Keith Jarrett「the koIn concert」

ジャズとクラシックの大きな違いは、クラシックにはあらかじめ譜面があり「この曲はこう」という完成されたものを弾くものである。

もちろん同じクラシックの曲でも人によってアプローチがあり、人によって曲が変わるものであるし、それをどう演奏するかが問われるジャンルでもあるが。

一方ジャズは即興の音楽であり、その場その場で全く違うものになり二度と同じ演奏はあり得ないのだが、しかしキースジャレットの「ケルンコンサート」はクラシックのように「あらかじめ譜面に起こしたように」美しいフレーズが飛び出す。

自分がこのピアノのフレーズに惹かれるのはメロディに「哀愁」や「ノスタルジック」なものを感じるからだ、例えば上原ひろみは「明るく、テクニカルで奇想天外」なピアノだ。(自分にはそう聞こえる)

ジャズピアノでは「エヴァンス派」「パウエル派」などとよく言われるが「哀愁あるフレーズ」やなんとなく「悲しさ」を感じるフレーズという意味では「エヴァンス派」なのかもしれない。

そしてこのライブアルバムではギターもベースもいないピアノ一台である、「ケルンコンサート」では譜面があるかどうか分からないか、約1時間「美しいフレーズや即興」を繰り返す。

大概はメロディアスだがしかしpart2(a)ではゴスペルっぽいフレーズを連打したり、スリリングなプレイも聴ける、これはかっこいいです。

このライブではキースジャレットは何かが乗り移ったのだろうか?と思えるような演奏で、この日は絶好調だったのか、テンションが上がったのか、ピアノを弾きながら叫ぶ声も聞こえる。

曲が終わった後の観客の拍手も良い、ライブアルバムの良さはこの拍手がポイントだったりする。

70年代というのは60年代の「深刻なのがジャズ」という思想をひきづっていた部分があり(おそらくコルトレーンだと思うが)「あらかじめ譜面があるのだろう」とか「クラシックと変わらないじゃないか」などと言われたらしいが。

しかし今となってはどうでもいいことである。

ジャズとクラシックどちらが良いか悪いかなど言うつもりはない、どちらも良いが「あらかじめガッチリ完成させた曲」を自分のアプローチで弾くのも、「即興でかっこよく弾く」のも良い。

そしてキースジャレットの「ケルンコンサート」はジャズの良さ、クラシックの良さ、どちらの魅力も兼ね備えたものに感じる。

1970年にこのアルバムがリリースされるとジャズ喫茶では来る日も来る日もこの作品のリクエストが絶えなかったらしい。

それも頷けるような名盤だと思う。

「この忙しいのに一時間も聴いていられん」

という人はpart1だけでも良いと思う。

しかしピアノを弾く人は必聴かもしれない。

…キースジャレットといえば、マイルスデイヴィスのライブアルバム「at filmore」でチックコリアと共にオルガンを弾いているが、このライブアルバムは「bitches blew」リリース後のライブで「アコースティック感、バラード感」は皆無でマイルス、キースジャレット、チックコリアがロック色やサイケデリック色を強め3者バチバチ演り合うものになっている。

このライブアルバムもかっこいい「ダークメイガス」もそうだが、この時期のマイルスは本当にぶっ飛んでるなぁと思ったりしたが。

そしてこのライブアルバムを聴くとキースジャレットがその後「ケルンコンサート」でこういった美しいフレーズを弾くような人だとは当時思わなかった人もいるかもしれない。

キースジャレットというと「ケルンコンサート」が代表的なアルバムだが、他の作品はどうなんだろうか?ビルエヴァンスは「waltz for Debby」だけでなく他の作品も良いのが多い。
 
「ケルンコンサート」を聴くとキースジャレットもビルエヴァンスと同様クラシックがベースになっているような気がするが…

そこまで詳しくはないのでちょっと分かりませんが。

因みにピアノについて分かったような風に書いていますがピアノは全く弾けません(笑)

…そしてまだ自分はクラシックに詳しくないのであるクラシック奏者の自伝を読んだが、プロのクラシック奏者になる過程が詳しく書いてあり「それで飯を食う」というのがどれだけ大変かが書いあり、カルチャーショックを受けてしまった。

それを読んでるこっちまで疲れるほどだったが。

「自分には絶対ムリだな」とも思ってしまった(笑)

この本や自伝を書いた奏者のアルバムについてはまた記事にして書くかもしれません。

…誰も興味ないかもしれませんが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?