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映画『荒野に希望の灯をともす』見てきました

この映画のことは、ずっと気になっていたのです。大干ばつに困窮するアフガニスタンで、用水路を建設し多くの人々を救った、あの中村哲医師の記録の劇場版です。

 上映会があるというX(Twitter)に、いつも「いいね」をしていた。近くでやらないのかなと思っていたら、見つけました。まあまあ近く。それも明日まで。

 急いで行ってきました。



中村医師の足跡

中村哲医師のことを少し説明します。
(参考:映画のパンフレットとWikipedia)

 アフガニスタンとパキスタンで35年にわたり、病や戦乱、干ばつに苦しむ人々に寄り添いながら医療活動を行なってきた。無医村地区にも出向いた。

 しかし、2000年、アフガニスタンを大干ばつが襲う。9.11アメリカ同時多発テロと、それに続くアフガニスタン空爆。農業は壊滅し、飢えと渇きで瀕死の人々。医療で救うのは限界と、中村医師が決断したのは、用水路の建設だった。

 無謀ともいえる計画。しかし、中村医師は土木を学び、自らユンボを操り、難工事を乗り越え、7年の歳月をかけて用水路を作り上げた。荒野は緑の大地へ姿を変え、農業を蘇らせた人々は命をつなぎ、いきいきとした生活を取り戻した。

 そして、2019年中村医師は車で移動中に、何者かの凶弾に倒れた。

 

映画の感想

いろいろ考えました。

①丁寧な記録


「中村医師といえば用水路」とすぐに結びつけていましたが、そこだけではなかった。なぜアフガニスタンだったのか。どんなことを思って医療活動をしていたのか。そしてなぜ用水路を作ろうと思ったのか。カメラが丁寧にたどってくれます。


 
 これ、本当によくカメラを回して、記録に残していてくれていたなと思います。21年間、1000時間の映像だそうです。ていねいにカメラを回し、ご本人が話す映像もたくさんあります。これは貴重です。メモしたい言葉がたくさんあった。

 中村さんといえば優しいというイメージです。いつも穏やかで、声も笑顔も優しいです。でも印象に残ったのが、その眼光の鋭さです。もちろん冷たいのではなく、苦境の中で、これからどうしたらいいのかを熟考している。未来を見通そうとする冷静な眼だと思いました。

②ほっておけなかった


 中村医師は、最初は山岳隊の帯同医師として、その後、日本キリスト海外医療協力会から派遣されてパキスタンのペシャワールに赴任します。ハンセン病を中心に医療活動をしていました。ハンセン病患者さんの症状がひどかった。診てもらおうとたくさんの人々が山を越えてやってきた。


 中村医師が言います。「ほっておけなかった。誰か他にする人がいれば良いが、いなかった」
そうか、そこに困っている人々がいて、それをほっておけなかったのですね。ここが原点なのかと思いました。

③ひとつ一つの命


中村医師の診療に、たくさんの人がやってきます。赤ちゃん、子ども、お年寄り。それを見ていて、「ああ、一人ひとりに命がある」と思いました。みんな生きていると感じました。

 誰一人として、軽んじられることがあってはならない命。

④アフガニスタンの悲惨な状況の中で


 大干ばつ。飢え。貧困。
 アフガニスタンの生活は想像を絶します。用水路が完成してからも、各地で大干ばつは起こります。これはたぶん昔から繰り返してきたのでしょうね。運命なのでしょうか。地球の温暖化も関係しているのでしょうか。

  そして、空爆。「国」ってなんだろうと思いました。はっきり言うと、この国の政治はどうなっているのかと。国民が困窮しているのに。
 
 でも、そんな単純なものではないだろうなとも思いました。宗教問題やミャクミャクと営まれてきた世界の歴史もあるし。一つの国で、地域で解決するものではない。今の世界情勢をみたらわかる。それでも戦乱が収まらないのは何で?と憤りを感じます。


 ・・・すみません。勝手なことを言っています。まだまだ勉強が足りないです。
パンフレットの表紙の中村さんの表情を見ていると、胸に迫るものがあります。
 

⑤父の英雄


 中村哲さんといえば私の父です。中村さんと父は同郷です。父はしょっちゅう中村さんのことを「素晴らしい人だ」と称えていました。故郷の英雄というように。中村さんの活動を支えるペシャワール会にも賛同していたのではないでしょうか。ちなみに中村さんは同じく同郷の作家火野葦平の甥っ子です。

 平和を願い続けた父のことも思いました。

最後に


中村哲さんは愛と叡知と実行力の人だと思いました。そうそう、付け加えると、中村さんのすごいところは、ただ援助するのではない。用水路やナカムラメソッドと言われる堰(せき)を現地の人が作れるように、つまり自立を考えていたことです。学校も作っています。


この映画を多くの人に見てもらいたいと思いました。夫も興味がありそうでしたが、上映が朝早かったので諦めていました。(諦めるな!)

そして、私のように、何となく知っているけど、そこから詳しいことをちゃんと知るのは大事だなと思ったのでした。

パンフレットの表紙

ここまで読んでいただいてありがとうございました。(正直な気持ち)

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