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書評

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ヨミタイモノ、ココニアリマス。
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記事一覧

小林エリカ『彼女たちの戦争——嵐の中のささやきよ!』

Webちくまに連載していたときから楽しんでいた小林エリカ『彼女たちの戦争——嵐の中のささや…

既視の海
2日前
9

オリガ・ホメンコ『キーウの遠い空 戦争の中のウクライナ人』

2022年2月24日の、ロシアによるウクライナ侵攻から2年。いまさらながら今春、ウクライナからの…

既視の海
5日前
12

間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』

間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』を読む。 不死の身体を手に入れた「わたし」が、ひとり…

既視の海
1か月前
20

早川義夫『海の見える風景』

「一年前、妻が癌になって初めて、そばにいてやりたいと思いました。しい子は3月28日に亡くな…

既視の海
1か月前
31

アントワーヌ・コンパニョン『寝るまえ5分のモンテーニュ 「エセー」入門』

アントワーヌ・コンパニョン『寝るまえ5分のモンテーニュ 「エセー」入門』を読み終える。も…

既視の海
1か月前
18

言語は人生を変えるのか。物語も人生を変えるのか。

ある詩集をもとめて、独立系書店をさまよっていた。書名とたたずまいに惹かれて手に取ったのが…

既視の海
1か月前
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四元康祐『偽詩人の世にも奇妙な栄光』

書けない苦しみ。溢れ出る驚き。 のちに偽詩人と呼ばれた吉本昭洋は、いずれも味わった。詩人・四元康祐の小説『偽詩人の世にも奇妙な栄光』の主人公だ。 昭洋は中学生のときに、詩に出会う。中原中也に出会ってしまった。国語教科書にある詩を読むだけなら、どこにでもいる中学生だ。抱いたざわつきを胸に、図書館で中也詩集を手にとる。中也の詩をあさり、評伝で人物像にも迫り、山口を訪れて詩人の足跡をたどる。それは、もはや「詩を生きる」萌芽だ。自分でも書いてみたいと思うのは必然である。 だが、

アゴタ・クリストフ『文盲 アゴタ・クリストフ自伝』

『悪童日記』三部作を読み、著者アゴタ・クリストフが、母語ではないフランス語で書くことの意…

既視の海
6か月前
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アゴタ・クリストフ『第三の嘘』

少し感傷的になりながら、アゴタ・クリストフ『第三の嘘』を読む。『悪童日記』『ふたりの証拠…

既視の海
6か月前
20

アゴタ・クリストフ『ふたりの証拠』

いてもたってもいられず、アゴタ・クリストフ『ふたりの証拠』を読む。『悪童日記』の続編であ…

既視の海
6か月前
19

アゴタ・クリストフ『悪童日記』

読む本は、いつもゆくりなし。 先日来、「いま読書中」「一番の偏愛本かもしれない」という声…

既視の海
6か月前
18

Luis Poirot “NERUDA: Retratar la Ausencia”(パブロ・ネルーダ写真集)

1971年、ノーベル文学賞の受賞記念としてパブロ・ネルーダの自宅で開かれた夕食会。そこに招か…

既視の海
7か月前
26

ロベルト・アンプエロ『ネルーダ事件』

「ネルーダ週間」も終盤にさしかかる。映画を観たり、詩集を読んだりしながら、参考文献を紐解…

既視の海
7か月前
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『松本竣介 線と言葉』を読む。尾形亀之助詩集『美しい街』の挿画で知る。『運河風景』『並木道』に圧倒される。自分の眼で観たい。「戦争を描いても裸婦を描いても林檎を描いても画家の目が、厳然として永遠なものにつながってゐるか否かゞ大切だ」という言葉は文章や詩でも通じる。次は評伝を読む。