エスプリのきいた愛の物語——ダヴィド・フェンキノス『ナタリー』【書評】
拝啓
足早に2月が逃げ去っていきます。忙しいとは心を亡くすことだとは、よく言ったものです。そんな忙しさを忘れさせてくれる小説をと、積読本ではなく、なんと2016年3月に「気になる本」リストに登録したまま最下部で熟成してしまったフランスの小説を読んでみました。これが本当によかった。もっと早く読めばよかった。ダヴィド・フェンキノス『ナタリー』です。
フランスものらしく、「1」から「117」まで番号がふられた断章形式の小説です。「1」で主人公の女性であるナタリーが紹介され、「2