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ID-POSからカテゴリー動向を把握!~『消費者購買行動年鑑2024』から見る最新の消費者購買動向~(後編)

公益財団法人 流通経済研究所
研究員 田嶋 元一

 これまでの前編と中編では『消費者購買行動年鑑2024』でどのような情報を把握できるのかをお伝えしてきました。今回の後編では、実際の掲載データを用いて、『年鑑』の“イメージ”と、実際のデータの“読み解き方”についてお伝えします。

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👇中編はこちらから👇

 中編では、掲載データのイメージについて画像でご紹介しましたが、今回はある特定のカテゴリーに着目し、「冊子」に掲載されている「主要カテゴリーレポート」の以下の4つの実績データを用いて、解説していきます。

1. カテゴリー購買実績
2. 性年代別実績
3. 時間帯別実績
4. 季節トレンド


1. カテゴリー購買実績

 以下の表は中編にてご紹介したものですが、12の指標について、カテゴリーごとに集計したものです。これらの指標は、全体と連続アクティブ®会員[i]別に前年比と併せて掲載し、カテゴリーの基本的な購買特性を把握するための「基礎資料」として、ご活用頂けます。


[i] 連続アクティブ®会員は、株式会社True Dataの登録商標で、集計に用いた店舗において毎期間(SM編では2週間毎、DGS編では毎月)買い物をした会員のことを指します。

○解説○(見方の一例)
 まず前年比は全体・連続アクティブ会員の双方、多くの指標で前年を上回る(100%を超える)結果となっています。1人当たり購買点数の伸長率に対して、1人当たり購買金額の伸長率が高く出ているのは、昨今の物価上昇等の影響であると見て取れます(来店当たり購買金額と購買点数を見ても同じ傾向が見て取れます)。
 また、このカテゴリーでの「全体」の購買実績は、金額PIが22,272.7円(前年比109.8%)、点数PIが146.4点(前年比101.0%)と、いずれの指標でも前年より伸びており、金額PIの伸長率の方が高いことがわかります。

2. 性年代別実績

 性年代別に、
・上段:「購買人数構成比」「購買金額構成比」「購買点数構成比」
・中段:「1人当たり購買金額・点数」
・下段:「来店当たり購買金額・点数」「会員内購買率・購買商品単価」
を一目で比較できるグラフを掲載しています。詳細な数値データはCD-ROMのExcelファイルにてご確認ください。

○解説○(見方の一例)
 集計対象会員の構成比男性3割強、女性7割弱となっており[ii]、
〔上段〕このカテゴリーの購買人数・金額・点数構成比はすべておよそ男性3割弱、女性7割強となっています。
〔中段〕1人当たり購買金額・点数では、各年代別におおよそ男性の方が女性よりもスコアが高く、1人当たり購買金額・点数では、各年代別に同様の傾向を示しています。
〔下段右〕会員内購買率は男女ともに20~40代が他の年代の購買率よりも高くなっています。


[ii] 上段の4つの横棒グラフの一番上が集計会員の構成比を示しています。

3. 時間帯別実績

 購買金額の構成比を棒グラフに、購買人数の構成比を折れ線グラフとして掲載しています。
 全体と個別のカテゴリーを比較することによって、どの時間帯に購入されやすいかを確認できます。各カテゴリーの特徴に合わせた販促の企画などに活用できます。

○解説○(見方の一例)
 このカテゴリーでは、16~19時台に山があり、夕方に購入するショッパーが多いことが分かります。他のカテゴリーでは午前中にもうひとつ山があるものもあるため、このカテゴリーは夕方に購入されやすいカテゴリーと判断することができます。

4.季節トレンド

 各週の購買金額と購買点数それぞれについて指数化し、主要カテゴリーレポートには一目で比較できるグラフと表を掲載しています。
 以下の「金額指数」「点数指数」は、それぞれ「週別購買金額指数」「週別購買点数指数」のことであり、下記の式で算出されたものです(本書「掲載指標の算出方法」より再掲)。

○解説○(見方の一例)
 このカテゴリーでは、6月頃から金額指数・点数指数共に上昇をはじめ、7月中旬頃に頂点を迎えています。また、ピークの周辺では金額指数より点数指数が上回っていることから、どちらかと言えば単価が低い商品が購入されているということを示しています。
 このカテゴリーは季節的な傾向が顕著ですが、こうした金額指数と点数指数の関係性などにも注目していくと、カテゴリーの買われ方を理解することができます。

 ここでは主要カテゴリーレポートを用いて紹介をしましたが、CD-ROMに掲載のExcelファイルにはすべてのカテゴリーの細かな数値が一覧で掲載されています。本書をご活用頂く皆様に関わりの深いカテゴリーはもちろん、その周辺のカテゴリーを比較することも可能で、データから見いだせる情報は多く、多様な側面からカテゴリーの買われ方を理解できます。

<CD-ROMのデータイメージ>

 前編・中編・後編と3週にわたり、『消費者購買行動年鑑2024』の概要をお伝えして参りました。
 今後はトピックス的に『消費者購買行動年鑑2024』から見て取れる消費者の購買行動について、もう少し深堀りしてお伝えしていければと考えています。
 消費者の購買動向はその時々の社会情勢などに大きな影響を受けます。先を見通すことが難しい時代――最新のデータから得られる知見を存分に活用されることで、本書をお手に取っていただいた皆様のビジネス等のお役に立てることができれば幸いです。

『消費者購買行動年鑑2024』の詳細はこちら

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