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どんなに優れたAI技術も、社会に定着させられなければ意味はない。DeepXのPMが果たす役割┃プロジェクトマネージャー:後藤雅典

イノベーティブなDeepXの事業に必要なのは、個々のエンジニアの高い技術力だけではありません。革新的な技術を、多くの方に使い続けてもらえる形で世の中に出していくためには、目標に向けてチームを率いるプロジェクトマネージャー(以下PM)の存在が不可欠です。

今回のインタビューには、その重要な役割を担うPMが初登場。前職時代からプロジェクトマネジメントの経験豊富なベテランPM後藤雅典に、「技術を社会に出していく」フェーズに入ったDeepXで見据える未来について聞きました“クライアントが抱える課題の本質を探る”面白さとは?チームマネジメントにおいて大事なこととは?新技術を使ったプロジェクト運営に興味のある方、必見です!

これまでの自分を超える挑戦。40代でベンチャー企業に飛び込んだ理由

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――前職では、どのようなお仕事をされていたのでしょうか?

紙幣や硬貨の処理を自動化する貨幣処理機のメーカーで、画像認識技術の研究開発に従事していました。業務を通じて、画像認識だけでなく、CPUなどハードウェアのアーキテクチャの理解も深めてきましたね。紙幣に新しい仕様が入ると、それに合わせたセンサーの開発まですることもありました。

また、現金の取扱量が減少していくという予測に沿って、画像認識技術を用いた新規事業創出プロジェクトにも携わりました。市場調査や提案書の作成はもちろん、自らカメラを担いで取引先に出向いて、提案するシステムのデモを見ていただいたり、コンペにも参加したり……幅広い仕事を経験してきました。

――その幅広い業務で多忙な中、会社員として働きながら、大学院にも進学されたんですよね。

はい。プロジェクトマネジメントの経験を重ねる中、周囲にアドバイスする立場の者として、既存の技術に関する一段深い知識や最新の研究動向を学ぶ必要性を感じたのです。

研究開発プロジェクトでは、技術的アプローチがいくつかある中、間違った選択をしてしまうと、何ヵ月もかけても全く成果が出ない状況が起こり得るんですよね。そうした問題が発生しないように、これまで業務で得てきた知識を整理し直すと同時に、新たな知識を身に付けて、社内で有効活用していきたいと考えるようになりました。

博士課程での研究テーマは基礎研究に近いものだったのですが、後に仕事に活用できた部分もあって、とても実り多い経験でした。

――そんな中、転職を決めたのはどのような思いからだったのでしょう?

前職では、技術企画において「一度掲げた開発計画に対して、失敗しないこと」が最優先になる傾向があったんです。そのためにどうしても「自分のスキルの範囲内でなんとかできそうな企画」にとどまりがちで……自分の経験を活かしながら、よりチャレンジングな環境で働ける場を探し始め、DeepXという会社を知ったんです。

――これまでと大きく環境が変わる転職だったと思いますが、ためらいはなかったのでしょうか?

前の職場には13年半もいたので、正直思い切った転職でした(笑)。まさか自分が40代でベンチャーに転職するとは思っていなかったですし。

でも、自分が事業を創ってきた経験を活かして、世の中でも盛り上がりを見せているAI分野にチャレンジするには、またとないチャンスだと思ったんですよね。自分が入社することで、開発された技術の製品化までのステップを、さらに加速できると感じたんです。会社の成長に貢献できる可能性の高さが、大きな判断ポイントになりました。

DeepXのPMは、円滑にプロジェクトを成立させる要

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――現在の仕事内容について教えてください。

私は複数の認識・制御技術開発プロジェクトを担当し、実際の開発以外はなんでもやっていますが、PMとしてのメインの役割は「クライアントとのコミュニケーション」と「チームの開発マネジメント」の2つです。

クライアントに向き合う部分として、プロジェクト初期段階には営業的な要素もありますね。話が具体化してきた段階で、何を自動化するのかを明確にして、「こういうシステムを組みましょう」という提案に繋げていきます。

この提案段階では、自動化のプロとして、言われたことをそのまま実現しようとするのではなく、その裏に隠れた「本当に必要な要素」の見極めを大切にしています。
当初クライアント側に伺ったリクエストとは違うものを「実はこのほうが役に立つのでは?」と提案し、採用していただいたときには、この仕事をしていてよかったと思いますね。

また、そういった提案のプロセスとして、机上の空論にしないために「現場に行って、クライアントと一緒に汗をかき、機械の実物や実際の作業を見たうえで考える」意識が強いのは、当社の特徴だと思います。本当に必要なものは、現場に行かないとわからないことも多いんですよね。

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当社の場合、一般的なシステム開発と比べて、「どう作ればうまくいくのか」が明確になっていないところからスタートするプロジェクトが多いのも特徴。その道筋を検討しながらプロジェクトを円滑に進めるのも、PMの重要な仕事です。

DeepXには馬力のあるエンジニアが揃っていますが、その力を最大限に活かしていくには、「こういうアプローチにしよう」と開発の方向性をしっかり調整することが必要です。ですから常に「何をゴールとして開発するのか」がブレないように、気を配って進行しています。

それ以外にも、プロジェクトを進めるにあたって必要な仕事も幅広く行っています。具体的に言うと、開発した技術を載せるハードウェアの準備や、エンジニアへのタスク割当、コードレビューやテスト項目の立案なども私の担当です。

――ちなみに、開発の方向性がブレてしまうと、どんな事が起こるんでしょう?

想定していた性能まで高められない、90%の性能が出てほしいのに、80%までしか出ない、というようなことがあり得ます。あるいは、「作ったけど、これで目標達成できるんだっけ?実は他にやるべきことがあったのでは?」という状態も考えられますね。

そのためにも、全てが完成してから性能を試すのではなく、アジャイル的に開発を進行していて、途中経過を見ながらアプローチを変えるなどの手法も取っています。

――ハードウェアが存在しているプロジェクトでのアジャイル開発は珍しいですよね。どのように行っているのでしょうか?

確かに想像がつかないかもしれませんね(笑)。一気に複数のシステムを連携させて動かすと、どこがボトルネックになっているかわからないので、小さなコンポーネントに分けて開発進行しています。

そうすると、「こういう入力があった時に、こう動作している」と明らかになった段階で、すぐ問題に気づけるので。例えば、5個のコンポーネントに分けて、想定している動作ができているかを確認しながら、それぞれのパフォーマンスをレベルアップしていく形で開発スケジュールを組んでいきます。問題が起きたときも、早めに気づいて別のアプローチを取れるようにしているんです。

“安全に失敗できる”環境を整えてメンバーを成長させる

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――若いメンバーや海外出身のメンバーが多い環境で、苦労されている点はありますか?

特に無いですね。強いて言えば、雑談中にボケても誰も突っ込んでくれないことくらいでしょうか(笑)。バリバリ開発を進めてくれるメンバーが多いので、マネジメントをする立場としては、とてもやりやすいですよ。

――後藤さんはマネジメント層でもありますが、チーム運営やメンバー育成面で意識していることはありますか?

ティーチングとコーチングを分けることは意識しています。知識として知っていればいいことは手短に伝えたほうがいい。でもその一方で、自分で体験しないとわからない部分もあるので、そこは失敗しながらでも学んでもらいたいなと。

私は「安全に失敗できる環境」という言葉を使っているのですが、リカバリーできる状態を作った上で、メンバーにチャレンジングな課題を任せ、自分で体験して学ぶチャンスを得られるようにしています。

現場から、「なくてはならない」と言われる仕事をしたい

――前職の経験はどんな部分で活かせていますか?

特に役立っているのは、技術の製品化に関する知見の面ですね。技術を作るだけでは売れない、という事実はやはり存在していて。だからこそ、他の技術との連携や、現場導入後の実際の使われ方に適した工夫を考える事が必要になります。その知見は前職で得たものが大きいですね。

――今後、どんな人と一緒に働いていきたいですか?

製品のカテゴリに関わらず、「何らかの技術を製品化して販売する」フェーズの経験を持っているPMの方に、是非ジョインしてほしいと思っています。

開発された技術が世の中で使われる段階に至るまでには、いくつものハードルがあり、PMがそれを事前に把握して開発を進められるかどうかで、開発効率が大きく変わります。他の機器との組み合わせや実際のユースケースを想定し、起こり得る問題を先回りして考えてきた経験をお持ちの方に、DeepXで存分にそのスキルを活かしていただきたいですね。

高い技術と馬力のあるエンジニアに加え、これからの事業拡大にあたっては、その「新技術を世に出す」力を持った仲間と一緒に、開発や製品化の部分を強化していきたいです。

――最後に、後藤さんがDeepXの技術で起こしたい革新について教えてください。

近い将来、生産現場で「昔は人がやっていた作業だけど、今となってはこれがないと仕事にならないよね」と言われるような装置を、一つでも多く世の中に生み出していければと思っています!


<インタビュー後記>
「転職前には、正直めちゃくちゃ迷いました。でもそれ以上に、やってみたかった。事業を創ってきた経験をAI分野で活かすならここだ、と思って」と入社前を振り返った後藤さん。その言葉の端々に、「挑戦してみてよかった」という想いが伝わってきました。

インタビューに備えて詳細な解答を用意してくださっていたところも、事前準備に抜かりがないPMの鑑……!メンバーの目標となる存在です。

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