アバターファッションと物理的なファッションとはどう違うのだろうか? アバターをまとうVTuberは新しいファッションの可能性を開くのか? キャラクタ文化とファッションはどう関わるのだろうか? アバターからファッションを目下考察している筆者の研究や対談をダイジェストでご紹介。
①アバターはファッションなのか?|「身体のないおしゃれ」(2021)
アバターはほんとうにファッションなのだろうか? ファッションとは、物理的な身体を使った自己表現であり、生まれついた身体の制限を受けないアバターの着こなしはファッションではないのか?
②ヴァーチャルファッションの見取り図|「ヴァーチャルファッション」(2022)
snowやTikTokにおいてフィルターをかけた自撮り画像・動画やプリクラでの加工された顔の画像。メタバース環境であるVRChatやcluster上でのアバターを着せ替え。バーチャルモデルと呼ばれる、フィクショナルな存在である3DモデルがInstagramに登場したり(immaやLil Miquela)、アニメーションやマンガのキャラクタがファッションブランドとコラボレートしたり(RADIO EVA)、その間で、バーチャルYouTuberのようにフィクションとリアルの中間地点にいる存在が新衣装をお披露目したりする(特に、企業事務所にじさんじやhololiveに所属するVTuber)。こうした無数の「ヴァーチャルファッション」をどう分類できるだろうか?
③おしゃれのむごさ|「メタバースは「いき」か?」(2022)
おしゃれは、自分が選択したわけではない身体を使った表現だ。私の身体はしばしば自分の思い通りにはならない。流行に合わせやすい身体もそうでない身体もある。ゆえに、おしゃれはむごい。そのむごさに対して、アバターファッションはどのような回答を与えようとするのだろうか?
④キャラクタのおしゃれ|with Yuri Ridwan「エヴァンゲリオンをファッションから読み解く」(2021)
物語の中でファッションはどんな意味を持っているのだろうか? 物語から飛び出たキャラクタたちがまとうファッションはどんな価値を生み出すのか? 物語内外のキャラクタのおしゃれの意味を問う研究には、無数の未開拓地が拡がっている。
⑤おしゃれを定義する|「おしゃれの美学」(2019)
おしゃれとはそもそもどんな行為だろうか? おしゃれを定義することで、その特殊性が見えてくるだろうか? 意外にも未定義だったおしゃれを分析美学の方面から定義する試み。
⑥アバターを装う|「バーチャルYouTuberの三つの身体」(2018)
バーチャルYouTuberは、たんに中の人がキャラクタを演じているわけでもなく、かといって、中の人がそのままに表れ出ているわけでもない。キャラクタをまといながら、キャラクタという身体と中の人が重なり合いながら新しいペルソナを創り出す。おしゃれの一つのかたちかもしれない。
文責=難波優輝(なんばゆうき)