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【銭湯巡り】豊島区・五色湯/黒に心が整う五行リノベ銭湯

 今でこそ都内在住ですが、実は埼玉県育ちです。
 そのせいかどうかは知りませんが、仕事や趣味の街歩きなど歩くことが多いのが、埼玉県民御用達タウンと呼ばれる豊島区は池袋。でも今回は池袋の話ではありません。

 ブクロを一巡りして用事を一通り済ませた後は、十数分ほど散歩して椎名町へ行くことが多いです。
 駅前の美味しいうどん屋や、その近くにあるカフェ併設の寺社など、こじんまりとした街並みやアーケードの中にさりげない見どころが多い椎名町。高速道入り口辺りの開けた雰囲気も好きです。

西武池袋線・椎名町駅の駅前から商店街が伸びる。
駅を出てすぐの立ち食いうどん屋さんが安くて美味。
こちらも駅を出てすぐの所の金剛院。お寺併設のカフェで銭湯前に一服してもよし。
椎名町駅に程近い陸橋上の高速道入り口。
車と一緒に都会の風が通り抜けるような雰囲気が好き。

 ブクロでも十分楽しいのに、なぜわざわざ少し歩いてまで椎名町に行くのか。その最大の理由が、やはり銭湯です。
 とりわけ有名な1つは首都高入口近くの「妙法湯」。ここも足繁く通いたくなる名湯です)、そしてもう1つが、西武池袋線の北側にある妙法湯に対して、線路を挟んで反対の南側にある「五色湯」です。今回はこちらを紹介いたします。

 2022年の9月に大規模リニューアルして再オープンした五色湯。
 脱衣所や浴室の凝りに凝ったデザインといい、入浴方法や動線に合わせて計算されたであろう室内といい、月並みな表現ですが本当に凄いところです。


◆五色湯の外観と入店〜脱衣所

・入口はまるで温泉旅館

 公式ホームページによると、五色湯は1952年創業で今年ちょうど70周年とのこと。66年に当初の宮造り銭湯からビル型銭湯へ立て替えたそうです。
 遠景から五色湯を見ると、宮造りの頃の名残のような、ビル型銭湯らしからぬ煙突がまず目立ちます。

五色湯の煙突。四角形のは少し珍しいかも?

 入口は黒ベースの和風でシックなデザインになっており、豊島区内の住宅街にありながら温泉旅館のような雰囲気。五色湯は入口からフロント、脱衣所、浴室に至るまでが黒デザインで統一されています。このダンディな黒への拘りはなかなかのもの。

五色湯の玄関前と看板。側面から見てもイケメン!

・畳がお出迎えする、江戸〜昭和の雰囲気がミックスした和テイストの脱衣所

 券売機で入湯+サウナ+レンタルタオル¥1,000のチケットを買ってフロントに渡し、脱衣所に入ると、天井のシャンデリアに照らされた暖かい内装が迎えてくれます。
 男湯と女湯の境目に飾ってある如何にも昭和テイストな広告は、リニューアル前の五色湯で飾られていたものでしょうか。
 ロッカーは上段と下段の間に扉のないフリー部分があり、収納前の荷物や脱衣を整理するのに便利な造りになっています。

 ここの脱衣所は床面に畳風のマットが敷いてあるのが特徴。ほんのりイグサの香りがして気持ちを落ち着かせてくれるほか、ちょっとだけ江戸時代の湯屋(ゆや)にトリップしたような気分にもさせてくれます。
 「畳はあんまり濡らしちゃいけない」とお客さんに思わせて、湯上がり前にしっかり体を拭かせる心理効果もあるかも知れません。


◆浴室の構成・雰囲気

 浴室内も入口同様に黒を多く使ったテイストで、落ち着いた大人の雰囲気。他の銭湯では明るめ・柔らかめな白を主体にした室内カラーリングが多いだけに、この雰囲気はかなり異彩を放っています。奥の壁面のパネル絵が富士山などではなく、紅葉に色づく秋の渓谷風景というのも個性的ですね。

五色湯の浴室内レイアウト。
(※記憶を頼りに描いているので、誤りがあったらご容赦下さい)

・中温風呂

 湯温は41℃程度で、若干高めながら抵抗なくスルリと入れる肌触り。広めの浴槽の一部にジャグジーがあるほか、間仕切りで区切られた所に背中ジェット2ヶ所+脇腹ジェットヶ所があります。ジェットはかなり強めでツボに効きそう。

・高温風呂

 湯温は44℃程度。熱湯としては珍しく、マイクロバブルで白濁したシルク風呂になっています。浴槽内に段差があり、軽く半身浴から、肩まで深く埋まる入り方まで対応。

・シャワー

 ヘッドが天井に据付られているタイプ。壁面照明が水飛沫を逆光で照らす様子など、細かいライティングが計算されていて気分を落ち着かせてくれます。

・水風呂

 L字型の浴槽で、水温はそこそこ低め。

・サウナ

 上下2段で、室温は若干高め、汗っかきの僕としては下段が丁度いいくらいです。

・外気浴スペース

 椅子4席+ベッド1席。サウナと水風呂がどちらも体に少し負荷をかけるタイプなぶん、ダラリと座りながら上方の空を見上げているだけで整い度は結構なもの。 


◆サウナと水風呂 

・微かなBGMの瞑想系サウナ

  サウナ室内の広さは中くらいでテレビ等はなく、イージーリスニング系の音量小さめなサウンドスケープが集中力や思考を捗らせてくれます。
 上記のように室温少し高めなので余り無理はしない方が良さそうですが、他のお客さんがいない時などに、胡座の姿勢を組んで座禅のようにすると、汗と一緒に煩悩や雑念も流せそう。(お客さんが多い時は譲り合って入りましょう!) 

・光の加減で感覚が変わる水風呂

  五色湯の水風呂はスポットライトの当たる場所と当たらない場所で、かなり明度差があるのが特徴的。
 明るい所では水面のキラキラした反射が見ていて楽しく、反対に暗い所は目を閉じてじっくり行水するのに適しています。


◆五色湯の『推し』ポイント 

・都内随一のおしゃれ銭湯、巧みに整えられたインテリア

  渋谷の「改良湯」、東中野の「松本湯」など、近年リニューアル・リノベーションされた銭湯は、多くが室内の機能面に加えてデザイン面でも優れています。
 しかし、それらと比較しても五色湯のオシャレさは今の所トップクラスではないでしょうか。(※個人の感想です)

  何より、浴室壁面のタイル使いが見事!
 視線と水平な部分にのみ白タイルを使い、そこから見上げる部分や足元に黒のタイルや木板を使っている所が、全体的に昔の蔵のようなイメージで、天井が黒一色なのと相合ってスタイリッシュかつ和風な設えになっているのです。
  黒いタイルもただ均一に貼られているのではなく、浴槽やサウナの近くは赤銅色のきらめきを含んだ長方形のタイル、お湯の下の見えにくい部分は六角形のタイル 、水風呂の浴槽内は紺色の正方形と、よく見ると場所によって細かく使い分けられていたり。
 オシャレさに加えて、浴室内で「あの浴槽がココにあるんだな」という視線誘導や動線作り、分かりやすさにも効果を発揮しています。もしかしたら五色湯のコンセプトである「五行」思想もイメージしているのかも?

タイルとかを観察して思ったこと。

  浴室照明も天井からの照明はなく、壁面の間接照明が目に優しい造り。脱衣所が天井からのライトで明るく照らされているのと、浴室内の薄暗さがコントラストを生み、脱衣所から浴室へ入る行為にさり気ない特別感や非日常感を与えてくれています。
 他にもカランの鏡が角丸四角形の珍しいフォルムだったり、湯桶が高級感ある檜製だったり、窓も五行イメージのステンドグラス風になっていたりと、浴室内の細かいインテリアにも拘りが伺えます。


◆五色湯の湯上がり

・椎名町の商店街・飲み屋街がオススメ

 お風呂上がりは椎名町の駅前近辺をブラブラしつつ、どこの飲み屋にするかを少し検討。テレビ東京の「アド街ック天国」でも2年ほど前に採り上げられたりするなど、活気のある商店街が四方に伸びています。
 一件の飲み屋さんに入り、しばしビールと肴でまったり過ごしつつ、お店のご主人と雑談。どうやらご主人も五色湯など近所の銭湯に通われているようで、五色湯については「入口が蕎麦屋さんみたいな感じ」との事でした。確かにお高めの蕎麦屋さんっぽくもあるかも…?これからは椎名町に行く時は、妙法湯と五色湯を交互に行く形になりそうです。

◆おわりに

  以上、簡潔ながら豊島区「五色湯」の紹介をさせていただきました。池袋歩きの後で、あるいは椎名町をまったり散歩した後で足を運んでみてはいかがでしょうか。
 五色湯さんは公式ホームページとTwitterアカウントもお持ちなので、詳細はこちらからご覧下さい。

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◆おまけ

金剛院の境内にお立ちになられているマンガ地蔵様。背の部分がマンガ用のペン型
この近くに著名漫画家の集まった「トキワ荘」があったことに由来しているそう。
マンガ地蔵様の横には某国民的青タヌ…青い猫様の堂々たるお姿も。
(念のためボカシを入れました。)


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