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モーレツに働くことが許されないジレンマ

「20代はモーレツに働いて力をつけていずれは独立・・」5年前、大学生の私は社会人になるに向けてそのように思っていた。 でも、気づけば今は自分の意志であっても「モーレツ」に働くことはできない。

それは ”働き方改革” で働き方が制限されるからだ。

ここ数年で私が所属する会社の働き方も大きく変わったと実感している。

ただ、法律上のルールが変わったから急いで表面上の取り組みとして変化しただけで中身や実態は全然変わっていけていないという現状があるのは他の会社でも同様のことがあるのではないだろうか。

「働きたい。仕事を頑張りたい。仕事で○○したい。」とモチベーションを見出しても、会社からすぐに「働きすぎ」だと咎められる。そんなモヤモヤから、これまでの働き方やこれからの働き方など、自分が思っていることをだらだらと書き綴ってみた。


1。(そもそも)働き方改革って?

メディアなどを通して理解しているつもりでも、具体的定義まで理解を落とし込めていなかったので、厚生労働省のHPをみたら以下のような指針を掲げていることを知りました。

「働き方改革」の目指すもの
我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

こんなに短い文章なのに、なぜか理解するのにすごく何回も読み込んでしまいました・・・。つまりはどういうこと?

投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ること = ”働き方改革”

ということ?ん〜、私には難しすぎる文章です。

結局のところ、「働きすぎ」を防いで、「ワークライフバランス」を充実させよう!的なことのようです!笑



2。具体的に変わったルール

”働き方”改革で変化した部分は、少し調べてもみましたが、私が理解している範囲は主に以下5つの部分です。


【”働き方改革”で変化した点】

 ①以下のように法律上残業の上限ができ、決められた以上の時間を働くことがNGとなった。(※これまでは法律上の上限はなし)

 ②年に有給を5日以上取得すること。

 ③残業時間は原則「月に45時間、年間360時間まで」(休日出勤は含まない)

 ④どんなことがあっても、単月で残業できるのは100時間未満。(休日出勤も含む)

 ⑤休日を含めて年に6ヶ月だけ、月平均45時間を超えて、月平均80時間以内までであれば残業できる。


というようなものくらいかと思っています。

これらを守らないと、会社がペナルティを課せられたり、上長や管理職の責任問題となります。

なので、「自分が働きたいから、こんなの関係なしに働く。」というようなルールを無視して働くことが通用せず、会社が罰せられてしまうので、自分ごととして遵守しなければいけなくなってしまいました。

<働き方改革によって辛くなる仕事>

 ・人手が足りなく、個人プレーが多い仕事

 ・考える時間が多いクリエイティブ系の仕事

 ・現場作業と社内事務作業の両方を担っているような仕事

など。

経験を通して力をつけ、得たスキルをもとにスピードアップや独自のやり方を編み出すようなことは、働く時間が限られているので難しくなり、そのような人材が生まれることがなくなってくるのでは?というような考えもあります。

天才か、責任やプレッシャーの低い業務時間外で責任感を持ってコツコツ、自分の意志のもとに努力して能力をUPし続けるか・・。

将来はどんな風になってくるのか、純粋に気になるところです。

いずれにしても、「業務時間外の時間の使い方」と「個人スキルの能力開発」の2つがこれからはポイントになると思っています。

日本の先頭に立つ、50〜60代くらいの頭の良い方々がしっかりと5年から10年先の、自分より後輩世代が主役になる頃の未来についてはもちろん考えてくれた上で色々と試行錯誤していただいているとは思うのですが。


3。”働き方改革”の誤った解釈

一方で、”働き方改革”を誤って解釈し、”働かなくていい”と考えたり、要領など時間内にどう終わらせるかなど努力しようとせず、”決められたルールだからこれ以上は働けない”と自己正当化して、現業を途中で投げ出すような、悪い方向に考えて自分を守って正当化人たちも私の社内に限っては見受けられるようになってきました。

私は、地方の広告会社で営業をしています。働き方は、「フレックス制」が導入されており、裁量のもと自由に自己管理をして働くことができます。主な業務内容は、担当するクライアントの業界などによって若干異なりますが、以下のようなものです。

<地方広告会社営業の主な仕事>

 ・打ち合わせの進行&調整

 ・スケジュール作成&管理

 ・見積もり作成

 ・企画の立案&準備、資料作成

 ・現場での収録等の立ち合い

 ・社内処理(週報、受発注業務、請求書作成などなど)・・・etc


その中でも、1日の中で特に時間が割かれる業務は、物理的な現場対応や考える時間などが伴う資料作成、単純作業ではありますが営業責任が伴うため誰かに任せられない社内処理などがあります。

諸々全体のスケジュール管理などをしっかりできていれば、うまく回すこともできるとは思うのですが、時として業務が重なる時は1年の中でどうしても出てきます(目の前の美味しい話に中々”働き方改革のためNO”と言うこともできず・・・)。

地方規模故に、業務ごとに多くの人材を配置できず、会社組織の問題かもしれませんが個人プレーも増えてしまう現状があります。

そんな中で、”働き方改革”が叫ばれる前の、私が入社した1〜3年目の頃はみんなが目の前の仕事に「楽しさ」や「志」を持って、目の前のことに一生懸命力を注いでやりがいを見出していました。

少し古臭いかもしれませんが、「ガッツ」と「面白さ」だけで「モーレツに」働いていました笑。

それが良い、という話ではなく、

”働き方改革”が叫ばれて以降は、

悪い意味でスマートに考える人が増えてきました。

 「汗をかかないでいかに手を汚さずに、”働かない”かを考える」

という、”働き方改革”を勘違いしてしまう人がちらほらと社内で見受けられはじめてきました。まあ、”いかに効率的に働くか”という感じで考える人もいますが、「受け身」的な感じで働く人が増えた印象が増えました。

 ”働きたい”、”この仕事をやり切って、社会に影響を与えたい”というようなポジティブなモチベーションじゃなく、”働けない”から「仕方なく、淡々とミスなく仕事をこなして、余計な仕事をせず早く帰る」といった具合にです。

少し極端ではありますが。

そして、一番危険なのが、

「余計な仕事を増やさず、時間内働いて、固定の給料をもらう」という人が増えていることです。

そもそも、私たち広告の会社の生業は、企画やクリエイティブ、クライアントとの信頼関係に価値があり、お金を預かって生活者に情報などを届けることで売上を上げています。

余計な仕事をせず、考えることをやめてしまっては売上は減り、給料も減り、いつか会社は潰れてしまう危険性も兼ね備えているのです。。

なので、少し飛躍しましたが、”働き方改革”の上で効率的に働きながらも、

ぼくらの給料はどこから出て会社は何で成り立ってるのか


をしっかり考えなければいけないのです。

”働き方改革”によって時間的制約がある中で、売上を過去以上に伸ばさないといけない。1人1人に無理もさせれないので、必然的に人も増えて人件費もかさみ社内の支出が増える。

その中で利益率の高い仕組みを考え、ハイクオリティな「アウトプット」⇄「インプット」を続けていかなければいけません。

働き方が楽になったどころか、逆に厳しく、ハードルが高いものとなりました。

ましてや、経済的な不景気やスマホなどへのデジタルシフトなどによって売上は厳しく、人件費増により利益率も減ってしまい、”新しい働き方”だけでなく、既存のビジネスじゃない”新しい稼ぎ方”も考えなければいけなくしまってきました。


4。働き方改革に影響するモチベーションの変化

たくさん働き、仕事を通してスキルを見つけたかった私にとって、「今月はこれ以上働くな」と言われてしまうのはかなりモチベーションの低下に影響してしまいました。働くことで得たスキルや経験にお金以上の価値を感じており、早く自立したいという考えを持っていたからです。そんな時に、仕事の量が制限されてしまい、どんどん前のめりに考えたり、「企画書作ってみました!」的なことや「明日までにやります!」的なことができなくなってしまいました。

良いことではないのはわかっているのですが、専門性が磨かれていなかった私にとっては結構大事だったことだったのです・・・。

モチベーションが完全に、

「何か面白い企画をつくる」「面白い仕事をする」

  → 「時間内に帰れるような仕事をする」

というように方向転換してしまった時期があります。


人生の大半の時間を会社で過ごす仕事。やりたいことができなくなり、給料も時給換算などすると周りの他の友人の方が良い。


そんなことから、

「何のために働いているのか?」

という問いが生まれるようになってきました。


いずれにせよ、”働き方改革”で働くモチベーションのベクトルが大きく変化したのです。

私の仕事でのモチベーションは「早く帰る」ことではなく、

「圧倒的スキルと経験の習得」と「面白いことをとことんやり切りたい」だったのです。。。



5。働きまくった入社1〜3年目

”働き方改革”前の働き方は決して楽でも幸せでもあったわけではありません。

毎日朝8時過ぎには出社し、夜中2時くらいに限界が訪れるまで昼飯もろくに食べずに働いていました。

でも、なんか仕事してる感と充実感は満たされていました。

土日もなんとなく会社に行ってしまい・・

精神的には今思い返すと結構辛かったです。

けれでもなぜか充実していました。

「絶対同い年の社会人で一番働いてる」という自信もありました。笑

スキルは置いといて・・・


働きまくって見えてきたこと

今の生活とは180度違う生活を送っていたからこそ、見えてきたことがあります。それは以下のようなことです。

・作業時間の目安が自分で見えるようになる

  量をこなして資料作成などしまくってたからこそ、おおよその資料が何分くらいで作成できるかがわかるようになりました。

・スケジュールを逆算できるようになる

  進行スケジュールの管理なども詰め込んだ経験などがあるからこそ、余裕を持った逆算が組めるようになりました。

・いざという時に頑張れる。限界がわかる。

  そしてなんと言っても、自分の限界が知れたのが一番大きいです。辛い時に頑張りきる糧にもなるし、本当に無理なことは無理だとわかるようになりました。


6。結局のところ、会社は助けてくれない。正義とはなんなのか

自分の身に何かあったとしても、会社は自分を守ってくれません。

エビデンスをたくさん残され、テーブルに上にばら撒かれ、「うちの会社は悪くありません。悪いのはあなた自身です。」というようなことを平気で言われてしまうんだと思います。

そこまでの経験はないですが、近い経験はあります。笑

そして、勤務時間などの会社ルールの遵守も、自己申告制の部分など一部あるのですが、0%か120%くらいに極端だと咎められ、やんわりと60%くらい遵守しているようにしましょう、と緩やかに問われる。

でも最終決断は本人に任せる感じで強要はない。なんとなくそうして欲しいようなことを言うくらい。

結局、0%もダメ、120%も極端すぎてダメ。でも60%くらいはOK。

しかし、真実ではない。でもOKという・・・

ストレートに本当のことは中々言えないのでかなり抽象的に書いてしまったので複雑になってしまいましたが、一体「正義」とはなんなんでしょうね。。


7。自分の将来と向き合い、自分の価値をあげる。

「働き方改革」に伴って、時間外で「副業」をして稼ごうとしている人たちも出てきています。

いち会社員ではなく、”自分自身で価値を与えて報酬を得る”。その手段は、メインは所属する企業からの報酬。そしてちょっと贅沢な生活をするためのお小遣いを副業で自分のスキルを使って稼ぐ。

残業して1日中働けなくなってきた今、私たちはより生活が豊かになる方法をひたすら考えているわけです。

将来のためのスキルや、少しでも給料以外の+αで生活を豊かにしたい。。

社長などであればまた違うのかもしれませんが、社員の立場ではそうであると思っています。

私は”働かない(働けない)”と言っているうちに、誰かにどんどん抜かされているのではないかと不安な気持ちになってしまいます。

自分の将来のためにも、「仕事以外の時間」で専門性を見つけ、自分自身の価値を上げていかなければ。。

いつどうなるかわからない世の中ですし。。


終わりに

私は、「働き方改革」を否定していつわけではありません。

ただ、ここ数年で働き方や生活は大きく変化しました。

働き方改革で私個人の生活も自由な時間が増え、精神的にも調子が良いです。

一方で、「楽してるな」という危機感もあり、20代はもっと苦労しないとダメではないのか。。と自問自答の不安にかられます。

マネジメント職の人はもう、強く「働け!」とは言えない時代になったからです。なので、前以上に自分で気づいて考えて、動かなければいけません。

また、仕事以外の時間で何をしようかな、というような新しい時間もできました。

仕事とプライベートが半強制的に別軸のものとなってしまったのです。

これまではいい意味でも悪い意味でも区別はあまりなかったのですが。。

ということで、

働きたいのに働けないジレンマをだらだらと書いてしまいました。



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