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絵が苦手だった私の現在の仕事。 ~それでも、グラファシをやる理由~

「グラフィックファシリテーション」 略して 「グラファシ」。

グラファシとは、会議や対話の場をリアルタイムで絵や色で会議内容を可視化し、深い相互理解と合意形成に導く技術のこと。
会議や対話の場で、絵や色を使ってファシリテーションするのです。

この仕事に興味を持って、絵を練習し始めましたが、初めて描いた絵を当時6歳の娘に「私より下手くそ」と言って笑われた程、絵心がない人間でした。

そもそも、私は個人事業主として細々とですが会社を15年程やっています。
グラファシとは縁もゆかりもない畑違いの仕事。
同業の仲間に話をすると……
ファシテーション? グラフィック? 何それ? 
ってな感じの言葉しか返ってきません。

では、なぜそんな私がグラファシをやるのか?

今回はそれをお話したいと思います。

どうして?グラフィックファシリテーション講座

始まりは、2017年の春。
ちょっと絵を描けるようになったら、人に説明するとき便利かな?
そんな軽い気持ちで、グラフィック関連の講座を探して、たまたま行ったのがグラフィックファシリテーション講座でした。

もちろん、当時ファシリテーションなんて聞いたことさえありませんでしたが、なぜか、この講座を選んでいました。
(この点は、いまだに自分でも謎です。)

ファシリテーションとは?から始まり、グラフィック、絵の描き方を教わり、「へぇぇぇ~ こんな感じなんだ~。楽しいな」なんてゆる~く受講していたのですが……。

最後に、実際にテーマを決めて、みんなで対話する場で、講師がグラファシのデモンストレーションをすることになりました。

が、これで完全にやられました……!

衝撃のデモンストレーション

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講師から笑顔で「私は介入しないから好きなように喋ってね。」と言われ、参加者みんなで決めたテーマで対話が始まりました。

講師は壁に貼った模造紙に私たちの言葉や表情、雰囲気をリアルタイムでどんどん絵にし、色を塗っていきます。まるで、自分たちの対話の場がビデオ録画され、それを模造紙に映し出されているような感覚でした。

後半に差し掛かり、だんだんと白熱してくる我々参加者に対して、講師は顔色変えず、ひょうひょうと絵を描き続けます。しかし、その絵は場がヒートアップしている雰囲気がしっかりと表されているのです。

対話が終わった時には、「すげぇぇ」「マジか」「予想以上だ」「感動する」などの溜息交じりの声が一斉に湧きあがりました。

デモンストレーションが終わって感じたことは……

確かに、自分達が対話している様子がどんどん絵にされていくのは圧巻でした。

でも、それ以上に、自分の発言が描かれることで感じる「受けっとってもらえた」という安心感。

言葉にならない場の雰囲気や空気感が、絵や色で表現される事で感じる、今までにない思考体験。

そして、描かれていく絵に導かれるように、様々な発言が自然と出て場が活性化されていく。気が付くと、デモが終わった後もみんなで絵を見ながら対話が続く程でした。

そして、講座が終わるころには「これが、グラフィックファシリテーションかぁぁぁぁ!!!!」って心の中で叫んでいたのでした。

デモンストレーションが始まるまでは、正直なめてました、グラファシ

ちょっとした賑やかし程度にしか考えていなかったのです。

だって……。
絵にしたから何??
スゴイね!
場がもりあがるよね!
楽しい絵の議事録ができるね!

前半の受講をした後でも、僕はそんな考えしかできなかったんです。

不安定で明確な答えのない時代だからこそ

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正直、グラファシの良さって、言葉にしてもなかなか伝えられません。

ましてや、その場を体感していない人がグラフィックだけを見ても、「だから何?」としか思われないことが多いです。
自分自身もそうだったから。

しかし、デモンストレーションで実感した、今までとは違う思考回路が働く感覚と、対話が活性化する瞬間は、間違いなくこれからの社会に必要だと確信しています。

今、不安定で明確な答えのない(VUCA)時代と言われ、対話が重要視されています。

良質な対話によって、個々が自分の「問い」や「気付き」を持ち、主体的に、バイアス(思い込みや先入観)にとらわれることなく考え、行動していくことが重要です。

そして、その大きな助けのひとつとして、グラフィックファシリテーションが必要だと思っています。
なぜなら、場が可視化されることで、新たな視点、考えを持って個々が主体的に対話をし、様々なイノベーションを起こすことができるから。

新しい自分を見つけて欲しい。

新しい自分

ここまで、グラファシは凄いんだ~!みたいなことをずっと書いてきました。
正直、書き足りないくらいです。
でも、私はこの『凄いグラファシ!』だからやっているわけではないのです。

これを活用してもらって、『新しい自分を見つけて欲しい』という想いがあります。

これが、私がグラファシをやる理由です。

私がグラファシに衝撃を受けた時に心の中で

「みんなはこう言ってるけど、自分の意見は違うかもしれない」
「あれっ、俺ってこんな考えをもっているんだ」
と、いろいろな気付きがありました。

そして、白熱するデモンストレーションの対話の中で率先して「自分は、他の方と意見が逆で○○と考えています」「その意見にまだ納得できていない自分がいます」などと声を上げている自分にビックリしたのを覚えています。

そして、他の参加者も同じように今までにない自分(意見)が湧き出てきた感じがあったからこそ、デモンストレーションが終わった後も意見が飛び交う対話が続いたのだと思います。

この今までにない自分(意見)が湧き出た感じこそ、私が『新しい自分』を見つけた瞬間でもありました。

そして、あなたにも、私やこの時の参加者と同じように『新しい自分』を見つけて欲しい。
気付いて欲しいと思っています。新しい自分を見つけることで、自分の多様性を認め、自分の意見を持って強くこれからを生きていくことがきるから。
これまで私は、社会人として「○○でなければならない」という様々な縛りを無意識に自分で作り上げてしまい、自分自身の多様性を受け入れることができませんでした。
そのため、周りの意見を気にして、いつも何かにモヤモヤしながら社会生活を送っていました。大人になって、社会生活をするうちに「空気を読む」自分がいたのです。

しかしそれは、思い込みや先入観といったバイアスにも気が付かないまま、無意識に自分の意見や想いを封じ込めてしまいます。
つまり、自分自身を偽っていた。もしくは自分を隠していた。
……のかも知れません。

グラフィックファシリテーションはそのバイアスをそっと外してくれる力があります。
また、『それでいいんだよ』という場が自然と作られます。

私は学者ではないので、エビデンス(科学的根拠)を問われても答えられないのですが、自分なりの解釈としては、対話の場を可視化することで視点が変化したり、絵や色をみることで起きる脳への刺激がいつもと違う思考回路として働くのでは?と思っています。

修行は続くよどこまでも

修行

なんと、偉そうに長文を書いたことか!と自分自身、思っています。
なぜなら、ファシリテーターとして、まだまだ修行中だから。

自分も含めて、人ってめんどくさいし、大変、難解。
でも、だから面白いんだなぁぁぁ。

ファシリテーターとして、人と対峙していく上で、常に修行は続くと思っています。

そんな修行中の身ですが、
少しでもグラフィックファシリテーションを通してあなたのプラスになる何かを見つけてもらえたら嬉しいです。


コネクトファシリテーター でじでじ でした。


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