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元テレビっ子の私が、テレビに代わって妻を楽しむ理由

テレビを見る習慣がない我が家

私達の家にはテレビがありません。結婚して1年が経ちましたが、テレビなしのまま生活を続けています。「テレビを買ってよ!」と妻からせがまれているわけでも、私がなんかやらかして妻からテレビをおあずけを食らっているわけでもありません。そもそも私たちはお互いに結婚する前からテレビを見る習慣そのものがありませんでした。

テレビが担う一家団らん

「テレビっ子」という言葉はもう死語でしょうか。小さい頃はテレビが大好きで、朝から晩までテレビを見ていました。見ていた、というか何がなくともテレビをつけていたと思います。

朝起きたらスイッチオン。そこから誰となくチャンネルを切り替えながら、テレビは一家のBGMとして空間になじんでいきます。父ちゃん母ちゃん、兄ぼく妹そしてテレビ。夕食時にテレビが付いていない時は「え?なんか大切な話でもするの?」という感じになっていたと思います。いわば、テレビは明るい食卓を作る立役者。

以前知人が「テレビがないと我が家は無音で息苦しい」と話しました。テレビのように会話が途切れない「夕食中はいつでも2時間特番家族」ならこんな沈黙はないと思いますが、このようなエンタメに富んだ家族は少ないと思います。

「myテレビ」は子供の憧れ

「自分だけの一人部屋」にあこがれた少年時代の私が次に憧れたのが「マイテレビ」でした。友達の中川君は、当時全国の少年の憧れだった「スーファミ一体型テレビ」が自室にありました。幼い私は「中川君のお父さんは中川君のために借金をしたんだろうな」と、羨望のまなざしで何度もテレビ上部にカセットを出し入れしたものです。

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テレビが部屋にやってきた

高校生の時、使わなくなった居間のテレビを自分の部屋にもらいました。あれだけ憧れたテレビ!兄弟同士のチャンネル争いもなく、「マナブはリモコンをすぐになくす!」という濡れ衣、冤罪からの解放!

テレビをつけたままウトウトしている時にすかさず登場しては「テレビ見てないなら消すよ!」という母ちゃんという刺客が来ることもなく、お布団の中でのんびりカウントダウンTVが見れる!ついにあの魔法の箱が私の為だけのものになった!さあ!今日はどんな「ごっつええ感じ」な番組を見せてrくれるの!?

テレビが教えてくれた大切な物

しかし私はテレビが自室に来てからすぐに、あれだけ楽しみだったテレビを見なくなりました。楽しみにしていた夜更かしも、リモコン独占もやってみたけど、なぜか以前ほど楽しくない。

「あれだけ楽しみにしていたものが、手に入った瞬間興味がなくなる」といったものでもありません。そこで私が気が付いたのは、「楽しいのはテレビではなくみんなで過ごす空間」という事でした。私はテレビが好きだったのではなく、テレビを見ながら家族で過ごす空間が好きだったのです。

クイズ番組のCM中に家族みんなで答えを考えたり、みんなで大笑いしたり。タレントさんのトークに共感する時も、必ず家族の存在がありました。

ああ、そうか。

私はテレビが好きなわけでもなく、テレビが生む空気が好きだったんだ。

「家族初心者」を支えたテレビ

高校を卒業しアメリカに留学してからは、テレビ放送を心待ちにして見る習慣自体がなくなりました。英語の勉強のために見るテレビは今までのようなものではなく、そこから私の中で「テレビ=エンタメ」ではなくなっていたように思います。

パソコンやケータイ、スマホの登場もテレビを見なくなった大きな原因だと思います。

実家に帰ればテレビよりも家族に近況報告。うちの実家はよく会話をするので、親父が気を効かせてテレビをミュートにしてくれました。

この楽しみはテレビの存在を簡単に越えました。いつしかあれだけ大切だった一家団欒のテレビは、「家族初心者」のための役目を終えました。テレビがあってもなくても「家族エキスパート」となった我が家の会話は続いていきました。

テレビ不要の楽しい食卓

あれから時が経ち、私は結婚して家族を持ちましたが、妻もテレビを見ません。その代わりに私たちはいつも楽しい会話をしています。夕食時どちらから始めるわけでもなく切り出す「今日はどんな日だった?」は、how are youやwhat's newとまさに同意。

妻が特に面白い話があるときはきまって、「食事の後に話すね!」といいます。それはまさに、「このあと意外な展開に!チャンネルはそのまま!」のリアル版。彼女の口から飛び出す面白トークが楽しみでなりません。仕事の話に友達の話、新しい気づきの話に、ふとしたきっかけで始まる思い出話。

夫婦で楽しむ今夜のテーマ

中でも一番盛り上がるのが、「次は何に挑戦しよう」の話。ああでもないこうでもない、こうしたらもっと楽しいよ!沢山の人とつながれるね!誰を誘おう?〇〇ちゃんに話してもいい?マナブくんこれはできる?こんなのはどう?〇〇さんはなんていうかな?どんな楽しい事につながるかな?

発案、提案、考察、検証、報告、想像、妄想、説得、同調。
反対意見に賛成意見。本軸から大きくズレた脱線のサプライズは新しい閃きに繋がることもしばしば。

もし我が家にテレビがあればこんなワクワクは存在しなかったかもしれません。もちろん、テレビがあっても楽しい話は出来たかもしれませんが、テレビは楽しさや発見を与えてくれる一方、私たちの限りある時間を奪ってしまいます。もし夫婦2人で2時間テレビに没頭すれば、CMのトイレタイムを除いて、そこに妻はいないことになります。

チャンネルはそのままで

夫婦で楽しく話す時間は何も奪いません。ひたすら与えあい、2人にしか出せない閃きを生み出し続けます。テレビは新しい事を教えてくれますが、うちの妻だって負けていません。世界中で彼女しか知らない濃ゆい発想を日々生み続けているのですから。

さあ、今日はどんな楽しい話になるかな?昨日話したあの話が意外な展開になるかも!?チャンネルはそのままで!


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