『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読みました。
この前歯医者の待ち時間に買ったもう一冊がこれでした。
ずっと読みたかったのですが、チャンスがありませんでした。文庫本が出ていたので、買ってみました。そして、半分くらい読んでいたのですが、昨日の日曜日、貴重な午後の時間を残り全部使って読んでしまいました。感想を書いてみたいと思います。
目次
・私の感想
・ノンフィクションか小説か
・⒓歳の子どもの感性
・シンパシーとエンパシー
・いろいろあって当たり前
余談
・文庫本より単行本
・この本の感想文の書き方
1、ノンフィクションか小説か
まず、全部読み終わった直後の感想は「日本とは違う世界があるのだなあ」というものでした。たくさんの人種が住む国、それぞれの生き方、学校制度、日本にいるだけではわからなかったことです。
そして、あとがきを読んで、これが「ノンフィクション」であることを知りました。確かに帯にも「ノンフィクション本大賞受賞」とあります。
「そっか、ノンフィクションなんだ」と思いました。あとがきを書いた選考委員の一人である日野氏は「エッセイではないか」という疑問が拭えなかったそうです。著者自身もノンフィクションとしては王道ではなく、異質であると感じていると受賞スピーチで語ったということです。
私は「小説」と思って読みました。小説だろうがエッセイだろうがノンフィクションだろうが構わないのです。私小説というのがあるくらいだし、ほぼ事実だろうとは思っていたからです。
では、小説ではなくノンフィクションとして見てみます。私は「この息子はなんて素直でなんて賢いのだろう」と思いながら読み進めていました。多少脚色があったり都合の良いように書いてあるのだろうと思っていました。でも、息子の言動は事実ということになります。
改めて、この息子の感性に驚きます。素直に自分の気づきを言葉にする。自分の信じるほうに行動する。わからないことは確かめる。相手を尊重する。これが12歳?恐るべし⒓歳。
たぶん、違う国に生まれた両親を持ち、多様な人のいる街に住み、いろいろな友達と出会う中で生まれた感性なのかもわかりません。「良いように育っていますね」と言いたいです。
2、シンパシーとエンパシー
正直難しい言葉や表現もありました。シンパシーとエンパシー。訳語なんて出てきません。
作中から引用すると、
「善意はエンパシーと繋がっている気がした」
「同じ意見の人々や、似た境遇の人々に共感するには善意は必要ない」
ネットで調べてみると
シンパシー・・・「思いやり」「同情」「共感」「哀れみ」
感情の動きを示す言葉、とあります。(Oggi.jpより)
エンパシーは?・・・「共感」「感情移入」「自己移入」
自分と違う価値観や理念を持っている人が何を考えているのか「想像する力」とあります。
つまり、シンパシーが感情的に作用することに対して、エンパシーは知的に考える作業、言い変えると相手が体感していることを、自分の身をもって体感できる能力のことだそうです。(workportより)
ここに出てきました!
「エンパシーとは自分で誰かの靴を履いてみること」
他人の立場に立ってみるという意味。
そうです。この作者の続編がこれです。これも読まねば。
シンパシーとエンパシーについては、仕事に関係していることでもあり、続編を読んだ後でまた書いてみたいと思います。
3、いろいろあって当たり前
社会的な現象についてもたくさん出てきます。ちょっとショックなこともあります。環境問題と人種問題、デモに参加する学生、雪の日の慈善事業。学校間格差、地域格差、FGM、LGBTQを扱うライフ・スキルの授業、移民・・・
日本よりもっと多様性の世界であり、それが収まっているかというと、そうでもなく格差があったり争いがあったりするのだと知りました。
日本は格差は広がっています。また、日本人であることが当たり前のような雰囲気がまだあるように思います。今は昔と比べると、外国の人がいても普通だし、スポーツの世界でも多様なルーツをもつアスリートが日本の選手として活躍しています。でも、「いろいろあって当たり前」として捉えることができている社会でしょうか。
これは現代の話であり、こういうイギリスの社会を知ることができて、読んでよかったと思える本でした。
余談
年を取ると文庫本より単行本のほうが読みやすいとわかりました。活字も大きいです。持って歩かないなら、単行本のほうが私は良いです。値段はもちろん文庫本のほうが安いので、文庫本が出るのを待っている本もあります。
ちなみに、とまた話がそれますが、ネットで書名を検索すると、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルーの読書感想文の書き方」というのがたくさん出てきました。多様性などを扱っているので、感想文に選びやすいのでしょうね。でも、例に倣っても、全部同じような感想文ではちっとも面白くないでしょう。いや、「論理的な文章の書き方」の練習にはなるかも。感想文の組み立てまで書いてありました。
見出し画像は、道の駅で。
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