-[”秩序”は”自主性”で体現される]松本山雅FC戦- The press of EHIME NO.9(投げ銭式)
お疲れ様です。De:Lです。
遂にホームでの勝利おめでとうございます!!!
2連勝で降格枠も一旦抜けることに成功しました。實好監督に交代になって未だ負けなし。
もちろん監督の手腕というのも注目されるとは思いますが、私としては”川井監督と和泉監督のサッカーを實好監督が完成させた”と見えてしかたありません。
その辺り含め、今週も振り返っていきましょう。
また今回はオンライン勉強会の延長でツイッターのスペースという機能を使い、DAZNで同時視聴しながら通話していました。
ファン同士、スタジアムに行かなくても”インタラクティブ”な関係を作ることができれば最高ですね!
試合のときはリンクをツイートしますので、ぜひ聞きにきてください!!
また愛媛FCを学ぶオンライン勉強会やオープンチャットなど、ファンが交流できる場所には積極的に参加していくので、よろしくお願いします!!
いずみさんの運営するオンライン勉強会詳細に関するページへのリンク↓
オープンチャット↓
加えてお知らせというか、「eJリーグ」が開幕するということで私も本戦出場目指して頑張りますので、よろしくお願いします!
本記事では、”5レーン”や”4(5)レイヤー”などの戦術用語やシステム略称を用います。知らない単語がでてきますと、読みにくい部分もありますので、ぜひ下の戦術解説記事をご一読ください。
また前回の記事は以下になっています。
DAZNでは見逃し配信も可能です。現地にいった人もぜひ試合を見ながら振り返ってみてください。
このthe press of EHIME2021は2021シーズンの愛媛FCの一戦一戦に注目し、よかったこと(Gpoint)と悪かったこと(Bpoint)をまとめ、その試合から愛媛が学ぶことを整理したうえで、特定の選手(FeturePlayer)や、戦術を取り上げ、愛媛の進化を読み解いていこうという完全個人運営のnoteとなっています。ここでの文章、画像、考え方は完全に私個人のもので、愛媛FCとの関連はないもとし、DAZN映像からの引用も含め、一切の商標利用はないことを宣言しておきます。また、4節以降の投稿されたものは投げ銭式となっており、すべて無料で読むことが可能です。
では参りましょう!
1.振り返り
まず、スタメンはこちら。
フォーメーションは前節から引き続いて4141を採用。アンカーのポジションに田中に代わって前田がスタート。
岩井とのコンビでチームのエースへと駆け上る川村はこの試合は森谷とCHを組みました。
近藤が戻ってきてSH。しかし、まだCB陣は以前池田と西岡コンビ。ベンチにも大谷と浦田の名前はありませんでした。復帰が待たれますね。。。
注目は久々の先発、10番藤本。前節の好パフォーマンスを買われたのか、スタメン起用となりました。吉田にばかりフォーカスされていたFW陣ですが、ここにきて一気にコンディションが上がってきて、10番としての役目を果たす活躍が期待されますね。
交代を反映したフォーメーションは以下です。
久々に三原のSB起用。忽那の尽力もあって、快勝に大きく貢献したと思います。
前節、前前節では終盤になると5バックに変更して守備的に進める、というのが實好監督のやり方でしたが、今回は守備時に5バック、攻撃時は4141(4123)に可変するシステムであったため、明確に5バック態勢というわけではなかったですね。
とはいえ、終盤に5バックの時間が長かったのは事実で、これまでの”割り切り”を今後も続けていくものと思われます。
ではDAZN発表のスタッツを振り返ります。
前半はボールを持った展開と言えましたが、後半通してみると、そうでもないようで、パス数も前半は愛媛陣が上位を独占しましたが、後半は20本ほどの差をつけられた様子。
一方でシュート数に目を向けると藤本が6本、近藤が4本と圧倒。たくさんのシュートチャンスを作りました。
2.スタメン考察
論点は以下です。
・2列目の4枚の関係
・森谷のフリーマンシステム
・アンカーに前田
・藤本の先発
・小暮と茂木の関係
2.1.2列目の4枚の関係
2列目と書きましたが、実際は、小暮を除いた近藤、川村、森谷、前田の4人を指しています。
これはアンカーポジションに起用された前田についても言及することになるのですが、この4人が非常に流動的にポジションを変更して、数的有利(オーバーロード)を作ったり、時間稼ぎ(”タメ”をつくる)をしたり。
その中でも、久々の先発となった森谷が躍動
スタメンのフォーメーションだけ見れば、森谷は本来は右サイドを主戦場とするはずですが、前半は特に前田とSB、SHとコンビネーションでサイドを崩すシーンが見受けられました。
前半9分直前のシーン。赤い〇が森谷。
このシーンではアウトサイドレーンに入っていますね。青い〇で示した”対応に来た”相手選手を含めて、局所的に考えると
このように各レーンを定義しても問題ないはず。
小話にはなりますが、5レーン理論の広義化、というか多様化には自分は大賛成で、この画像も画像上の敵の1番と2番はCBとSBではなく、WBとSB(SH?)に当たります。
それでも5レーン理論の根底にある、”相手選手間を有効利用する”ということを頭においてさえ置けば、画像のようにレーンを再定義してもいい。というかしたほうがいい。
さて、話を戻しますが、このシーンでは完全な数的有利ができていますね。茂木と小暮がスイッチし、森谷がワイドに張っている、そこに前田がサポートによっている。
画像のように4人いるのに対し、山雅の選手で明確に対応にきたのは3枚。
この人数を用意した(オーバーロード)ことはそれはそれで重要な戦術なのですが、注目したいのは、画像のように綺麗に5レーン理論に則った三角形を作れているということ。
ただ人数有利を作ろうと思えば、人を持ってくればできます。しかし
そこに”秩序(5レーン理論)”を以てオーバーロード(人数有利を作る)することが重要です。feated.by川井健太監督
さて、直後のシーンを見ましょう。
これは直後の9分30秒辺りのシーン。時間にして僅か30秒後の出来事。
森谷の位置を見てください。先ほどと逆サイドのアウトサイドレーンにいます。
これを最初見たときは目を疑いましたww
これも局所的にみると
このように各レーンを定義できるはず。最終的には近藤(画像1番)が抜け出しますが、惜しくも得点できず。
ここでも森谷がアウトサイドレーンに。そこに前野と前田がサポート。近藤が相手2枚のギャップ(画像相手7番と5番の間)で待っている状況。
ここでも対応している相手は3枚なのに対し、森谷が流れてきたことで、4枚にオーバーロード。
先ほど同様に、ただ人を集めるのではなく、秩序を以て人数有利を作り出す。
画像のようにハーフレーンに前田、ミドルレーンに近藤が位置し、三角形を形成。その後も自由にポジション変更を行いながらも、三角形を再構築し続けて突破。見ていて胸のすくような美しいプレーでした。
このように、前4枚の中でも、森谷と前田は積極的にサイドを移動して人数有利を作ることに貢献しました。
森谷は試合後のインタビューではこのように答えています。
”どこに行ってもいいと言われていた。だから全部のエリアで関わり続けようと思った。”
川村という存在と共存することで自らを証明した岩井のインサイドハーフ起用とはうって変わり、
川井サッカーの延長というか、近藤がかつて川井監督政権下で担当していたような”フリーマンシステム”を体現して自らを証明した森谷。そしてそこに”時間(タメ)を作る役割”でフィットした前田。
岩井も川村もうかうかしてられませんなぁ!!!!
近藤のフリーマンシステムについては以下の記事の一部にあります。
2.2.小暮と茂木の関係
實好監督政権下で3戦連続で右サイドを任されている二人。
この関係がこの試合でより一層素晴らしくなったと思っています。
ここの関係については後述する可変システムでも話題になるので、さっとだけ済ませようと思うのですが、
”茂木の攻撃参加を小暮が担保している”というとわかりやすいといいますか。
この試合は積極的に茂木が攻撃参加していたわけですが、そのオーバー(インナー)ラップ回数はなんと試合を通して15回(ハーフウェーラインを超えたものをカウント)。
これは相当多いですw
先ほど、森谷のところで紹介した画像ですが、茂木の位置わかりますかね?
画面の一番左の黒丸です。
一方で小暮は一番右の黒丸。普通逆やろwとツッコミたくなるところですが、これがストロングポイントでありウィークポイント。
SBとSHが入れ替わることで生まれるデメリットは簡単。守備寄りの選手であるSBが上がればその分守備が手薄になり、カウンターに弱い。
ではメリットはなんでしょう?
もちろんいくつかありますが、和泉サッカーと川井サッカーが背景にあることを考えると
・人数有利を作り出せる
・今までいなかった人間がいる(攪乱)
・ゲーゲンプレスにおいて有効
の3点でしょうか。
そもそもディフェンス要員の人間が上がれば、予定されていたマークとは別人が来るわけですから、攪乱に使えます。マークがズレればより一層細かくパス回しが可能ですね。
和泉サッカーを考えると、ゲーゲンプレスは忘れたくありません。難しい用語を使わずとも、カウンター対策と言えばいいでしょうか。
ディフェンスが得意な選手が前線にいれば、ボールを奪われたとしても、すぐさまプレッシングし、ボールを前線で奪い返せるわけです。
攻撃からの守備へのトランジションにおいても、オーバーラップ(インナーラップ)は有効とされてきました。
3.進化するゾーンディフェンスver.2.0
さて、前節で話題にしたゾーンディフェンス。
今週も変化が見れたので、解説していきます。
3.1.4141からの可変
大枠はもちろん4141です。ここからいくつかの変化を遂げて、局面局面で有効的なサッカーを展開する。これが實好監督が与えた”秩序”です。彼は自主性を重んじてはいますが、秩序は自主性によって体現されます。
前回との比較も交えて、今週の4141を振り返りましょう!
こちらは前節のスタメン
こちらが今節のスタメン
どこが大きく違うと思いますか?最も違うと思うところを考えてみてください。
おそらく一致しているとは思うのですが、
アンカーの位置が”守備的な田中”から、”攻撃的な前田”へと変更している
ではないでしょうか?
そこで今節ではディフェンス時に前節との大きな違いが見受けられました。
もちろん、4141でのアンカーというポジションの重要性は前回の記事で言及した通り。
それだけこのDMFに誰が入るかでチームの色が変わります。
前回の田中のように守備的な選手が入った場合、多くは451へ可変します。これも前回からの引用ですが、
このように守備時に可変していました。
一方で今節の守備時の可変はどうだったか。
わかりやすいシーンを探すのが難しくてこんなので申し訳ないんですが、上の画像を見てほしいのですが、5バックを敷いているんですね。
可変をわかりやすくするとこんな感じ。
小暮がSBとして5バックの一角に落ちてきて、近藤&藤本&森谷で3トップでファーストディフェンダーを務めます。
別に5バック自体は實好監督にとって至極普通な戦術のうちの一つなんですが、時間を見てほしいんです。これ前半です。
だから?と聞こえてきそうで不安でならないですがw
前節までの實好監督ならば、5バックを使うのは後半。もっと言えば後半の終盤。引いて守るために使っていたはずでした。
しかし、今節は前半から使用。
つまり、前田DMF起用による守備力不安を、5バックを前半から使うことによって補ったわけです。
3.2.茂木のリベロ
これは言及するか迷ったんですが、茂木と小暮の関係の延長と考えていいと思うのですが、
守備時に5バックを敷いているので、相手の前線にすべてついても1枚余ります。
その余り枠として高い位置にもディフェンスしにいっていたのが、茂木です。
松本は攻撃のビルドアップのときは3バック制。中盤に3枚で前線に張ったWBも合わせて4枚いる体制です。
したがって画像のような数的不利が中盤に現れるはずですが、そこに茂木が高い位置でアタックすることで、一時的にその人数不利の分を補填しています。
奪えれば、そのまま攻撃参加し、人数有利を作りやすくなります。
一方で自陣のハーフレーンをがら空きにしますから、カバーが重要です。
ここでは上がった茂木の裏をCBからのパス一本で狙われたシーン。ここでは小暮がカバーに入り、無事難を逃れています。
3.3.ゲーゲンプレスの成熟
ゲーゲンプレス。和泉サッカーで頻繁に登場した用語ですね。
ゲーゲンプレス
・・・ボールを奪われた瞬間にネガティブトランジション(攻撃から守備への切り替え)を完了し、すぐさま人数をかけてプレッシング。奪ったのちにショートカウンターを仕掛ける戦術。
もちろん、實好サッカーというのは、川井サッカーと和泉サッカーの融合と成熟を果たしたものだと思っているので、当然単語としては出てきて自然。
そこで今回はその”成熟”に着目したいですね。
ゲーゲンプレスの成熟と一重にいいましても、
・ネガティブトランジションが早くなった。
・プレス速度が速くなった。
・人数有利を生かせるようになった。
などありますが、正直言ってしまえばその全てというわけです。ただもう一つ着目したいのは、ゲーゲンプレスが発動した時間です。
ここのシーンでは、森谷がボールを相手陣内で奪われた直後、川村と小暮と3人でプレス。それを見た前田と茂木がそれぞれカバーに回っています。
ここら辺の細かい役割分担や切り替えの早さは非常に成熟している印象です。
一方で、時間は79分ほど。後半の中でも後半と言えるでしょう。
この時間帯になれば、肉体的な疲労もさることながら、頭も疲れて糖分を欲しがっている時間帯。
その時間であっても、これだけのクオリティを発揮できる愛媛の選手たちの頑張りといいますか、成長を素直に賞賛したいですね。
4.まとめ
川井監督が、”攻撃理論”を
和泉監督が、”守備理論”を
實好監督が、”システム(秩序)”と”自主性”を
その三つが合わされば、きっと愛媛はもっともっと強くなれる。
前節からこちらをテーマに3人のサッカーの融合を垣間見ているわけですが、今節はいかがだったでしょうか?
さて、今日はホームで未だ無敗の新潟戦です。
この試合に2連勝をもって挑めるのは本当に大きいことですね。ホームで連勝!無敗の牙城を崩す愛媛が見れることを期待しています!!!
今回もfootball.labさんのデータを参考に書かせていただきました。
愛媛FCを中心とするサッカー関連記事を書いています。ぜひご一読どうぞ。
昨年の振り返りは以下の記事です。
今回はご一読ありがとうございました。
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