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援護なきイノベーション、介護分野への挑戦!!

医療分野においては、新薬や新型医療機器の市場投入を視野に入れた研究・開発について、医師主導の治験を援助する役割を果たすSMOと称される組織や企業が充実したサポート体制を提供しています。

しかしながら、そのような支援体制は介護施設における新技術の導入、例えば、ロボティクスやシステムの実証研究(例えば介護リビングラボ)に関しては未だ十分に確立されていないのが現状です。

確かに、施設の提供やコンサルティングサービスを行う企業は数多く存在しますが、現場に深く踏み込み、スタッフを直接的にサポートするという形のサービスは極めて乏しい状況です。

また、これと並行して、介護職員たちは人手不足の厳しい現状の中で、革新的な取り組みを推進したいという思いを秘めつつも、それを公言することすら困難というジレンマに直面しています。

介護の現場は地域ごとに独特のニーズを持つため、特定の施設だけが新技術導入に挑戦したところで、その取り組みが全体のパラダイムシフトを生む可能性は低いです。さらに問題となるのが、介護職の平均年齢の上昇です。これは結果として、高齢のスタッフがイノベーションを牽引するというシナリオを現実的に難しくしています。

この課題は、在宅介護や在宅看護の現場においても同様です。ここでは訪問看護ステーションや訪問介護ステーションとの連携が不可欠ですが、彼らを巻き込んだイノベーションの推進は容易ではないと考えられます。加えて、訪問介護ステーションなどが人材不足の為、事業の運営に困難を感じ、廃業に至るケースも散見されます。

介護ロボティクスやデジタルトランスフォーメーション(DX)に対するニーズは今後も増加していくでしょうが、それら新技術の導入を受け入れるべき対象が逐次減少していくのでは、その普及には大きな阻害要因となります。

国の政策としてデジタル化やAIを活用したイノベーションに多額の補助金を提供する一方で、それら新技術が広範に普及するための支援体制作りにも目を向けるべきであるというのが私の考えです。

この先、介護の現場での革新を促進するためには、現場スタッフの直接的な支援を行う組織や企業の存在が不可欠であり、それらを育成する国の取り組みが求められています。


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