大河ファンタジー小説『月獅』24 第2幕:第8章「嘆きの山」(4)
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第2幕「隠された島」第8章:「嘆きの山」(4)
泉のまわりは高い樹木がなく、そこだけぽかりと空いた穴のように天に向かって開けている。だからいつでも明るい。ところが、迷いの森では高い樹木が陽射しをさえぎり、進むにつれて蔭が濃くなりたちまち鬱蒼とした。見あげても厚く重なる葉裏が連なるばかりで、空はかけらも見えない。白の森も樹木が生い茂り空は見えなかったけれど、白く輝く光が森のそこかしこに神々しい