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書評

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ヨミタイモノ、ココニアリマス。
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#批評

小林エリカ『彼女たちの戦争——嵐の中のささやきよ!』

Webちくまに連載していたときから楽しんでいた小林エリカ『彼女たちの戦争——嵐の中のささや…

既視の海
12日前
11

間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』

間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』を読む。 不死の身体を手に入れた「わたし」が、ひとり…

既視の海
1か月前
20

四元康祐『偽詩人の世にも奇妙な栄光』

書けない苦しみ。溢れ出る驚き。 のちに偽詩人と呼ばれた吉本昭洋は、いずれも味わった。詩人…

既視の海
4か月前
19

Luis Poirot “NERUDA: Retratar la Ausencia”(パブロ・ネルーダ写真集)

1971年、ノーベル文学賞の受賞記念としてパブロ・ネルーダの自宅で開かれた夕食会。そこに招か…

既視の海
7か月前
26

ロベルト・アンプエロ『ネルーダ事件』

「ネルーダ週間」も終盤にさしかかる。映画を観たり、詩集を読んだりしながら、参考文献を紐解…

既視の海
7か月前
12

クラリッセ・リスペクトル『星の時』

またひとつ、静かな物語。 クラリッセ・リスペクトル『星の時』を読む。 舞台はブラジル・リ…

既視の海
7か月前
29

エステルハージ・ペーテル『女がいる』

女がいる。僕を愛している。かつてはそうつぶやいたが、いまでは分からない。彼女は僕に、消えるときはそう話してねという。はじめて寝た日からちょうど2年間、僕と音信不通になったからだ。僕が再び彼女の前に姿を現したとき、彼女は再び煙草を吸っていた。かつては食事をよく作ってくれたが、いまは一切作ってくれない。そして2日間、2週間、2か月間、彼女と音信不通になる。ほかの男ができたときはそう話してくれという。彼女は独り身だからだ。彼女が再び僕の前に姿を現したとき、僕は再び写真を撮ろうかと思

ジュンパ・ラヒリ『わたしのいるところ』中嶋浩郎訳

そう、こんな本が読みたかったんだ。 自分の好みを明文化しているわけでもないのに、そう思う…

既視の海
8か月前
24

アレン・ギンズバーグ『吠える その他の詩』柴田元幸訳

アレン・ギンズバーグ詩集『吠える その他の詩』(柴田元幸訳)を読む。 1955年10月7日。ア…

既視の海
8か月前
17

四方田犬彦『モロッコ流謫』

映画『シェルタリング・スカイ』を初めて観たのがいつだったのか、正確には覚えていない。主題…

既視の海
9か月前
16

想いを「書く」とはどういうことか——まはら三桃『思いはいのり、言葉はつばさ』

拝啓 あまりの暑さに茫然としているうちに、7月も終わろうとしています。御身体の具合はいか…

既視の海
11か月前
33

吉田美和子『単独者のあくび 尾形亀之助』

吉田美和子『単独者のあくび 尾形亀之助』を読む。 尾形亀之助が42年という短い生涯で刊行し…

既視の海
11か月前
10

エラ・フランシス・サンダース『翻訳できない世界のことば』

エラ・フランシス・サンダース(著)前田まゆみ(訳)『翻訳できない世界のことば』を読む。 …

既視の海
11か月前
14

梨木香歩『村田エフェンディ滞土録』を読む。『家守綺譚』『冬虫夏草』の綿貫や高堂の朋友・村田が留学した土耳古(トルコ)の滞在記。ディミィトリスと訪れた古代大城壁の場面がいい。下宿先の鸚鵡もいい味を出してる。It' s enough! 終盤のディクソン夫人の手紙に胸を締めつけられる。