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自家醸造の副産物でパンを焼いてみた

今、我が家ではノンアルコールのビール醸造にチャレンジしてみている。

肝心のビールの方は今現在絶賛二次発酵中なのだけれど、待っている間に一次発酵で得られた澱を使ってパンを焼いてみたので、その記録を残したいと思う。

ビールの澱

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前回の最後でも紹介したけれど、一次発酵が終わったところでタンクの底から大量の澱が手に入った。

この澱の正体は、醸造中にたくさん糖分を食べて満腹になった酵母菌が、活動を休止して底に沈んだものとのこと。澱にはビタミンを始めとした豊富な栄養が含まれているそうで、これを使ったサプリメントなんかも作られているらしい。

そんな澱を、このまま三角コーナーにぶち込むのは非常にもったいなく感じたので、再利用する方向で検討してみた。

軽く検索してみると、以下のような使い道があるらしい。
 ・生きた酵母菌として次回の醸造に使う
 ・栄養剤がわりにそのまま食べる
 ・植物の肥料にする
 ・パンやピザの生地の発酵に使う
(このブログの記事が色々参考になりました: https://rougetsu-an.com/reuse-brewersyeast-lees)

再利用方法は色々あるようだけれど、個人的にパン作りに興味をひかれた。

理由として、単純にパン作りをやったことが無いから挑戦してみたいと思った点がある。加えて、ビールを作った酵母でパンを作るというその行為に、個人的に何だか可笑しさを感じ、これはやってみたいと純粋に感じたところもあった。

という事で、パン作りに手を出してみることにした。

パン生地を作る

前置きはここらへんにして、パン生地を作っていきたいと思う。

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初めてのパン作りなので、用意した強力粉の袋の裏面に載っている作り方を見ながら作っていきたい。

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まずは、ドライイースト以外のAの材料をボールに入れて混ぜて、

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そこに卵とビールの澱をぶち込む。

そうして一塊になるようにしばらくこねると…

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こんな感じで生地が出来た。

次に、「生地の端を持ちたたききつけて折り込む作業を200回繰り返します」とあったので、何も考えずまな板に生地を叩きつけると…

ドンッ

と、我が家のような集合住宅では避けたい感じの鈍い大きな音をたててしまった。これはさすがによろしくない。

というわけで、「たぶん空気を抜くとか生地を伸ばすとかがこの作業の目的だろう」とあたりを付け、たたきつけるのではなく全体重を乗せて生地を押し潰すというやり方で代替した。

そうして、潰しては折り返し潰しては折り返しを200回繰り返し、さらにバターを加えて同じことを100回繰り返し、いよいよ発酵というところまできた。

パン生地を発酵させる

次は、さっきまでこねていた生地を、30℃くらいの温かい場所に置いて発酵させるらしい。

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という事で、こんな感じで酵母菌に頑張って働いてもらうための環境を整えた。

パンは、あとで炊飯器で焼こうと考えていたので、とりあえず生地を炊飯器の釜に入れてラップをした。そしてその釜を、今度は40℃程度のお湯を張ったフライパンの中に入れて、コンロの上に設置した。こうしておけば釜の周りのお湯で中が暖められ、お湯が冷えてきたらコンロで再加熱が出来る。

これを、個人的にはパン生地サウナと呼びたい。

こうしてパン生地に2時間程度サウナを楽しんでもらったら…

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こんな感じで、だいたい倍ぐらいに生地が膨らんだ。

これ以上膨らむ様子はなかったので、多分これで一次発酵完了だろうとみて次工程に進むこととした。

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という事で、生地のガス抜きをして、適当に分割して丸め、再び炊飯器の釜に並べて入れた。

そして再びパン生地にサウナを楽しんでもらうと…

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こんな感じで、一つ一つが2~3倍くらいに膨れ上がった。

これ以上膨れる様子もなかったので、これで二次発酵完了だろうと判断し、いよいよパンを焼いて行くことにした。

パンを焼く

焼く作業は特に何という事もなく、炊飯器に釜をセットして…

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スイッチオン!

後は完成を待つのみである。
(ベーカリー機能がついてなかったけど、たぶん何とかなるだろう)

この日はもう夜も遅かったので、翌朝起きてから取り出すことにした。

完成!

翌朝、取り出した姿がこんな感じ。

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…想像と違う姿や固さだけど、香りや手触りはすごくパンって感じだ!

二等分にしてみると…

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結構目の詰まったパンができた!

後から調べてみると、発酵が十分でないとこんな感じのパンになるらしい。今回使った酵母は、パン作りのスペシャリストの酵母ではなく、ビール作りのスペシャリストの酵母のため、パンに最適な量のガスを発生させられず、こういう感じになったのではないかと考察した。

何はともあれ、もう少し細かく切り分けて、朝食としてトーストして食べてみることにした。

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という事でタイトルの画像である。

これにマーガリンを塗って食べてみると…

美味い!

自分で作ったという事で若干のプラシーボもあるかもしれない。だが、パンらしい風味に、途中で入れた材料それぞれの風味もしっかりと感じることができ、ただ純粋に美味しいパンが焼きあがったと感じた。

一方、ビール酵母で作ったのでビールっぽい風味とかもあるかなと期待したが、そのあたりはこれといって感じ取ることはできなかった。やはり酵母菌自体はパン酵母と同じ種なので、そのあたりで差が生まれるという事は無いのかな。

ひとまず、個人的には初めてのパン作りで美味しいパンが焼き上がり、とても満足いく結果となった。

おわりに

今回は、前回までの自家醸造の中で生まれた副産物からパンを作り上げた。

今回初めてのパン作りだったが、こねる作業で意外と結構全身を使い、ちょっといい運動になった気がする。昨今は、世間的に家に引きこもらざるを得ない状態が続いているので、自宅でできるちょっとした趣味としても結構良いかも知れないと感じた。

あと、パンもビールも、歴史を調べるとお互いに深いつながりがあるらしい。なんでも古代バビロニアのシュメール人はパンからビールを作っていたという記録なども残っているとか。とすると、今回私はシュメール人が古代に行っていたことの逆をやったという事になる。そう思うと、人類の発酵の歴史を感じることができて何だか感慨深い。

ひとまず、先々週から二次発酵しているノンアルコールビールがそろそろ完成するはずなので、またそちらの方もレポートをあげたい。

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