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はじめてのウイルス第3章 日本独特の「水神話」のおはなし

新型コロナウイルスの流行・第3波が来ているというニュースが軒並み起きている今日この頃。

と同時に、今年はインフルエンザの感染者が例年の1000分の一というニュースが出てきました。

原因は間違いなく、感染予防の意識が上がったこと。それに伴いみんなしっかり手を洗っていること。

同時に「普段どれだけ手洗ってなかったんだよ」という医療関係者からのツッコミがあったとかなかったとか。

「基本は奥義なり」ですね。矢部亮です。


さて、石けんでの手洗い、洗剤での清掃の重要性を講習でも普段でも説いているわけですが、石けんはともかく洗剤は中々使用率は上がりません。

特定の成分が入った台所用洗剤はコロナに効くと発表があった時もドラッグストアからは消えず、逆に「効くんじゃない?」と確定な情報ではなかったイソ〇ンが一瞬にして姿を消しました。

イソ〇ンは「殺菌効果があるから」これも間違いないでしょう。

しかし、それよりも根本の理由があります。


はじめてのウイルス第3章  日本独特の「水神話」のおはなし


日本では石けんが一般で使われるようになっておよそ100年。昔は大名の献上品とかで使用されていた高級品ですが、欧米に比べ意外と歴史は浅いのです。

では一人あたりの年間使用量はというと、欧米とほぼ変わりません。シャンプーも使用量はほぼ同じ。日本人が綺麗好きお風呂好きである象徴ともいえるでしょう。

では洗剤はというと、年間使用量は欧米の3分の1程度なのです。これくらい、洗剤というのは使われません。

何故か。

まず1つ目は、日本は世界でも有数に水がキレイであること。

なので元々の水の力が強い、と言ってもいいかもしれません。

この水の力が強い、というイメージが、少々の汚れも綺麗にしてくれる、というイメージにつながっています。

そして2つ目。はじめてのウイルス第1章でご説明したのですが、汚れの8割は通常の水で落ちます。

で、日本は下足の文化(海外では室内でも靴を履く)であること、風呂にものすごく入ること、人に気軽に触れないことも相俟って、基本的に綺麗なのです。

基本キレイなところが8割落ちた状態と、あまりキレイではないところが8割落ちた状態では残っている汚れの量が違うのです。

なので、海外では洗剤を使わないという感覚がそもそもないのです。だって水だけだと汚いから。

そして3つ目。

これ、文化の話になるのですが、日本は水に関する様々な神話があります。水に囲まれている国だからというのもあるのでしょうね。

だから、「水=神聖なもの」として、水が汚れることを極端に嫌います。


公害問題でも、「空気が汚れる」よりも「赤潮」や「川の水が汚れる」という話に対してナーバスになる人が少なくないように、「水が汚れる」というだけでかなり敏感になります。

水が汚れる、つまり「水に何かを混ぜる」というのも根本好きではないのです。

台所でちょっとした汚れのとき、「ま、水でなんとか落ちるでしょ」といって洗剤などを使わず、

石鹸で手洗いをしなくても、「ま、水で綺麗になるでしょ」という感覚で石鹸を使わず。

この、水の綺麗さにに頼る習慣が、そもそも洗剤を使わない理由の一つだったりします。


感染防止の勉強をしていると、その国の歴史、文化について勉強しなければならないことは非常に多いです。

例えば、日本人は世界に比べて手を洗うのが当たり前である理由の1つは、

「生ものを食べる文化があり、手を洗わず食中毒を起こしている経験がある」

「手を洗って生ものを調理すると食中毒が起きにくい、なるほどこれが原因か!」

となった歴史があります。

今は石鹸・洗剤を使って清掃をするのを文化として根付かせる時代。

皆様改めて、石鹸を使って手洗いを。乗り越えていきましょう。

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