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2021年8月9日週 『幻詩狩り』再読、シン・エヴァンゲリオン、『妖星伝』

8月9日から8月15日までの読書に関する日記・備忘・そのほか。少しオタク気質なところを。

『児玉まりあ文学集成』の第1話の参考文献は、アンドレ・ブルトン『溶ける魚』だった。
シュールレアリスムの提唱者にしてシュールレアリストたちの首魁。

シュールたちのまとまった知識は、川又千秋『幻詩狩り』から得たことを思い出して読み返したくなる。1985年の日本SF大賞。
手持ちの中央公論社のC⭐︎NOVELS版を探すのは面倒だから、Amazonでちょうど unlimited の対象になったところだった。
はじめて unlimited が役に立ったよ。

詩人“フー・メイ”が作った詩「時の黄金」は読む人を〈時〉の狭間に誘い〈解脱〉させる。その詩が社会に麻薬のように蔓延して人間社会が危機に陥るというもの。
「時の黄金」は言語によって書かれた時間だった。

8月13日0時からAmazon Prime Video でシン・エヴァゲリオンが配信開始。
良い機会だからと、同時刻から新劇場版 序破Qから一気に観てしまった。朝の7時半まで。
せっかくの平日の休みがつぶれた。

エヴァゲリオンにはあまり興味がなく、TV版の再放送を腹を抱えて笑いながら見た程度だった。周囲のはまった人間に影響されてだった。
そののち1997年の日本SF大賞を受賞した。

あまりにもおびただしい引用に、Qから付箋紙にメモを取りながら見た。
儂程度の知識の人間ですら大判の付箋紙いっぱいになるほど気づいたことが多かったのだから、知っている人からすると宝の山なんだろうな。
もちろん、知識なしでもケレン味たっぷりでおもしろい。

クライマックスでの「さよならジュピター」の主題歌「VOYAGER〜日付のない墓標」に危うく涙腺が決壊しそうになった。
この選曲はずるいなぁ。おっさんホイホイ。
松任谷由実も「VOYAGER」も知らない子たちにはどう見えるのか。

劇場公開から時間が経っていて今更儂が考察をすることもないしやる気もないし、人の考察を探し出して参照する気もない。
しかし、些細な小ネタよりもこの作品がどういう風に関係者に作用しながら作られていったのか、想像することはしてみたい気がする。
手に余るからやらないけど、映画の創作論としておもしろそう。

「カッコいい」と思うシーンを連ねていきつつ、シナリオへのフィードバックをしてという流れで作った感じで、おそらく設定が破綻していることも意識しているのではないか。
こんな作り方だと時間はかかるし、なんとかまとめあげたように見えても、作る側にくすぶるものが残っているのではないだろうか。
違う形でリブート版がありそうな予感がする。

映画は関係者の無意識で作られる〈芸術〉と言われる。
庵野の作家性が強く出ているにしても、作る側の人たち、観る側の無意識がわかりやすく顕著に現れている作品に思えた。

語りたくなるのは、良い映画の要件のひとつだ。

※ ※

シンエヴァを観て脈絡なく、異星人が地球上の生物の魂を使って霊船を作りあげて地球からの脱出をする、半村良『妖星伝』を読み直したくなった。

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