかの日エピソードをして取っておきます。

見透かしちゃんの大変な話はこの辺にして、彼女がもう一つの仕事占い師それは書いてある通りその人自身を占うこと。

普通なら少し暮らししたところで、水晶とかカードなどを使って占うのでしょうが、彼女の場合は水晶の代わりに装飾された本を使い、カードの代わりにペンとメモを使います。特に書くわけではなく手持ち無沙汰なので準備してあります。

大きめの本はなんとなく知的だからという理由と相手の目を直接見ないで済むからです。実用的な面を重視しですね。

色付きのメガネこれがあれば少なくとも見透かす力は弱まります。

そして、占いをやっている場所はちょっと変わっていて異世界です。

彼女を占いの館からは出たことがないのですが、占いの館を借りる時にオーナーさんからは「この建物はちょっと変わってて表にでてチラシまくのも面倒だと思うので占いのPRしておくから表に出なくても大丈夫ですよ。」と言われました。でもまさか異世界とは思いもよりませんでした。

異世界だって気が付いたのは、初めて来たお客さまが猫族だったからです。

今日のお客様は人族のようですね。見透かしちゃんの噂は多少広まっているようです。当てる占いではないところも人気の一つのようです。見つける占いに近いと見透かしちゃんは思っています。

見透かしちゃんの占いの館の近くにいる、そして人族のお客様は水商売のお姉さんのようです。

地球とこの異世界時差は約3時間。見透かしたのお仕事が終わるのが夜の18時、お店を開くのが18時30分、そうすると異世界でのオープン時間は、15時30分からになります。

ある意味時間その究極のアルバイトなのですが、異世界の金は地球では使えません。

ただし硬貨は金でできている為地球でも換金ができます。金貨1枚から受け付けています。30分で地球のお金で約30,000円です。いいお金になります。

喋らなくていいんですよ。もちろん必要があれば喋りますけれども、話を聞いてうなずいて見透かしちゃうそれで30,000円なんてお得なのでしょう。

さてずいぶんと長い前置きはさておき水商売のお姉さんがお店に入ってきました。きれいな女性でした。

見透かしちゃんは思います。「私負けてない」その対抗心はいらないでしょね。彼女の中からにじみ出る対抗心を必死に抑えてもらうことにして話を続けます。

水商売のお姉さん彼女の話はよくある女性の悩みなのかもしれません、「彼氏ができない。仕事のせいだろうか、本人の性格なのだろうか、非常に悩むところだそうです。28才だと言うのです。

見透かしちゃんは質問します。「いつから彼氏ができなくなったんですか。」

水商売の女性の名前は英子さんと言います。
英子さんは答えます。
「学生の頃はできたのよね彼氏が約10年位前までは彼氏がいたわ」彼女は普段は道屋さんで仕事をしているそうです。「私が勤めている道具屋さんっていうのは、鍋とかハンマーとか普段遣いの道具も売ってるとこなの」

見透かしちゃんは思いました。
「普段遣いのハンマーとは何かしら」
まぁ話を整理するとこの英子さんは昼間はホームセンターのようなところで仕事をしているんだなとわかりました。そして英子さんは続けて話しました。「どうしても夜時間があいちゃうのよね。特に遊び歩く趣味もないから何か仕事しようと思ってたら夜の仕事を見つけたのまぁなんとなくよね。」

見透かしちゃんは聞きました。
「やっぱりお金が欲しいって言うことですか。」

見透かしちゃんもずいぶん聞きにくいことろを聞いてきます。英子さんもさすがに苦笑いしながら答えてくれました。「まぁぶっちゃけた話しようお金がないよりはあったほうがいいわよね。結婚しようと思ってたし子供育てるときは仕事もできないじゃない。それまでの資金のつもりでダブルワークしてるのよね。」

完全に未来の旦那さんの収入はあてにしていない発言です。

見透かしちゃんは「英子さんは将来のこと考えて行動しているんだ」と思いました。そして「どこの世界でもダブルワークってあるんだなぁ。」とも思いました。

英子さんはとても楽しそうに話をするので、見透かしちゃんはまた再び質問しました。「1人で生活していて寂しくないんですか。」

英子さんは「うん正直なところ寂しいから相談しに来た。なぜ彼氏ができないんだろう。」と言います。

見透かしちゃんは「英子さんの話を聞くととても楽しそうに聞こえるんですよね。で1人でも生活できるし問題ないような感じがします。もちろん彼氏もおいしいんだろうなぁと思うんですけど、実際どうです。本当に彼氏欲しいですか」そう言って彼女は目の前にある大きな本のページを1枚めくりました。

英子さんは「もうほんとに欲しいんだ」と答えます。

見透かしちゃんは「わかりましたちょっと占ってみましょう私の目を覗いてください。」そう彼女は伝えると英子さんは「やっと覗けるのね。」そう言って見透かしたの目を覗き込みました。

彼女はその英子さんは彼氏ができない理由を自ら語り始めました。19歳の時最後に付き合った彼氏からとてもひどい暴力を受けていたようです。

この手の話にはあるあるなんですよね。暴力といっても殴るだけじゃありません。今回の場合は言葉攻めそれは人を誹謗中傷だったようです。とてもここには書けないような、見透かしちゃんはそれを受け止めるように、英子さんが納得するまで相槌をしながら話を聞いています。

さらにここで英子さんの話を聞いていることを英子さんに納得させる為、ペンを走らせメモを取ります。実際には繰り返された言葉以外はメモを取りません。他のところはメモを取って書いているふりをします。

英子さんは続けます。当時付き合ってた「彼氏はほんとにイケメンだったそうです。もう自慢し放題あたしは幸せだった」と話をしてくれます。

ただ性格が非常に悪く「殴った事はなかったけど、ばかだーとか性格悪いぞーとか料理まずいぞーとか言われたのよね」

見透かしちゃんは同じようなセリフフレーズが繰り返され始めたことに気づきます。そこでちょっと質問します。「英子さんいいですか、彼氏に馬鹿だとか言われたのっていつだったか覚えてますか。」

英子さんは「うん、19歳の春ぐらい。」

見透かしちゃんは「分かりました。それでは19歳の春の何時ごろでした。」と続けます。

実はこれカウンセリング技術です。彼女の占いは自分自身を気づかせると話しました。その1つの方法で【振り返りる】という方法があります。見透かしちゃんの能力を使うことにより発揮されます。

これは根本的にこういう理由です。その人の問題はその人しかわかりません。他人がその人の人生がわかるわけがないんです。多分皆さん「そんなの当たり前だ」と思うでしょう。でも相談してる人って「何が何だかわからない」と言ってしまうんです。

だから話をしてもらいます。それを気づかせるその人しか問題が解決できないんだよって言うことを最終点気づかせる気づけばその人は人って問題解決できますよね。問題が見つかったらそれを潰す。振り返りはそのための方法でもあります。

見透かしちゃんは英子さんにまた質問します。「19歳の春の何時ごろに昔の彼氏さんに言われました思い出してください。嫌なことはわかってますでもそこに原因があるかもしれません。」

英子さんは答えます。「うんとっても嫌なことだなぁ。思い出したくない。でも思い出さないといけないような気がする。がんばる。19歳の春、多分時間は夕方の4時ぐらい料理を作っている時塩と砂糖間違えたのそこで彼氏にお前バカだなぁって言われて傷つき悔しかったなぁ。」

見透かしちゃんは英子さんの様子見ます。今の英子さんの顔はとても暗いです真っ暗です。

でも見透かしちゃんは英子さんに伝えます。「英子さん嫌な事かもしれませんけどもうしばらく同じことを繰り返しましょう。」

英子さんの表情が少し疑いのような顔になってきました。そして同じことを彼女は繰り返し伝えます。

見透かしちゃんは聞くたびに「ありがとう、わかりました、よく解りました、興味深いですねなどなど」ちゃんと相槌を打ちます。

しばらく繰り返してるうちに英子さんの顔が少し明るくなってきました。そしてまだ続けていると突然、英子さんが怒りはじめます。「いつまでこれ続けなきゃいけないのよ。」

見透かしちゃんは「わかりましたもう少し続けることはできますか」とうまく誘導して続けます。

英子さん素直に「わかったはもう少し続ける頭きてるけど、」と続けます。

そして英子さん続けます。「何か気づきそうな」

見透かしちゃんすかさず「それはなんですか教えてください。」

英子さん「うん、うん」悩んでます悩んでますもう一回悩んでます。見透かしちゃんは「さっきの19才のエピソードを思いだして話してください」

英子さんはまた19歳の思い出のエピソードを続けます。何回か続けた後にそれは起こりました。

英子さんは気づきました。そして「あー、思い出したわ、塩と砂糖を間違えたときあたし変わった味付けにしようと思ったの。たぶんまずいだろうと思ったのよね。味付けが悪いだけじゃなくてあたしが悪くしていたことに気がついたわ。」

そのまま英子さんはマシンガントークを続けますものすごいハイテンション顔はニコニコでもハイテンション様強いマシンガントークです。

これを見透かしちゃんはニコニコしながら受け止めます。「分りましたす、ばらしい、そうなんですね、興味深い」多種多様な相槌を打ちます。

ただし評価するような「面白いですねと」言うような言葉は使いません。

人は評価されるのが非常に嫌いです。皆さんもそうでしょう。見透かしちゃんは評価されて生きてきました。現代人はそうなのかなぁ。だから見透かしちゃん彼女は評価しません。占い師は評価しないんです。評価できるのは相談者その人自身ただそれだけです。英子さんしゃべるだけしゃべったら落ち着きました。彼女は週に1回か2週間に1回いらっしゃるお得意さんになりました。決まって夜の仕事の前にいらっしゃいます。そしてすっきりして行かれます。

また、ため込んでいらっしゃる可能性もありますね。でも彼女のセールスはナンバーワンです。英子さんのお客さんはこの占いの館で見透かしちゃんと出会ってから急激に増え始めたそうです。

そして最後に見透かしちゃんはこう聞きます。「英子さん今気分はいかがですか。」英子さんこう答えます。「あーすっきりした原因もわかったし。彼氏欲しいけどできないことも分かったし、まぁなるようになることがわかったのかな。」

見透かしちゃんは「分かりました」と答えます。

そしてもう一度聞きます「英子さん今の気分はいかがですか。」

英子さんは満面の笑みを絡めてこう答えます「最高。彼氏は私の欲しいときに手にはいるし今はとても満足してる。」

見透かしちゃんは「ありがとう占いを終わりますね。」と伝えます。そしてメモを手品の力で燃やして消します。

英子さんは「過去に気が付いた私には不要ね。」

英子さんは確認すると金貨を5枚置いて行きます。英子さんは満足を味わったようです。「ありがとうまたよろしくね。そう言って彼女は占いの館を後にしました。」

その人の運命はその人しかつかまえることはできません。

人から忌み嫌われる力であっても使い方によって道は開きます。

人は幸せを求めます。

その幸せをお手伝いするのが見透かしちゃん彼女の仕事です。

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