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企業理念はなぜ大切なのか?

ストレスチェックシステム「LONTA」導入企業様には、メンタルサポートの一環として、社員研修をご提供させていただいております。

その中で、「企業理念」について、研修でお伝えしている
内容を少しご紹介させてください。



■ 上司と部下、意識の違い 

最近、とある会社の役員(Aさん)から、このようなお話を聞きました。

「うちのBさんは、視点が低いんですよ。
 本を読んでインプットして、
 と進めてもいるのですが、成長していなくて」

上司からの評価が著しく低いようです。

その方の部下はというと、私が接している印象としては、
ふだんから一生懸命に、チームの目標達成を目指し、
真面目に取り組んでいます。

部下の方(Bさん)にお話を聞くと、このように言っていました。

「仕事のやりがいは特にないですよ。
 ただ、目標があるのでやるんです」

う~ん・・・このままでは良くないと感じます。

Bさんは目標を意識し、真面目に
仕事に取り組んでいます。

しかしこのケース、数か月経つと、

「Bさんが、退職しました」

と聞くことがよくあります。

このような状況を解決する一つのヒントとして、

「理念の浸透」

があります。

理念教育に力を入れている企業は多いですが、
果たして、理念とは一体何なのでしょうか?

【9月①】o1080057414794869592

(写真:先週末、半沢直樹が最終回を迎えました。半沢直樹も、「顧客第一」という理念を軸に判断、行動していましたよね。だからこそ、多くの人から応援され、巻き込んでいく強さを感じます)


 ■ 2つの大きなストレス要因

理念とは、大辞林によると、

「物事のあるべき状態についての基本的な考え」

とあります。企業理念となると、

・企業が事業を通じて、社会にどう貢献していくのか。

・どのような価値観や規範に基づいて事業を行うのか。

といった意味で扱われます。

「社会への貢献」とは、
イメージが沸きにくい内容かもしれませんが、
実は個人のストレスにも紐づいています。

心理的に、
人がとてつもなく大きなストレスを感じることは二つ、
と言われています。

それは、

・社会的なつながりからの断絶

・人間関係の拒絶

です。

「明日から会社来なくて良いよ」
「あなたとはもうやっていけない」
「入院してください」
「独房に入ってろ」

など社会から、自己の存在を切り離され、
人間関係上でも断絶されたとき、
大きなストレスを感じます。

古くでは、犯罪者への罰として、
「島流し」があったほど、
人は社会から断絶されたくない生き物
と言われています。

理念とは、それとは対極に位置するものだと感じます。

理念があることで、その会社組織が社会とどのように
つながっているか、個人は感じることができます。

それにより、個人にとっては会社への帰属意識が、
自然と高まっていくのです。

「私は、世の中の役に立つ仕事をしている」

と感じられる人は、目の前の仕事に対して、

視点が高まり、生産性も上がり、
最後まで情熱を持ち、粘り強く努力できるのです。

【9月②ナポレオン セント・ヘレナ島】10749_057662

(写真:ナポレオンが島流しされた場所。セント・ヘレナ島)


■ 「3人の石切り職人」の寓話

有名な「3人の石切り職人」の寓話があります。

とある町で、教会が建設されています。
その建設現場に3人の職人がいました。

町の人が、

「何をしているのですか?」

と職人に尋ねると、

Cさん:「石を積んでいるんだ」

Dさん:「国中でいちばん上手な石切りの仕事をしているのさ」

Eさん:「村の人々のやすらぎの場となる教会を作っている」

と返事がありました。

理念が浸透している状態とは、まさに「Eさん」です。

対外的に見ると、理念とは、

「応援され、周囲からの信頼関係」へとつながっていきます。

町の人たちからみて、3人の職人の言葉のうち、
一番応援したいと思えるのは、Eさんだと思います。

現代の仕事においても、

・自社の売上目標達成で動いている営業担当

・クライアント貢献を第一優先で動いている営業担当

では、どちらが信頼されるかはいわずもがな、です。

理念を持つことと、
目標を持つこと、
ここには大きな差があると感じています。

【9月③】20160704_1-thumb-960xauto-128498

(写真:ピラミッドのレンガ一つ一つにも、その時代を懸命に生きた人たちの思いが込められていたのではないでしょうか)


■ 理念浸透の事例はたくさん

冒頭、ご紹介したBさんは、
目標はあるけれど、理念がない状態。

「なぜこの目標があるのだろか?」

「この目標を達成するとどうなるのか?」

そこに理念に興味を持つヒントがあると思います。

理念教育に力を入れている会社では、
理念の唱和が毎朝行われていたり、
理念にまつわる研修が開催されたり、
理念に合うか合わないかで採用活動が行われています。

なぜそこまでやるのか。

理念が浸透すると、
売上が上がった事例、利益が上がった事例、
社員が幸せに働けている事例など、
たくさんあるからです。

例えば、
2.5億円までの売上があり、企業理念がある企業は47%に対して、
売上30億円以上あり企業理念がある企業は、76%というデータ
があります。
例えば、
「偉大な企業」として、15年間でみた株式市場の平均運用成績が、
市場平均の6.9倍で推移していると定義したとき、
この「偉大な企業」の共通点は、理念が浸透しているということでした。
例えば、
理念が浸透していると従業員が体感している会社は、
未浸透会社と比較し、2.3倍の確率で儲かっており、
2.6倍の成長実感があり、4.3倍の活気がある。

などなど。

他にも、身近なところでいくと、
なぜディズニーランドがあれだけ、
私たちを喜ばせ、感動させてくれるのか、
働く人たちに理念が浸透しているからだ、と思います。

皆さんも一緒に働くメンバーと、

「何のために働くのか?」

という話をされてみるのはいかがでしょうか?

そこから、個人の理念、会社の理念など、
話が広がっていき、お互いの価値観をぶつけ合うことで、
チームがもっと強くなれる、と信じています。



~ 参考資料 ~

・宮田矢八郎著 「理念が独自性を生む」
・ジムコリンズ著 「ビジョナリー・カンパニー2」
・19歳から64歳までの全国のビジネスマン男女2,084名対象、2015年6月調査より


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今回は、「理念」について書かせていただきました。

企業理念についての研修を、提供させて頂くことがあるのですが、
個人的には、「企業理念」と「個人理念」どちらも大事で、
そのベクトル合わせが、組織を強くする、と思っています。

最近、私の先輩が、過疎地でお弁当屋さんを
始められた姿をテレビでお見かけしました。

「ランチ難民という言葉もあるくらい、食事を探すのが大変と聞いて、
 少しでもこの街の皆さんのお役に立ちたいと思いまして」

と語られ、毎日手作り弁当を作って販売されていました。

理念とはシンプルにすると、

「誰かのために」「お役に立つ」

だと思います。

先輩の生き様がカッコ良いなぁ、と思いました。

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