見出し画像

【詩】夏祭り

帯の背中に団扇を挿して
下駄を鳴らす
屋台が並ぶ道は
人が溢れて賑やか

すみません、

ぶつかった人を見上げて
耳の先まで熱くなる

先輩、

よぉ、と言って
和かな所作でリンゴ飴をくれた

え、あ、

ありがとうございます
とは言えなかった

先輩の横から綺麗な女の人
真っ直ぐ見つめられて
俯いてしまった

先輩はまたな、と行ってしまう

先輩と手を繋いでいる女の人
二人の後ろ姿は
あっという間に人混みに隠れて

リンゴ飴を握りしめたまま
しばらく立ち尽くしていた


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?