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大河ファンタジー小説「月獅」

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天卵を宿した少女と、天卵の子の物語です。
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#小説

大河ファンタジー小説『月獅』 3

はじめから読む。 前話<第1章:白の森(2)>から、読む。 第1幕「ルチル」第1章:白の…

deko
1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』9   第1幕:第3章「森の民」(3)

第1章「白の森」<全文>は、こちらから、どうぞ。 第2章「天卵」<全文>は、こちらから、…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』10  第1幕:第4章「蝕」(1)

第1章「白の森」<全文>は、こちらから、どうぞ。 第2章「天卵」<全文>は、こちらから、ど…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』12  第1幕:第4章「蝕」(3)

第1章「白の森」<全文>は、こちらから、どうぞ。 第2章「天卵」<全文>は、こちらから、…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』15   第2幕:第6章「孵化」(1)

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 前話(『月獅』14)は、こちらから、どうぞ。 …

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』16   第2幕:第6章「孵化」(2)

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 前話(15)は、こちらから、どうぞ。 第2幕「…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』17   第2幕:第6章「孵化」(3)

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 前話(16)は、こちらから、どうぞ。 第2幕「隠された島」第6章:「孵化」(3)  それは美しい満月の夜だった。  ルチルとディアは一年でもっとも美しい月夜を楽しもうと、海をのぞむ草原に並んで座っていた。二人のあいだに天卵の籠を置いて。ヒスイはディアの肩に止まっている。  夕陽が群青に透ける闇をつれて水平線の彼方へと遠ざかってゆく。入れ違うように闇を統べる白い月が姿をあらわし、海原はまた透明に輝きはじめた。  島についてから

大河ファンタジー小説『月獅』18   第2幕:第6章「孵化」(4)

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 前話(17)は、こちらから、どうぞ。 第2幕「…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』19   第2幕:第7章「もうひとつの卵」(1)

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 前話(18)は、こちらから、どうぞ。 第2幕「…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』20   第2幕:第7章「もうひとつの卵」(2)

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 前話(19)は、こちらから、どうぞ。 第2幕「…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』21   第2幕:第8章「嘆きの山」(1)

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 前話(20)は、こちらから、どうぞ。 第2幕「…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』22   第2幕:第8章「嘆きの山」(2)

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 前話(21)は、こちらから、どうぞ。 第2幕「…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』23   第2幕:第8章「嘆きの山」(3)

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 前話(22)は、こちらから、どうぞ。 第2幕「隠…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』24   第2幕:第8章「嘆きの山」(4)

第1幕「ルチル」は、こちらから、どうぞ。 前話(23)は、こちらから、どうぞ。 第2幕「隠された島」第8章:「嘆きの山」(4)  泉のまわりは高い樹木がなく、そこだけぽかりと空いた穴のように天に向かって開けている。だからいつでも明るい。ところが、迷いの森では高い樹木が陽射しをさえぎり、進むにつれて蔭が濃くなりたちまち鬱蒼とした。見あげても厚く重なる葉裏が連なるばかりで、空はかけらも見えない。白の森も樹木が生い茂り空は見えなかったけれど、白く輝く光が森のそこかしこに神々しい