ID-POSからカテゴリー動向を把握!~『消費者購買行動年鑑2024』から見る最新の消費者購買動向~(前編)
公益財団法人 流通経済研究所
研究員 田嶋 元一
流通経済研究所が株式会社True Dataと共同で発行している『消費者購買行動年鑑2024』が好評発売中です。今回より連載する記事で、『消費者購買行動年鑑2024』では、どのような情報が把握できるかご紹介します。
時代と消費
時代の変化に伴い、人々の行動も変化しています。それは「消費」という生きるうえで必要不可欠な行動について、顕著に表れます。コロナ禍は沈静化の方向に向かい、経済活動も正常化の方向へと向かっています。一方、円安などに起因する物価上昇と十分ではない賃金上昇は、人々の消費行動に逆風をもたらしていると言えるでしょう。
『消費者購買行動年鑑2024』では、このような傾向を「業態別」、「カテゴリー別」、そして「セグメント別」に把握できます。
『消費者購買行動年鑑』とは? ~POSデータとID-POSデータの違い~
『消費者購買行動年鑑』は、全国約6,000万人規模のID-POSデータからスーパーマーケット編では422万人、ドラッグストア編は約727万人のデータを抽出して集計しており、全国的な購買動向の事細かな把握ができます。また、食品・日用品について、スーパーマーケット編では394カテゴリー、ドラッグストア編では440カテゴリーを掲載しており、豊富かつ網羅的な情報を知ることができます。
『消費者購買行動年鑑』はID-POSの集計データ集で、ID-POSとはPOSデータに小売業のカード会員情報を付加したものです。つまり、どのような属性のショッパーが商品を購入したのかを把握することができるデータです。
POSデータは・・・
「何が(商品)」「いつ(日付)」「いくらで(値段)」「どれだけ(数量・個数)売れたか」を知ることのできる「販売データ」
→「売れ方」を知るデータ
ID-POSデータは・・・
「誰が(個々の会員)」「いつ(日付)」「何を(商品)」「いくらで(値段)」「どれだけ(数量・個数)買ったのか」を知ることのできる「購買データ」
→「買われ方」を知るデータ
上記からわかるようにPOSデータは「商品」を主語とし、ID-POSデータは「お客様」を主語とする違いがあります。POSデータでは、「どうやったら売れるのか?」という供給側の視点ですが、ID‐POSデータでは、「誰にどうやったら買ってもらえるのか」という需要側視点でのアプローチで迫るのです。
円安や消費者意識の変化等、難しい時代の中、売り手側は常にお客様、すなわち需要側の動向を探りながら営業・販促活動を進め、商品を買っていただけるように努めることが肝要です。
直近(2023年)の全体的な傾向
スーパーマーケットでは、
・ショッパーの来店頻度は“減少”傾向にあり、
・お客様一人あたりの購買点数は“減少”している一方、
・お客様一人あたりの購買金額は“上昇”している
という傾向が見て取れます。
一方、ドラッグストアでは、
・ショッパーの来店頻度は“微増”傾向にあり、
・お客様一人あたりの購買点数は“減少”している一方、
・お客様一人あたりの購買金額は“上昇”している
という傾向が見て取れ、2業態ではショッパーの来店頻度の違いがあります。
本年鑑は全国規模のID-POSデータの集計資料集で、ドラッグストア、スーパーの動向を把握できる最新のデータ集です。
次回は消費者購買行動年鑑を駆使した「カテゴリー別」や「セグメント別」のアプローチについて、ご紹介したいと思います。
『消費者購買行動年鑑2024』の詳細はこちら
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