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⑨新店舗ができるまで~物件は見つけた!設計士さんを探す日々。

創業10周年を目途に「自宅ショップ」から飛び出したいと考えていました。5年ぐらい前から、なんとなく物件探しをしていました。不動産屋さんのサイトをチェックする程度ですが、3か所ぐらいの物件を実際に見に行ってみたこともありました。

ネックは「テナント料・家賃」です。新宮町は人口増加率全国一位の町で、大人気。マンションや戸建てがどんどん建って、小学校や中学校が新設されるほどです。住宅地として人気がある場所へは、色んなお店が出店します。おひさまや創業時にはなかったIKEA、スターバックス、ユニクロ郊外店、カインズ、星野珈琲店、コメダ珈琲店など全国に展開しているお店がどんどんオープンしました。地価は上がり、テナント料も年々上がっていました。削れない場所なので、無理はできません。目標だった開業10年目になってもピンとくるような物件が見つかりませんでした。出会えるのを待つしかないなと、のんびり探すことにしました。

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新しいおひさまやは、ここです。でも実は、こちらは裏側。地元の方ならすぐにわかるかもしれませんね。とても見通しのよい通り沿い、広い駐車場の向こうにあります。

開業11年目の今年の4月30日の夜。事務仕事の休憩がてら、不動産屋さんのサイトをチェックしていました。いつも見ているサイトでなく、検索ワードをなんとなく入れて開いてみると、すぐ近くの平屋が出ていました。改築自由。しかもテナント料が激安。新宮町は15万~25万が相場ですが、破格の家賃設定でした。

「お?これは・・・!?」

赤ちゃんとベビーカーのお客様や車いすの方も来店しやすいように、ビルの中ではない方がいいな、なるべくハード面でのバリアーは取り除いておきたいなと考えていました。一番理想としていた「平屋」です。しかも現店舗から歩いても5分程度で、移転後のご案内もしやすい場所。これは出会ったかも!?とピンときて、「こんなに安い理由がなんかあると思う?」と夫にPC画面を見せました。「近所だから、ウォーキングがてら見に行こうか」と夫が言ってくれたので、23時頃でしたが二人でスポーツウエアに着替え、見に行きました。

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真夜中にパシャリと撮影。正面です。左の方に建物が伸びています。

夜遅いので、あまり建物には寄らず、通り過ぎる感じでしたが「ここにしたい」と思いました。夫も「場所がいいね。明日、不動産屋さんに電話してみよう」と好意的でした。取り急ぎ、帰宅してから管理している不動産屋さんにメールしました。いつも見ていた大きなサイトいくつかには載っていない物件でした。大家さんが不動産屋さんを指定していらっしゃるようで、1つのテナントにいくつもの不動産会社が募集をかけている物件ではありませんでした。こんな店があったらいいなと考えて入力して検索して出会えた物件。やっぱり「出会い」なんだなぁとあらためて思いました。

翌日、不動産屋さんに物件の中を見せていただけるよう、問い合わせをしました。ゴールデンウィークで長期休業中でしたが「たまたま書類を取りに会社へ上がるので、鍵を持って寄りますよ」と電話に出てくださった方が物件を見せてくださることになりました。

正面の玄関は、懐かしい雰囲気の引き戸です。

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おじゃまします、と言って中へ。いやー、この玄関のタイルの柄。最近では見かけないサイケっぽさがありますな(笑)

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前入居者は、家具をアンティーク調にペイントする仕事をなさっていたようです。和室にフローリングが敷かれ、改装したあとがあちこちにあります。手作りっぽい棚も見えます。キッチンも広くて勝手口もありました。

勝手口の向こうの通路が広くて、アパートの通路ぐらいはあります。「どんなふうに改築改装してもいいし、出るときは戻さなくてもいいと大家さんはおっしゃってるんですよ」と不動産屋さん。大家さんとの信頼関係が厚いようで安心しました。

パノラマ撮影してみました。

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現店舗の何倍になるでしょうか。考えるとわくわくします。即決定・・・・したいところですが、いざ決めるとなると迷います。
リノベーションしなければならないので、設計してくれる人を探す必要もありますが、はっきりとしたアテはまだありません。
改装にどのくらい費用がかかるのかわからないと、どんなに家賃が安くても払えるのか不安です。
不動産屋さんに相談すると「少し検討してもらっていいですよ」とのこと。興奮しつつも冷静に考える時間をもらえました。
でも、決めたい気落ちは100%。
あとは現実、お金とデザインでした。

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設計してくださる人に出会うまで、4社に相談しました。

最初に、家を建ててもらった工務店さんを思い浮かべました。現店舗も家も、とてもよかったので同じように素晴らしい店舗にしてもらえる確信があったからです。でも、工務店さんは11年前と比べてかなり大きな会社に成長していて、予算や店舗のリノベーションという点で難しそうでした。少し打診してあきらめました。

次に相談したのは、おひさまやのお客様がお勤めの工務店です。何よりもおひさまやの雰囲気や、おもちゃの良さをよく理解してくださっているので、イメージを理解していただきやすいのではと思いました。現地も見てもらいました。床下や天井裏の状態まで念入りにチェックしてくださいました。

半月くらいかけてイメージを伝え、プランを出してもらいました。9月オープンを目指していますが、工期(大工さん)のスケジュールがどうしても合わず、断念。大工さんのスケジュールが空くまで待てば、その分だけテナント料も発生します。1~2カ月でも大満足の店舗にできるなら待つか、と悩みました。おひさまやでは、クリスマスプレゼントを探しにいらっしゃるピークは10月後半~11月末。それまでにレジ回りや一日のオペレーションを確認しておきたいし、広くなる分、おもちゃの位置も変わるので棚割を覚えておきたいし・・・。準備にはそれなりの時間が必要です。おもちゃ屋が一番忙しいクリスマス前(新店舗オープンならいっそう忙しいと期待して!)、やはり1か月でも早くオープンできることが理想でした。

同時に、店舗の設計・改装をたくさん手掛けているデザイン事務所にも相談しました。ブックCaféなどで流行っているアメリカンな雰囲気が得意で、事務所もおしゃれ!並んでいるアンティークドアのサンプルを眺めるだけでドキドキ楽しくなる会社でした。

ここへは夫とデートを兼ねて一緒に相談に行きました。代表の設計士さんは男性で、店舗のリノベーションに慣れている方でした。解体しながら現場を見ながら、がモットーのようで事前にイメージが湧くようなイラストなども無し。申し込み前なので当然といえば当然ですが、ドイツなどのヨーロッパの雰囲気とアメリカのジャンクなイメージの違いもあるし、少し不安でした。でも絶対おしゃれな店になるだろうなぁという確信を与えてくださる会社だったので、悩みました。

夫が「こういうお店にしたい、というイメージを共有できるって思える?」と問いかけたとき、私は即答で「いや、おしゃれな店になると思うけど、私の店じゃないものができそうな気がして」と答えていました。「じゃあ違うのかもよ?」と、決断へ背中を押してくれました。

店のことは基本的にひとりで考えます。夫は一番身近な信頼できるパートナーですが、おもちゃのことは全く知らないし、仕事は新聞記者です。そして結婚したころに私の家族が驚いたぐらい、基本的に言葉で褒めたたえてくれる人。他人の悪口も言いません。料理を作れば「美味しいねー!料理が上手だね~」と絶賛。ちょっと掃除すれば「わーキレイになったね!気持ちがいいねぇ」と満足気。幸せですが、店のことで悩んだときはちょっと物足りない(わがままですかね)。拡大移転を検討しているときも、こうでした。新しい商品を並べてみたんだけど、とチェックしてほしくて声をかけると「わー面白そうだね。お客さんが喜ぶよ!」と絶賛。ちょっと自信がなかったので夫に声をかけたけれど、あまりに『褒める』しかないので不安に。。娘を呼んできて「どうかな」と再チェックを求めてしまいます。すると娘が「もう少し高いところに置かないと赤ちゃんが触るからこわれるよ」などと鋭い指摘をしたり。んー、頼りになる?!

でも、この夫が褒めて称え続けてくれるからこそ、11年自信を持っておもちゃ屋をやれたんだと思います。どんなに落ち込んで相談しても「いや、大丈夫だよ」「みんな喜んでるよ」「帰りたくないって子どもが泣く店なんて他にないよ」と励まして、プラスの言葉のシャワーを浴びせてくれます。本当に感謝。

気づけば、もう5月下旬。月末までにはリノベーションの内容を大家さんに伝えて、了解をいただいてから本契約をする予定が、なかなか設計士さんが決まりません。焦る気持ちは募りますが、おひさまやのお客様の会社でも、おしゃれなデザイン設計事務所さんでもないところを新たに探すことにしました。

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