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【セトリあり】日本最大のHIPHOPフェス「POP YOURS」を駆け巡ったピーナッツくんの魔法

2022年5月21日(土)、22日(日)の2日に渡り幕張メッセにて日本最大のHIPHOPフェス「POP YOURS」が開催中である。

錚々たるメンツが勢ぞろいし、最高のパフォーマンスを繰り広げるであろうフェス。
トップを飾るに相応しいdodoの圧巻のパフォーマンスの直後、1人の謎のイエローガイが登場した。

ピーナッツくんである。

Vtuberでゆるキャラで着ぐるみ。
イロモノ枠か?と思わせる見た目である。

だがステージでは本気のパフォーマンスをぶちかました。

ピーナッツくんの「POP YOURS」セトリ

ここでは初めてピーナッツくんを見た人、またピーナッツくんのファンにも向けてセトリとともに曲を紹介する。
だいぶ主観も含まれるため注意して欲しい。


1.新曲

MCも何も無く突然始まり、直前にパフォーマンスを披露していたdodoに手を引かれてステージに現れたピーナッツくんは新曲を披露した

おそらく6.1Release 3rdAlbum収録Roomrunner!だと思われる。

現在同アルバムに収録される予定で公開済みの「kidsroomman」や「reapawn」と同じようにメロウな曲だが、これらと比べるとアップテンポなためフェス向きな感じだったと記憶している。
ただ、VJもモノトーン、セピアだった印象が強いためコンセプトは揺るがないのだろう。

今後詳細が明らかになると考えられるため注視したい。


2.グミ超うめぇ

ピーナッツくんのキラーチューン「グミ超うめぇ」。

多くのアーティストから反応があるこの曲。
最近ではDISH//の北村匠海ラッパーの晋平太も取り上げており、まさに
「ピーナッツくんの曲といえばまずこれ!」
と言える存在の曲である。

ただひたすらグミが美味しいことを歌った曲だが、リリックとフロウのキャッチーさとトラックの良い抜け感が癖になる1曲だ。

MVもレトロゲーム風でカラフル、ちょっとサイケデリックな感じが可愛らしいため、合わせて楽しんで欲しい。


3.School Boy feat.もちひよこ

同じくVtuberであるもちひよこと共演した曲である。

少年が恋の難問を解けずに居残りをしている、というストーリーの曲だ。

ピーナッツくんの鬱屈した感情が反映されたリリックと緩急がついた心地よいサウンド、そしてもちひよこの色気のある声が複雑に絡み合った名曲である。

 1曲目の新曲や「グミ超うめぇ」とは全く雰囲気が異なり、アップテンポの曲であるとは言えない。

ガラリと一転して、心地よい閉塞感持ち合わせるこの曲をフェスに持ってくるということは本人がMCで言っていた
「面白がられに来たのではなく、ちゃんとかましにきました」
ということの現れだと思う。


4.DUNE!

※公式ではないがあえてこちらをリンクする。

テクノ的な気持ちよさを感じる1曲。
非常にノリがよく、ところどころ聞こえるゲームっぽい電子音が耳に心地よい。
ただひたすらにリリックを気持ちよく乗せて、気持ちを高揚させることに徹した曲だと思う。

「POP YOURS」のVJで流れたのはなんとファンメイドの非公式MVである。
映像のサイケデリックさ、曲のテクノ的な気持ちよさを楽しんで欲しい。


5.笑うピーナッツくん

ピーナッツくんのラッパーとしての実力が発揮される1曲。皮肉を乗せた韻の踏み方がとにかくエグくて気持ち良い。

こちらもかなり鬱屈したリリックであるが閉塞感はあまりない。おそらく突き抜けて鬱屈してるからだろう。

イントロではいきなりピーナッツくんの笑い声が響くが、フェスでは良い効果を出していたようで、配信を見ていただけでも鳥肌が立った。


6.Unereal life feat.市松寿ゞ謡

曲を通して響き続けるゴリゴリの重低音と、MVの世界観が素晴らしく引き込まれる1曲。

いわゆるHyperpopの文脈に属する曲のようで、もしかしたら最もヘッズと相性の良い曲かもしれない。

そういった思いを持ってピーナッツくんがセトリに入れたのかはわからないが、フェスではこのゴリゴリの低音が映えたのは間違いないだろう。

MVも合わせて楽しんで欲しい。


7.Expecto patronum!

メロウで、優しくて、ピーナッツくんの力強さを表したような曲である。

Expecto patronum!とはもちろんハリー・ポッターシリーズの「エクスペクト・パトローナム」(守護霊よ来たれ)の魔法が元ネタである。

「いつでも魔法をかけてあげるから頑張って生きていこうね」
そんな思いが込められていると私は受け取っている。
ピーナッツくんの魔法(おまじない)は間違いなく幕張メッセを駆け巡った。

優しい曲かと思いきや
「Youtubeとかで知った気になっちゃいけないんだぞ」

というキャッチーなリリックは、Vtuberであるピーナッツくんだからこそ作り出せるものだ。
※単純な戒めだけではなく、この歌詞には色んな意味が込められていると思うが

制限がなければ「エクスペクト・パトローナム!」のコールアンドレスポンスができたはず。
いつか出来るようになる日を待ち望んでいる。


8.Drippin' life

ファンが待ち望んだ曲、といえば察しがつくだろう。
ラッパーらしくMy lifeを歌った曲だ。

「Drippin」つまり、抽出。
 絞りカスになるほどに努力しないと曲ができないんだ!というピーナッツくんの心の叫びが表れた曲である。

「面白くて急死」「走馬灯」「いつか死ぬかも」
ピーナッツくんは「終わり」に関する言葉をよくパンチラインとして使う。
ピーナッツくんの鬱屈した気持ちと、諦めにも似た優しさがよく現れているようで、悲しくも暖かい気持ちになる。

また、
「出る杭がもっと出て黙らす外野」
はライブではシャウトするのがお決まりとなっている。

アウェーとなるHIPHOPフェスでこれを歌いきったということはある意味で宣戦布告、絶対に爪痕を残してやるぞ、という気持ちの表れだと思う。

実際ピーナッツくんはしっかりとぶちかました。
ヘッズにはピーナッツくんの姿はどう写ったのだろうか?
率直な感想も聞いてみたい気がする。


「面白がられに来たのではなく、ちゃんとかましにきました」

着ぐるみでステージにあがり、一見イロモノ枠というか「HIPHOPで最近よくあるあれねw」と思わせてしまう見た目のピーナッツくん。

アウェーなのも相まってかピーナッツくん自身もそれは自覚しているようで、MCではこう語った。

「面白がられに来たのではなく、ちゃんとかましにきました」

何度でも言うがこれはヘッズたちへのある意味宣戦布告だったと思う。

私もHIPHOPにそこまで詳しいわけではないが、HIPHOPの界隈は「とにかく俄に厳しく、リアル志向」という側面がある。
だが一方で受け入れられてしまえば、家族として扱ってもらえる温かさもある。

ピーナッツくんはVtuberという存在でありながら、順調にHIPHOPの界隈へ踏み込んでいっている。
今回のPOP YOURSへの出演は、Vtuberという枠組みから離れてHIPHOPの世界へ飛び込む大きな一歩となった。

今後、ピーナッツくんはどこまで行ってしまうのだろう。
その存在に、その軌跡にいつまでも注目したい。


2022.5.22 追記
MCの部分正しい文言に修正しました。
ご連絡頂いた方ありがとうございます。

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