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詩『副作用』

希望の錠剤を過剰摂取して興奮状態に突入したら、
感覚器官を縛るたがを引き裂いて晩餐饗宴の始まりだ。
燕尾服には発泡酒の残り香  靴下の中指の穴から油混じりの砂、
充電中の携帯端末に降り積もる着信拒否の記録。

関係ない で中途半端に刃を振り翳した糸電話の生命線、
未曾有の災厄や天変地異を待つ腐敗した密室。

絶望の錠剤を過剰摂取して鎮静状態に陥ったら、
精神機関に宿る夢に酔い痴れて入眠幻覚のお祭りだ。
流し台には麦酒の残り香  暴れる親知らずが妨害する言葉、
蓄積済みの文庫本を彩る自家製の栞の数々。

退屈で刺激不足な腑抜けし現し世に
副作用の微睡みを手放せずにいる。

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