田村さん

田村裕太郎

西条市山間部の集落”大保木地区”。西条の中心市街地の面積より広く、石鎚山の山頂まで続く広大な地区にも関わらず現在の住民は160名程度。豊かな自然に恵まれているものの、かつての住宅跡など廃墟・廃村が多く残り、少し寂しさを感じる地区だ。田村さんはそんな急激に過疎化が進んでいる大保木地区に、今後何年も続く地域のかたちを取り戻す活動をしている。

田村さん1

新潟県の田んぼが広がる地域で生まれ育ち、昔から田舎が好きだったという田村さん。大学時代に自転車での日本横断や、新潟県粟島浦村では島生活体験をするなど地方の現状を見てまわったそう。この経験を通して、地方のよさを改めて実感したという。しかし粟島での滞在中に「自分を温かく受け入れてくれたこの集落は、20年後どうなっているのか。」と疑問を持ったという。その疑問がきっかけで地方の問題を解決する地域振興の仕事をしたいと興味を持ったという。

粟島で1か月滞在した時に、地域の案内役ともなる宿泊施設の重要性を実感したそう。自分が地方振興の仕事に就く時は宿泊事業を必ずやろうと決めていたという。そんな時、偶然知った西条市でのプロジェクト。それは魅力ある資源の残る大保木地区で、石鎚ふれあいの里という宿泊施設の運営に携わりながら、地域振興の仕事ができるプロジェクト。こんな条件がそろう地はここしかないと移住を決めたそう。

里山生活の魅力はと聞くと「自然に寄り添い、生活のひとつひとつを丁寧にできること」と語る田村さん。本来の里山生活は自分で薪を割り・火を起こし・食材を育てるなど生活にかける時間が増える。丁寧な生活を送ることは穏やかな日常を送ることができるのだという。

田村さん2

そんな大保木地区で生活する人が減ってきているのも「何十年後も続けられる産業が少ないことが問題」と語る田村さん。長い大保木地区の歴史の中で、直近100年くらいの間に地域のできる範囲を超えた鉱山開発と林業が爆発的に盛んになり、急激に人口が増えたという。そして産業の衰退とともに急激に過疎が進行したという。

人口減少から人工林など問題が山積みの大保木地区。大保木地区の問題を学生の研修の課題にして、大保木地区に関わる仲間を増やそうというプロジェクトも進んでいるという。石鎚ふれあいの里を拠点に、大保木地区を学びの場として地域創生に興味を持つ若者を誘致していきたいと語る田村さん。現在、愛媛大学との共同ワークショップを実施するなどプロジェクトは動き始めている。

これらの活動を通して、大保木地区が100年後も魅力ある地域であり続けられるような産業を開拓していきたいと語ってくれた。

written by YASUKO http://yasu-k.com/


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