見出し画像

16歳半ば

映画を観た帰り。

いま人気の映画、『余命10年』を観てきた。幾つもの感極まるシーンがあって、その度に涙を流してしまった。「生きたい」と「死にたい」の狭間で闘っている彼女を見て何度も泣いてしまった。3月という、別れと出会いの季節にこの映画を観れて良かったと思う。自分が少し前向きになれた気がした。隣に座っている人と腕が掠りそうな程に窮屈な座席に座り、啜り泣く声を耳に挟みながらの約2時間は自分と向き合わせてくれる時間だった。映画館を出た後に観る街並みはやっぱりいつもと何か違う気がするのも、映画を映画館で見る良さのひとつだと思う。


私は早く大人になりたかった。子供でも大人でもない時期の高校生という時間は、私にとっては苦痛だと思っていた。だから、無意識の間に私は、少し背伸びをして生きていたのだと思う。だけどもう、そんなことも必要ない。ちゃんと足のうらを地に着けて歩く。背伸びをするのは、揺られる電車に乗っている時に吊革に捕まることくらいで充分だ。だからちゃんと、16歳を生きて、17歳も生きて、18歳も生きるのだ。

貴重な高校生という時間は、そう長くは続かない。人生が80年としたらその内のたったの3年ぽっちだ。だからと言って、明確な目標を持って生きたいとかそういう訳では無い。曖昧でもちゃんと生きていればいいと思う。明日が来るのを怖がらないで、人と関わるのを怖がらないで、受け入れて、消化していく。そうやって日々を積み重ねていきたい。そうしたらきっと、素敵な人間になれる筈。

今までついてきた数え切れない程の嘘と、頭がパンクしそうなほど溜め込んでいた悩みの数々は、きっと私を成長させてくれるはずだ。呑み込まれないように消化して、一歩一歩時々休みながら、前に進みたいと思う。

明日も明後日も、この先のわたしの未来も、晴れますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?