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八月一日さん

「今日は朝からうだるように暑い。やっと来やがったか八月一日」の一行で「お、ほずみか」と咄嗟に反応できる人はそういない。難読苗字の代表格のひとつ「八月一日(朔日)」さん。旧暦の8月1日に稲穂を摘んで神様に供え、台風の被害にあわず豊作となることを祈ったことからくるという。それじゃあ「初穂(ほずみ)さん」でもいいのではないか、その方が趣があっていいぞとも思うがそうはいかない。全国の八月一日さんはこの苗字とどう向き合ってきたのか?「7月4日に生まれて」ではないが、八月一日として生まれたことは人格形成にどう影響したのか、何だかとても気になる。

「シズ」というのはもちろん本名ではない。noteを始めるにあたって、物心ついたころから最も耳に馴染んでいる呼称をそのまま使った。

自分の苗字は「八月一日」さんほどではないにしろ、かなり珍しい。全国に数百人もいないと思われるが「日本人のおなまえ」にも取り上げられたことはない(多分)。珍しいが面白くはないからだろうと、1ミクロンくらい不満である。

珍しい苗字でとりたてて得をした記憶はないが、良くも悪くも憶えられやすいかも知れない。ただ、どういう字を書くのか(あるいはどう読むか)いちいち説明しなければならないのは、いまだに面倒この上ない。一見ありふれた苗字も一筋縄ではいかない。山崎さんだって、山﨑さんもあれば山咲さんもいる。ヤマザキかヤマサキかという音の問題もある。トミタさんだって富田さんなのか、冨田さんなのか、はたまた違う漢字なのか。世のヤマザキ(サキ)さんやトミタさんは、確認もされずに雑に扱われた時のモヤモヤにどう対処しているのだろう。

今日は朝からうだるように暑い。やっと来やがったか八月一日、夏はこれからが本番だ。見出しのイラストは「Yokoito」さんの作品をお借りしました。


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