火の山十三 第二章魔王と魔性の女 「走馬灯体験が真実だったとしたら」
深夜の電車は、人がまばらだった。
二人は電車のドア付近に立ち、真っ黒に流れる窓の外の風景を見つめていた。黒い家並みが次々と現れ、やがて、幾つかの高い煙突が見えた。それもすぐに過ぎ去り、電車はごみごみとした商店街のそばを通り過ぎた。
僕は水月の顔をじっと見つめた。水月はそれを気にする様子もなく、いつまでも流れる外の景色を眺めていた。
「洋、見える?」
「えっ、何が?」
「私たち、今同じ景色を見ているのよ」
僕は慌てて窓の外の景色を見ようとした。
「ほら、あそこに小高い丘