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起業家と共に挑戦を続け、地方都市におけるスタートアップエコシステムづくりに取り組むキャピタリスト

2018年4月にDEPPCOREへ参画し、現在キャピタリストとして活動する中島順也に、これまでのキャリアや現在の取り組み、投資先との関わり方についてインタビューしました。

<プロフィール>
中島 順也(Junya Nakajima)
DEEPCOREで創業期を含めたスタートアップの支援・投資業務、及び愛知県が運営するスタートアップ支援拠点STATION Aiで統括マネージャーを務める。ソフトバンク株式会社にて金融業・製造業・官公庁をはじめ様々な業界向けITコンサルティングおよびプロジェクト管理業務に従事した後、エンジニア部門の組織開発、ベトナム現地法人での品質管理業務を経て、2018年4月 DEEPCOREに参画。筑波大学大学院システム情報工学研究科修了。NEDO SSAフェロー。

スタートアップの挑戦を支えるキャピタリストへ転身

——中島さんはソフトバンクからDEEPCOREに移られたのですね。ソフトバンク時代はどういったお仕事をされていたのでしょうか?

ITコンサルとして法人向けのプロジェクトを推進したり、インフラエンジニアとしても働いていたりしました。業界を問わず様々な法人や官公庁の仕事に携わらせていただいた結果、業界毎の違いや特徴を勉強することができました。
だいたい10年ほど経った時、エンジニア部門の組織開発に携わりました。スキルアップや評価制度の改善など、人事企画系の業務についても経験しました。

その後、3ヶ月という短い期間ではあるのですが、トレーニーとしてベトナムの拠点に移り、現地エンジニアチームの品質管理業務に携わらせてもらいました。

——ベトナムへの異動はご自身で希望したのですか?

ちょうど昇格の話もあったのですが、「チャレンジさせてください」と自分からお願いしました。このまま年次を重ねたときのキャリアの目星がついてしまい、このまま進んでいいのか自分の中で少し迷いが生じたタイミングだったんです。英語は得意ではなかったのですが、これまで築いた人間関係や経験をゼロリセットして何かに取り組んでみたいと。
そういう環境でも必死で取り組めばなんとかなるもんだな、という経験ができたのは、今に生きていると感じています。

——そこからDEEPCOREにジョインした経緯を教えてください

帰国してから元々いた部署で結果的に昇進の機会をもらったのですが、ベトナムでチャレンジした経験がすごく頭に残っていました。そんな時、DEEPCOREにいる知人から話を聞く機会があって、スタートアップの挑戦を応援することや、優秀で多様性のあるチームで働く環境がとても魅力的に感じたんです。そこからジョブポスティング制度でDEEPCOREへの参画に立候補しました。

インキュベーション拠点のKERNELができたのが2018年8月で、その半年前くらいにジョインしています。当時汐留にあった小さな会議室でKERNELをどういう存在にしていくか、コンセプトからづくりから喧々諤々の議論をしたのを覚えています。

——ベトナムでの経験があるとはいえ、前職とはだいぶ違う環境でしたよね

当初携わっていたインキュベーション業務もそうでしたし、投資担当としても日々研鑽を積みながら取り組んでいます。

これまではエンジニアとしてリスクサイドをかなり気にしていました。事故が起きないように事前にしっかり検証して世に出すことを徹底していたのですが、キャピタリストとしてはリスクサイドばかり見ていたら投資できません。

爆発的に伸びる可能性がどれだけあるのか、アップサイドに軸足を置くようにアンラーニングしてきました。エンジニアとしての素養は強みにしつつ、そこに執着しないように投資家としてアップサイドを見るように心掛けています。

こういったことができるようになったのは、代表の仁木さんとCFOの雨宮さんの存在が大きいです。引き出しの数が多く、相談するとすぐに「ここを確認したほうがいい」など本質的なアドバイスをもらえます。新人のキャピタリストでも、とても成長しやすい環境だと思いますね。

——今、キャピタリストとしてどんなことを大切にしていますか?

起業家にとって時間は非常に重要なリソースです。その中で私との面談時間も捻出しているので、本当に価値のある時間にできるのかどうかを毎回意識しています。時には重要なアジェンダやアップデート、ディスカッションポイントがなければスキップする判断もあります。そうならないように私も事前準備を怠ることはありませんし、常に自分自身をアップデートしていく必要もあります。

あとは、アナログかもしれませんがオフラインの機会は重要だと考えています。

——起業家の元に足を運ぶことも多いんですね

担当している愛知県のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」にはなるべく毎週行くようにしていますし、投資担当をしている会社が佐渡ヶ島で実施したオフサイトに参加したこともありますね。

そのオフサイトは、社会人起業をした2人に加えてコアメンバーが増えるタイミングで、チームアップを主な目的とした場でした。
チームが打ち解けていく様子を目の当たりにしながら、私がどういうことを普段考えてるのかを話して相互理解を深めることもできて、以後のコミュニケーションがとても円滑になりました。濃い時間を過ごすことでお互いの価値観を確認する機会になるので、オフラインという場は大切にしたいですね。

他にも、チームの立て直しが必要な重要な局面に立ち会ったこともあって、その時は週に何回も何時間も会ってディスカッションすることもありました。伴走する立場だからこそ、起業家の目線や、思考のスピード感に合わせていく重要性を感じています。

スタートアップのエコシステムを各都市にも

——STATION Aiについても教えてください

STATION Aiは愛知県が策定した「Aichi-Startup 戦略」の一環として建設・準備を進めるスタートアップ支援の拠点です。2024年10月の施設開業を目指し、現在は準備拠点であるPRE-STATION Ai(インキュベーション拠点)の運営、ファンド事業などが行われていて、DEEPCOREは主にファンドの共同GPとして関わっています。

私自身は投資担当としてだけではなく、スタートアップ支援全体の責任者として愛知県におけるスタートアップのエコシステムづくりにも取り組むなど、深く関わっています。愛知県や名古屋大学等の後押しもあり愛知でも起業家が少しづつ増えてきていますが、まだAI領域で大きく成長して上場をするといった好事例は数少ないので、DEEPCOREで経験した起業家育成のノウハウを少しでも還元できたらと意気込んでいます。

——DEEPCOREはなぜこの事業に関わることにしたのでしょうか?

海外に目を向けると、都市ごとにスタートアップのエコシステムに違いがあって、大学や研究機関との繋がりも強い。国内でも、各都市の研究機関やアセットを持っている企業と研究開発型のスタートアップが組んで新しい産業を生み出していくのは、地域ごとの特色があって面白いと思っています。そのような観点から、各都市でエコシステムを作ることに意義があると考えているんです。

愛知県というと「ものづくり」のイメージを持たれる方が多いと思います。その中心となる自動車産業においては、ものづくりやそれに用いられる素材に関する様々な技術やプレイヤーが集積しています。その一方で、世界的なEVシフトによる大きな地殻変動が起きています。スタートアップにとって「変化」は市場機会です。新しい技術やビジネスモデルをもって大きく成長されるスタートアップや、スタートアップとの共創により新たな事業機会を見出す事業会社様への支援を通じて、東海圏ならではの新しいスタートアップエコシステム構築に貢献したいと考えています。また、名古屋大学をはじめ技術シーズも多く、「Tongaliプロジェクト」を起点に起業家教育にも取り組まれているなど研究開発型ないしは大学発スタートアップが多く生まれてきています。

このような理由から、起業家育成の場として、またソーシングのチャネル拡大の観点でDEEPCOREが関わる意義がありました。

スタートアップエコシステムの構築と成果の結実にはある程度時間がかかりますが、腰を据えて、長期的な目線で成功できるように取り組んでいきたいです。

▼採用情報
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