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小説『虹の振り子』

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中編小説『虹の振り子』をまとめています。 国際結婚と家族の物語です。
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2021年9月の記事一覧

小説『虹の振り子』07

第1話(01)から読む。 前話(06)から読む。 <登場人物>  翔子:主人公      芳賀啓志:翔子の父      芳賀朋子:翔子の母           芳賀登美子:啓志の母、翔子の祖母       芳賀仁志:啓志の父、翔子の祖父         ジャン:翔子の夫(イギリス人) * * * * * 第2章:父ーグラウンド 03  翔子が生まれた朝のことを、啓志は近ごろよく思い出す。  日付の変わった深夜に陣痛をもよおした朋子を親戚が営む産院に車で連れて行った。  

小説『虹の振り子』06

第1話(01)から読む。 前話(05)から読む。 <登場人物>  翔子:主人公      芳賀啓志:翔子の父           芳賀登美子:啓志の母、翔子の祖母       芳賀仁志:啓志の父、翔子の祖父         ジャン:翔子の夫(イギリス人) * * * * * 第2章:父ーグラウンド 02  春の海のような人だと思った。  はじめて朋子に会ったのは嵐山の料亭だった。淡い縹色の訪問着がよく似合っていた。庭の桜が風に舞って二、三片うすい水色のきものの肩に乗った

小説『虹の振り子』05

第1話(01)から読む。 前話(04)から読む。 <登場人物>  翔子:主人公      芳賀啓志:翔子の父           芳賀登美子:啓志の母、翔子の祖母       芳賀仁志:啓志の父、翔子の祖父         ジャン:翔子の夫(イギリス人) * * * * * 第2章:父ーグラウンド 01  芳賀啓志は、書斎の北向きの窓を開けた。  さっと風がカーテンの裾を舞い上げる。庭では雀がしきりに賑やかな声を立てていた。朝の5時を回ったところだ。あたりは、うっすらと

小説『虹の振り子』04

第1話(01)は、こちらから、どうぞ。 前話(03)は、こちらから、どうぞ。 <登場人物> 翔子:主人公 ジャン:翔子の夫(イギリス人) * * * * * 第1章:翔子ーフライト04  ジャンは卒業すると教授の紹介で美術館にアシスタントキュレーターの職を得た。その2年後に学位卒業した翔子は、小さな古書店に勤めた。ジャンと暮らしていたアパートはシティの近くだったから、金融機関に就職すれば、もっと良い給料が得られただろう。だが、古書店は翔子にとって憧れであり、イギリス留学