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第1話から読む。 前話(17)から読む。 * * * * * 第4章:虹――<スイング> 01 翌日は、朝から晴れていた。 縁側の端から、朝の光の束が細い筋となってハープの弦のように並び、居間まで射し込んでいる。光の音色が聞こえてきそうだと翔子は思った。 ――昨日、梅雨入りが発表されたというのに、空も気まぐれね。 広縁から庭に下りて、空を見あげる。 刷毛ではいたような薄い雲がたなびいていた。築山の裾で紫陽花が白くまるい顔を輝かせている。 翔子は、うーんと大きく
第1話から読む。 前話(16)から読む。 <登場人物> 翔子:主人公 芳賀啓志:翔子の父 芳賀朋子:翔子の母 芳賀登美子:啓志の母、翔子の祖母 芳賀仁志:啓志の父、翔子の祖父 ジャン:翔子の夫(イギリス人) 鳥越玲人:翔子の従兄 * * * * * 第3章:帰宅――<ホーム> 09 「いい機会だから、私からもひとつ謝っておこう」 翔子の視線を受け止めると、父がまるで世間話でもする気軽さで言う。 雨があが
第1話から読む。 前話(11)から読む。 <登場人物> 翔子:主人公 芳賀啓志:翔子の父 芳賀朋子:翔子の母 芳賀登美子:啓志の母、翔子の祖母 芳賀仁志:啓志の父、翔子の祖父 ジャン:翔子の夫(イギリス人) 鳥越玲人:翔子の従兄 * * * * * 第3章:帰宅――<ホーム> 04 「暑くなってきたね」 陽は射しこまずとも、ぬるく居座る熱気はすべりこむ。 父は立ち上がると、書斎机の前の窓を閉め、エアコンの