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蜜月歩行 [0730日記]

明け方トイレに起きた時、フローリングへ吸いつく足の裏が面白くて、隙間がないじゃんと笑いながら気づいた。これが扁平足ではないか。大学の喫煙所でよく顔を合わせていた人が「俺、土踏まずないから歩いてて疲れやすいねん」と言っていた。彼が歩くたび、ビルケンシュトックのサンダルと足の裏が、電車のドアのようにぴったり閉じていた。スパルタ保育園に0歳から預けられていた私の土踏まずは、裸足教育で鍛えられていたはずだったのに。

すっかり目が冴えてしまって、白黒つけないといけない気がした。昨日観たパッチギの熱がまだくすぶっていて、アンソンのセリフ「これが俺のパッチギや!!!!!」を口にしながら、足の裏に竹串を差しこもうとした。一切の侵入を許さなかった。

"空に憧れても翼ひとつ生えないまま
背丈ばかり伸びてゆくのは
あなたのその足が
土との別れを拒んだから"

MONO NO AWAREが歌う、異邦人の歌詞を思い出す。心地よい想像の余白を残すこの曲が好きでよく聴いていたのが、27年目の真実を知ったことで"扁平足ファイトソング"に思えてきた。どうしたら改善するのかもわからないので、足の裏と地面の蜜月は続く。

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