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憧れの嗄れ声。

もんたよしのりが逝ってしまった。よりによって大動脈解離で。一発だったらおそらく自分と同じスタンフォードA型だ。おそろしく死亡率が高い。今でもどうしてここでこんな駄文を垂れ流しているのか不思議な気がする。

録音された自分の声を聞いて愕然とした人は多い(初めて聞いたときは金輪際人前で喋るものかと思った)はずだが、10代の頃からハスキーボイスは憧れの声なのだ。嗄れ声で歌われるラブソングは、朗々とした美声で歌われるソレよりも10倍深くて切なく聴こえてくる。小田和正だって嫌いではない(というより70半ばでまだあの声か)が、なりたい声かとかいうとそうではない。10代の頃から吸っていたタバコも、ハスキーボイスへの憧れがその本数を1割くらい引き上げたかもしれない(これが後に大動脈解離となってしっぺ返しをくらう大きな要因だと思っている)。

どんなに深い意味を歌詞に込めようが、それを伝えるのはボーカルなのだ。ヘイトなフレーズも魅入られるような声で叫ばれると「その通り」なんて答えてしまうような怖さが歌にはある。幸い愛しのハスキーボイスには今のところいないのだが。

もうこの世にはいない原田芳雄、柳ジョージ・・・。もんたよしのりは、間違いなくそんな憧れの声の持ち主の一人だった。小さな体をいっぱいに使ってシャウトする姿は理屈抜きで「かっこいい」の一語に尽きた。決してコアなファンだったわけではないのだが、あの姿は忘れられない。改めてご冥福をお祈りします。


見出しの写真は「そんなこと」さんの作品をお借りしました。ありがとうございます。

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