見出し画像

晩秋の笠間市・春風萬里荘

友人を交えて紅葉の始まった松戸本土寺への遊山を計画していたのだが、あいにくの雨。時間を追うごとに雨脚が強くなるとのことで中止、改めて日を設定することに。明日は好天らしく、ピンポイントで狙われた感じ。仕方がないのでスマホにたまっている写真で紅葉狩りをする。

写真は、4年前の今日(11月23日)撮ったもの。十数年乗った車を買いかえたばかりで、ナビを遊びながら茨城県笠間まで試運転代わりの日帰りドライブにでかけた。春風萬里荘は笠間日動美術館の分館で、北鎌倉にあった北大路魯山人の住居を移築した茅葺屋根の古民家。周囲は絵画・彫刻・陶芸・染織など様々なアーチストのアトリエが点在し「芸術の村」と名付けられている。


この日は、見渡す限りの青空で太陽が背中をぽかぽかと温めてくれた。晩秋のそんな日は、きらいな冬を迎える前のささやかなかつ確かなシアワセの時なのだ。およそ宗教心とはほど遠い俗人だが、あえて「神」という存在はと聞かれたら太陽と答えるかもしれない。

魯山人自らが設計した茶室や、龍安寺を模したという石庭、睡蓮の池などがあり、四季折々の草花が人々を迎え入れてくれる。6度の結婚はすべて破綻、傲慢でその気難しさは右に出る者がないという魯山人だが、父親の自殺に始まる凄惨ともいえるその生い立ちを知ると、この素朴で落ち着く空間の何たるかもまた考えさせられる。ホームドラマの何気ない場面や会話に涙していたという逸話もあるらしい。

石庭の縁側で抹茶をいただいた(有料)。

「春風萬里」とは李白の漢詩にある言葉で、魯山人が好んで用いていたとHPにはあるが、どうもそれと全く同じくだりはなく李白の詩にインスパイアされた魯山人の造語というのが正解のようだ。漢詩の素養がないのでどうもすっきりとしない。いずれにしても、何だかおおらかな気分になる言葉だ。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?