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資格があるんだって(仮)序章7

Aが分けもわからず、実験実習を始めて4月の後半に、YがC大のD研に現れた。スーツ姿で。
あのダサい小学生男子服とは別人のようだった。

Yは教授達にも可愛がられていて、逆に先輩には疎まれているようだった。YはAのそばに来て「どう、難しい?」「私の頭ではついていけないですよ、難しいとかのレベルじゃないくて、言語が違うかのようにわかんないですよー」Yは「あーこれ教えてあげるよ。」と分析機の使い方を教えてくれた。「一回じゃ覚えられないし、化学の知識がついてこないから理解不能ですよ。」「まあまあ、卒業できればいいんでしょ、なんとかなるよ。」そんな会話をして、Yの就職先で作っているシャンプーをたくさんくれて、「今度どこか行こうよ!」と言われた。Aはなんだか優しくされた気がして、少し嬉しく思った。「予定が合えば。」と答えた。それからYと、動物園や、みなとみらい公園など2回ほど出かけた。もちろん私服はひどくダサかった。
彼女が、コーデしたら、格好良く見えるのでは?とか考えたりして。
Yから直接の告白はなかった。しかしAは告白されたら付き合っても良いかなあ、なんて思いはじめていた。それから、Yの誕生日が近づいた、Aは薔薇一輪もらってるし、もしかして付き合うかもなんて思っているもんだから、Yに何がほしいか聞いてみた。
会社の机におく、卓上カレンダーでと、スリッパと言われた。Aはそれを用意してYの誕生日後の休みの日に、Yの最寄りまで渡しに行った。Yは「ありがとう!こうゆうの欲しかったんだよ。」と喜んだ、「送りがてら、ご飯でも食べよう」と言われ、あの真っ赤なスポーツカーに乗った。
この車は父親の物だと言っていた、今日もひどくダサイ服を着ていた。日が沈みかけた高速道路のような道を走っていた。「ご飯どこで食べるの?」Yは、「うんー?」と考えてくれているような素振り、Aは私、今日告られるな、そうしたら、初彼氏か、そんなまだ好きじゃないけど、まず付き合ってみないと、もう22だからなぁと考えていた。
気がつくと

あれっ、何度もこの道通ったんじやないか?

さっきと景色がまた一緒、あれ、
「道わかんなくなった?」

Yは「入っていい?」と言い、、急にハンドルを右に切った。

Aは  なに?どこに入るの?ポカーン、

ビニールカーテンのぶら下がった駐車場に、車は入っていった。

Aはやっとここってラブホ?ドキドキと心拍数が上がり声が出ない。足が震えてきた。

つづく

読んで頂きありがとうございます。
今日も明日も素適な一日を!

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