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ヘルスケアスタートアップ企業における予防法務の重要性

ヘルスケア分野におけるスタートアップ企業が直面する個人情報保護の問題は、急速なデジタル化とデータ利活用の波に伴い、ますますその重要性が高まっている現代社会において、重大な課題となっています。

医療分野で収集・利用される個人情報は、患者の病状や治療履歴など、非常にプライバシーに関わる機密性の高い情報であり、不適切な管理やデータ漏洩が引き起こすリスクは、個人の尊厳や人権侵害に直結する重大な問題を生じさせる可能性があります。このため、スタートアップ企業は、国際法であるEUの一般データ保護規則(GDPR)に加え、日本の個人情報保護法などの国内法にも従うことが不可欠となります。

GDPRは、個人データの取扱いに関して、欧州連合(EU)加盟国内で統一的な基準を設定することを目的とした法律であり、EU域内の企業だけでなく、EU市民のデータを処理するEU域外の企業にも適用されます。日本においても、2015年に施行された「個人情報保護法」が、個人情報の適切な取扱いを規定しており、国内で事業を行うヘルスケアスタートアップ企業には、これらの法律の遵守が求められます。

個人情報保護法では、個人情報の取得、利用、提供等について適切な管理を求めており、企業は個人情報の取扱いに関する内部規程を整備し、従業員への教育や監督を行うことが義務付けられています。また、個人情報の漏洩、滅失、き損などを防止するための安全管理措置を講じることも求められています。

スタートアップ企業がGDPRや個人情報保護法に遵守するためには、まず法律上の義務を十分に理解し、適切な内部規則を策定し、その遵守を徹底することが求められます。

以上、非常に当たり前の事を書きましたが、実が、案外、このような視点からの体制や対策をとっていないヘルスケアスタートアップ企業がまだまだ多いのも実情です。内部にダイナマイトを抱えているスタートアップにはファンドなども投資を躊躇するでしょうし、今後、デジタル化が進展する中で、必ず、そのガバナンス体制が評価のポイントになってきます。

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