今日を思い出にしないために
うたたねした昼下がり。窓から心地よい風がはいり、レースカーテンがなびいている。こんなにいい天気なのに散歩に行かないのかと、さっきからちょいちょい誘いを受けている。
散歩に出かけよう。
ずっと一眼レフを手にしていなかったけれど、ようやく手にできる
ドラクエウォークで、ポイントを通りたい私と、ナナのご意向とのせめぎあい。ナナが立ち寄りたいチェックポイント(電信柱)と、倒したい敵にタッチしたい私。右に左にとくねくねしながら道を進む。
それにしても、天気がいい。
近場の大きな公園には、密をさけた家族連れが大勢いた。
それでも、お店屋さんのような混雑ではない。
さわやかな風が流れ、写真を撮りながら歩く。
こんなに気持ちがいいと、あとから思い出してしまうよ。
いなくなった後のことが心のどこかにある。
いつかは訪れるタイミングで、ショックを受けないように。
心のどこかであいまいな覚悟を抱えたまま、過ごしている。
そうやって心の中の悲しみのゾーンに何重にもクッションをおいている。
ほんのちょっと、ナナの健康診断で検査結果がよくないと、そんなクッションは役にも立たないけれど。
iPhoneと一眼レフを交互に、ナナを撮る。
私は、ナナの専属カメラマンだ。
ずっと、今日はいい一日だったと思っていた。
だから、この満面の笑みを描こうと決めて、描き始めた。
いい感じじゃんと自画自賛したけれど、これが最高の思い出になんかさせたくないという気持ちも同時にわいてきた。
もっといい思い出をたくさん作って、上書きしたいという感情がわいた。
毎日どこかに連れていくわけでもなく、たくさん寝るナナと当たり前の生活をしていきたい。
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