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車いす姿勢崩れに「板」1枚で対応



まずは状況を確認し、原因を探る

すごーく当たり前のことを書いてます。ちょっと引きます。でも、結構それができていないケースっていうのがあるのも事実なんですよねー。医療職種から言われると言うこと聞いちゃうってパターンも多々ありますよね。みなさんどうですか??
例えば、
①看護師さんから「お尻に赤みが出たからエアマットにして」
②セラピストから「姿勢が崩れるからティルトの車いす持ってきて」とか。
まぁ、そもそも褥瘡リスクがある人にはAかBのマットレスみたいにチョイスする用具屋さんや、「機種指定してもらえたら…」的な用具屋さんは論外なので心当たりある方はページを閉じていただいたらいいかなぁと。医療職種の方もチームで動ける用具屋さんがきっと地域にいるとは思うのでなんとか探し当ててほしいです!!
あ、話逸れましたが、目的や課題があって、そのために現状を把握した上で仮説を立てつつ対応していくってのが医療現場でも言われる臨床推論っぽいことをチームでやっていくプロセスでいきたいなぁと。

例えば…の話でコメントしておくと

いちお例を出しちゃったのでちょっとコメントしておくと、
①「そもそもどこに?どんな形状の赤み??」「どのくらい動ける?動けない??」などなど質問しないとわからないですよね。
②んーと。「そもそも崩れてしまう原因は?合ってない?座り方?耐久性??」「姿勢が崩れると何が大変?そもそも車いすに座って何するの??」って聞きたいことが沢山!!
ってなっちゃうので、直接電話して看護師さんやセラピストさんからお話伺ったり、現場に同席させていただいたり….もちろん、必要に迫られているケースもあるのでエアマット持っていきながらヒアリングしつつってこともありますよ?

なんで「板」をいれるの??

んー、「変わります!!」っていうには質問を掘り下げないとむずいし、それだけでは変わらないことの方が多いんじゃないですかねー。ただ、先日のケースはひとまず本人や家族が問題視している姿勢の崩れは補正できました。なんで??
車いすの構造の話ですけど、特に日本の車いす(欧米と比較して)は折りたた機能があるものがほとんど。なので、座る部分は布になってますよね??なのでシートはたわみます。私たちは姿勢を整えたり、座り直しをしたりするので姿勢は崩れにくいですが、それが難しい方は崩れます。
・自分で座るんだけど真ん中に座れない(介助してもらっても同様)
・真ん中に座ったようでも座れていない(左右差があったりすると特に)
まぁ、どっちも真ん中に座れないってことですよね。そもそもど真ん中に均等に座れないし、身体も完全に左右対称ってことはないですよねー
で、なにが起こるかというと、骨盤が左右どちらかに傾き出すわけです。
んで、骨盤が傾けばその上の脊柱も曲がりだしたり、下肢も代償の動きをしたり本人の身体で補正しようとします。が、それが間に合わなかったり、時間経過で耐えられないと傾きだすわけですね。特に身体機能に制限があったりすると顕著にでます(下手したら、用具屋さんが自分で座っても自覚できない人もいます)。
そういう時にシートのたわみを無くしたいってなるので、クッションの下に板を入れることでネガティブに働く要素を消すって話になるわけです。単純ですよね。

ただの板なんですが、外側のrは大事

「板」1枚で姿勢変わるの??

今回の対象者の方は変わりましたねー
神経難病の方で、ご自分で車いす移乗もされていますが、やっぱり真ん中には座りきれないときもありますよね。で、室内では車いすで過ごす時間も長いので活動的な時間もあればリラックスタイムもあります。ご本人の調子の中で左右の崩れが本人も自覚、ご家族も気になっていたわけです。で、「板」1枚いれたら調子良さそうってことに。これでも左右差が気になるようであれば、背もたれシートの調整やラテラルサポートを含むシート幅に対してのアプローチもしましょうねって言っていましたがひとまず不要って。あ、もちろんリスクもあります。
・座った感じが感覚的に嫌だ
・シートのたわみ分がなくなるので足の着き方が変わる とか。
ここもだいたい先に説明しちゃいますけどね。変化が苦手でそこはあまり言わずに進めて反応を拾うこともありますけど、慣れも含め、すごーく嫌ではなければ2,3日は試してもらうことが多いですね(マットレスも同じ)。

雑なスケッチ…でもたまーにこういうのFAXします

それでも大事なのでは知識やテクニックではない

こういうときには知識やテクニックよりも信頼関係の方が大事だったりするので信頼されていない人が当てずっぽうでやるとうまくいかなかった時に次の対策なんかもしにくいし、信頼がなくなるので気をつけてくださいねー
要は、進め方が大事なんですよ。
本人家族だけでなく、信頼筋(今回は訪問リハが入っているのでその評価もとる)の声も確認しつつ共有し、まずは原因のベースになっていそうなことを共有し、優先順位も決めながら試して評価して(仮にうまくいかなくても次の動きが共有できている)..を繰り返す。なので、いっしょに理解したことを順番に本人、家族のペースで実施していく。ただ、それだけなんです。こういう感じで共有できていると、大事なことだと私は思うんですけど、本人の小さな違和感や家族のちょっと気になる視点自体は正しいですよって肯定すること。そのうえで、こちらがハード面でもサービスとしてもこちらで対応しきれないことはもちろんあるんですけど、「その違和感は正しいです!」って言うこと、大事にしてます。だんだん、いつの間にか言わなくなっちゃう人多いんですよ(持論ですけど)。「こういうものなんですよねー」ってなんとなくざっくり諦めを要求されてきた利用者さんもたくさんみてきましたし、実際そのうえで私たちが関わらせていただくこともあります。もちろん、すべてに「そうです、そうです」って聞くわけではないですし、ときには「それはできないです!」ってバッサリいくときもあります。変な期待はさせちゃいけないこともありますからね。時と場合ですね。

あ、これはシーティングで評価している写真ね

まぁ、話が長くなっちゃうのでこの辺にて。
コミュニケーションが大事で、そのうえで自分の立ち位置や前提を理解したうえでの出力調整しましょうね。チームのバランスや信頼関係がどんな状況か見極めてくださいね。私たちの仕事って生活環境調整だとすると、そういうバランス含めチューニングしていくのも大事ですよねーって話。

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