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アトツギに社内起業のヒントがある

中堅企業のアトツギ経営者の奮闘は、大企業内で新規事業を行う上で学ぶべきことが多いと感じている。

それの理由は、下記のような類似点があるからだ。

①ネットワークや資金力などのアセットを活用できる
②過去の成功体験が改革を阻害する
③ステークホルダーが多い

もちろん、創業者である先代の人格やエネルギーと比較されたり、大企業ほどの潤沢な資金力がないという意味において、アトツギ経営者の方々のプレッシャーは計り知れず、まったく状況が異なる部分もある。

しかし、大企業で新規事業に取り組む側としては、本当に多くの学びがあるので、事業承継に関わるような書籍は読むことが多い。

例えば、37歳で中小建設企業の4代目に就任し、「日本でいちばん大切にしたい会社」に選ばれるまでに成長をさせた三和建設の森本社長。

先代の急死によって31歳の若さで建材・建築資材通販のサンワカンパニーの代表に就任し、その後、東証マザーズに当時最年少社長として上場した山根社長。

このように、昨今ではアトツギ経営者の活躍が注目されるようになってきたこともあり、多くの書籍が発刊されるのでとても勉強になる。

個人的にその中でも好きなのが、セイワ工業・野見山社長の『会社を殺さないための「事業承継」の教科書 』だ。

その理由は、何と言っても、アトツギ経営者である野見山社長の若さである。平成4年生まれだから、いまでもまだ28歳・・・。熱量や適性があれば、経営に年齢はさして関係がないのだと思い知らされる。

そして、この書籍の中で、最も共感したのが、「会社の心臓部!5人のキーマンとは?」という章。

自分が会社を立て直した経験をもとに、会社を改革するには5人の見方が必要であると述べている。

①会社の幹部社員:信頼関係の上で忖度なく議論する人
②メイン顧客のキーマン:ファンになってもらいサービスを一緒につくる人
③メイン取引先の社長や幹部:円滑にビジネスするために連携する人
④メイン銀行の支店長や担当者:事業を理解してもらい資金的援助をしてくれる人
⑤税理士・会計士:法律を守るためのアドバイスをくれる人

大企業での新規事業も一人では何もできない。でも、すでに繋がりがある関係者が応援してくれれば、物事がスムーズに進みやすい。

上記の関係者を大企業新規事業の当てはめるとこうなると思う。

①会社の幹部社員➡立上げメンバー
②メイン顧客のキーマン➡最初のクライアントのキーマン
③メイン取引先の社長や幹部➡立ち上げに協力してくれる社内部署
④メイン銀行の支店長や担当者➡レポートラインの幹部
⑤税理士・会計士➡税理士・会計士 +弁護士

どれも等しく重要なキーマンだが、意外なものとして、大企業での新規事業の場合、⑤はとてもとても重要だと思う。

大企業の場合(特に上場企業の場合)、様々な法務・コンプライアンス上の制約が存在し、それが実行されていない場合、社内からの信頼が大きく失墜する。

立ち上げ期に、お金回りに加えて、法務面でスピーディーに相談できる人・部署を明確にしておくことが本当に重要だ。

もちろん、協力してもらう人が多いことに越したことはないが、野見山社長のように、最初に事業を理解し、応援してもらう人に、若干の優先順位付けをする考え方に共感した。

他にも、20代経営者の実践での学びがちりばめられた一冊。お勧めです。


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