ビジネス
昼は企業の部長と派遣デスク。
夜はおっパブ嬢と常連客という間柄の二人。
その関係は、次世代のビジネススタイルだった。
<本文>
新たなビジネスを生み出そうと模索する企業、A社での話。
派遣女子社員B と、やり手のC部長。
オフィスでは平然と業務にあたる。
業務内容は、上役に部内の営業収支と改善策を報告する資料の作成。
親会社でお役御免となり、天下った役員連中からの、暇つぶしがてらの難癖を回避するために作業を繰り返す。地雷除去のように。
Bは二年半の経験でツボをおさえ、手慣れた感じで黙々と進める。
清楚な顔立ちと裏腹に、小柄だが曲線美を持つスタイル。口数は多くない。
派遣契約の期限まであと半年。ここまでできるスタッフは見つけ難い。
C部長は、半年後に迫る新たな派遣スタッフへの引継ぎに憂慮していた。
仕事を終え、夜になると、二人はオッパブの娘と常連客という間柄になる。
素知らぬ顔でB嬢(昼は派遣女子B)を指名するC(同、C部長)。
お互いに、昼と夜の行為については口に出さず、一線を引く。
どちらも業務“ビジネス”だから。
時折、暗黙の約束に魔が刺し、「プライベートな関係」を想像するC部長。
それをギリギリ喰いとめる本人と、気配を感じながらもかわすB嬢。
じれったい駆け引きを愉しむ、大人の二人。
ある日、オフィスに新加入した、端正なルックスとスタイルの男性社員D。
若い彼が放つ生命力、清潔さ、ユーモア、同年代だからこその共感。
そして内に秘めた獣のような「欲求」を本能では惹かれながらも、理性で跳ね返すB。
それを詮索し、動揺を隠せないC部長。
ある夜、オッパブに新規入店した若いE嬢。
B嬢にはない奔放さ、スレンダーな体、後腐れのなさげなノリの軽さ。
所詮アソビと、罪悪感を持ちながらもE嬢を指名するC部長。
意志とは裏腹に、なぜか気になるB嬢。
オフィスでは、若さに任せたノリの良さでBの笑顔を導き出すD。
オッパブではこのところ、新入店のE嬢を指名するC部長。
半年後、派遣期限を満了して退職したB。
それを気にもせず、別の同僚女性と軽いノリで付き合うD。
オッパブを辞め、昼の仕事に移ったE。
久しぶりにB嬢を指名したC部長。
これまでと違い、昼の関係(上司と部下)がない分、誘い易くなった。
店外でも食事に行く機会が増え、プライベートでも深い関係を持つ。
月末になると、オフィスに請求書が届く。それを新任の派遣社員(転職したE)が、請求元の業者名と金額を確認して経理課に回す。
<請求書>
・ご担当:C部長
・費目:交際費11月分
・請求元:クラブB
経理課の小太りのお局が、不審を察知して請求元のクラブBに電話確認すると、受話器から流れる待機メッセージ。
「ウィンウィンな関係で経済を活性。BtoCビジネスは当社へ。」
おわり
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