災害時のペット

台風19号が猛威を振るい、各地で復旧活動が続いている。
亡くなった方のご冥福と、被災した方の生活の1日も早い復旧を願う。

さて、2015年に鬼怒川が氾濫したとき、自衛隊がペットの犬をヘリで搬送したことが議論を呼んだが、今回もペットの扱いについていろいろと議論が起こっているようだ。

ちなみに2015年時点で防衛省は「ペットを救出するための根拠法令はありません」「人命救助を最優先としていますが、可能な範囲で要救助者の要望に応えられるよう対応しています」とコメントしたという。

また、環境省は「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」において、飼い主に対してペットの同行避難を呼びかけている。

ただ、ペットの自衛隊による救助や、避難所での受け入れについて、ネットでは否定的な意見が目立つようだ。
賛否それぞれの意見を拾ってみたい。

■ペットも救助すべき!
・人間の都合でその場に繋がれた者に、自力で逃げることすら許さず溺死や餓死を強要するのはあまりに残酷。人間の都合で危険にさらした以上、人間の責任において救助するのが道理。

・ペットは家族同然。見捨てるなど有り得ない。

・人命優先と分かっていても、ペットを残すよう言われれば飼い主が渋ることは当然予測され、救助活動の遅滞に繋がる。犬猫程度なら要救助者とセットで搬送したほうが効率がよい。

・自衛隊の指示によりペットを捨てさせられれば、自衛隊への反感とペットロスによるストレスが生じ、避難所生活や復旧作業に支障が出る。

・被災地に放置されたペットの保護にはしばしば膨大な手間とコストを要する。また、野生化して市街環境や自然環境に悪影響を及ぼす可能性もある。

■ペットの安全には飼い主が責任を持つべき!
・ペットは飼い主の都合で飼っているものだし、生活必需品ではなく、どちらかといえば嗜好品に属するもの。そのために自衛隊や避難所の負担を増やすのは筋が違う。家族同然というなら早めに避難するなど、飼い主が責任をもって対処すべき。

・犬猫だけならともかく、ペットの種類は蛇やウミウシなど多岐にわたる。ペットも救助するとした場合、救助対象か否か、何を基準に線引きするのか?

・災害救助現場では寸暇が惜しまれる。ペットを運んでいる暇があるなら他の要救助者の捜索・救助に当てるべき。

・被災者はただでさえ疲労とストレスに悩まされるのに、ペットも居ては騒音と悪臭で休めなくなる。ペットを飼うなら避難所は自力で確保すべき。

・動物アレルギーの人もいるし、糞尿や蚤などで衛生面の問題も出てくる。ペットを避難所に持ち込むべきではない。

・ペットのための救助や避難所を要するのなら、ペット持ちが金を出し合って救助組織とペットOKの避難所を準備するか、ペット税をかけるべき。

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ペットたちも可能な限り助けてほしいとは思うが、現実にはいろいろと難しい問題もあるようだ。
また、地震のような予測しづらい災害と違い、台風はある程度の準備期間があるため、救助隊の世話になったペット持ちへは厳しい意見も多い。

予見しづらい被災で自衛隊や避難所を頼るのは仕方ないが、大切な「家族の一員」を守るため、日ごろの準備や被災時の早めの行動を心がける必要はありそうだ。

先ほども紹介した環境省の「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」などにも目を通し、万全の備えをしていただきたい。


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