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書評

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ヨミタイモノ、ココニアリマス。
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#書評

小林エリカ『彼女たちの戦争——嵐の中のささやきよ!』

Webちくまに連載していたときから楽しんでいた小林エリカ『彼女たちの戦争——嵐の中のささや…

既視の海
12日前
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オリガ・ホメンコ『キーウの遠い空 戦争の中のウクライナ人』

2022年2月24日の、ロシアによるウクライナ侵攻から2年。いまさらながら今春、ウクライナからの…

既視の海
2週間前
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間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』

間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』を読む。 不死の身体を手に入れた「わたし」が、ひとり…

既視の海
1か月前
20

四元康祐『偽詩人の世にも奇妙な栄光』

書けない苦しみ。溢れ出る驚き。 のちに偽詩人と呼ばれた吉本昭洋は、いずれも味わった。詩人…

既視の海
4か月前
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エステルハージ・ペーテル『女がいる』

女がいる。僕を愛している。かつてはそうつぶやいたが、いまでは分からない。彼女は僕に、消え…

既視の海
8か月前
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アレン・ギンズバーグ『吠える その他の詩』柴田元幸訳

アレン・ギンズバーグ詩集『吠える その他の詩』(柴田元幸訳)を読む。 1955年10月7日。ア…

既視の海
8か月前
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内田百閒『冥途』 金井田英津子・画

あまり熱心な読者ではないけれど、内田百閒が好きだ。 何度も繰り返して読んでいるのは「阿房列車」くらい。師匠である夏目漱石の『夢十夜』に勝るとも劣らない幻想小説の類や、『百鬼園随筆』をはじめとする一連の軽妙で滑稽な随筆、愛猫の失踪騒動を描く『ノラや』など、どれもぽつんぽつんと拾い読みした程度。全集好きゆえに、新仮名遣いで読みやすい、ちくま文庫版の内田百閒集成全24巻を指をくわえて見ているものの、えいやと食指が動くほどでもない。 翻って『別冊太陽 内田百閒 イヤダカラ、イヤダ

四方田犬彦『モロッコ流謫』

映画『シェルタリング・スカイ』を初めて観たのがいつだったのか、正確には覚えていない。主題…

既視の海
9か月前
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ポール・ボウルズ『シェルタリング・スカイ』

ポール・ボウルズ『シェルタリング・スカイ』を読む。 調べると、2010年以来の再読。偏愛作品…

既視の海
9か月前
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ポール・ボウルズ『雨は降るがままにせよ』

ポール・ボウルズ『雨は降るがままにせよ』を読む。 アメリカ・ニューヨークで銀行の預金係を…

既視の海
9か月前
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大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』

ある写真家についての随筆を読んでいたら、その写真家の思想はシオランに通じるという。 シオ…

既視の海
10か月前
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想いを「書く」とはどういうことか——まはら三桃『思いはいのり、言葉はつばさ』

拝啓 あまりの暑さに茫然としているうちに、7月も終わろうとしています。御身体の具合はいか…

既視の海
11か月前
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エラ・フランシス・サンダース『翻訳できない世界のことば』

エラ・フランシス・サンダース(著)前田まゆみ(訳)『翻訳できない世界のことば』を読む。 …

既視の海
11か月前
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梨木香歩『村田エフェンディ滞土録』を読む。『家守綺譚』『冬虫夏草』の綿貫や高堂の朋友・村田が留学した土耳古(トルコ)の滞在記。ディミィトリスと訪れた古代大城壁の場面がいい。下宿先の鸚鵡もいい味を出してる。It' s enough! 終盤のディクソン夫人の手紙に胸を締めつけられる。