マシーナリーとも子の一次創作力について


どうも、深井業です。
今回は再びマシーナリーとも子のお話です。

マシーナリーとも子についてはこちら。


まずはスシを読め

ドスドスドス!スシシスターハンター読んだ!?(ハンバーガー構文)

いやぁ、凄かった。
設定やら何やらはいろいろツッコミどころ満載なんだけど、うまいこと納得させるようなロジックの組み方や絵面の勢いの良さがあってとても面白い。読み切りにするには惜しいクオリティである。正直連載してほしいけど、本業もあるし腰も心配だしな…って気持ちで揺らいでいる。

今回のこの記事では、スシシスターハンターからマシーナリーとも子に興味を持った人のために、マシーナリーとも子の一次創作を紹介しつつ魅力を語っていく。

①マシーナリーとも子の動画と外伝小説

そもそも、マシーナリーとも子という存在自体、一次創作物としてのインパクトが強すぎる。マニ車を回して徳を生成しそれを原動力とする殺人サイボーグだ。何食ったらこんなアイデアが思いつくのか。マシーナリースープか。最近食ってなさそうだけど。

コンテンツとしてのマシーナリーとも子は、YouTubeチャンネルにて投稿されている本編動画のほかに、note、pixiv fanboxに掲載されている外伝小説、pixiv fanboxでとも子に課金することで読めるオリジナルコミックがある。

マシーナリーとも子コンテンツの最も斬新で革新的なところは、リアルの出来事がコンテンツの展開に影響を与えるという点だろう。
例えば、第69話。第8回総選挙の結果に一喜一憂するサイボーグ諸氏。その影で新たな野望が萌芽し、やがてそれはワニツバメに繋がっていくのである。
あるいは、マシーナリーとも子EXの「ゴミと鋸の戦い」。作業机を新調したので古いものを捨てるというただのチラ裏を、ネットリテラシーたか子との掛け合いをプラスすることで一気に読み物へと昇華させているのだ。
虚構と現実の融合のさせ方が非常に上手く、トンデモ要素ばかりでありながらも説得力を持った作品ばかりである。

note、pixiv fanboxで連載中の外伝小説では、動画でお馴染みのあのキャラクターの過去やここにしか登場しないオリジナルキャラクターの活躍を見ることができる。シンギュラリティ池袋支部で奮闘するエアバースト吉村や動画には名前だけ登場しているドゥームズデイクロックゆずきなど、動画本編に負けないくらい個性的な面々の活躍を読むことができる。
動画は池袋晶葉やそれ以外の好きなものについて語る場になっているが、外伝小説は徳で動くサイボーグという設定を最大限活かしたSFチックな作品となっている。徳を生成する回転体(サイボーグにとっての心臓)のアイデアは、キャラクターの存在意義、行動原理や理念を示すものであるため、どのサイボーグも唯一無二の個性となるよう工夫が凝らされている。回転体を活かしたバトルは、ニンジャスレイヤー的な描写表現と相まって読者の想像力を掻き立てる刺激的な文章となっている。あと、動画ではあまりやっていない人類を蹂躙する様子なんかも描写されている。人類の命がとにかく軽い。非ネームドキャラは容赦なくネギトロにされるサイボーグ本来の恐ろしさや倫理観の違いが見れるのも魅力だ。
noteで無料公開、pixiv fanboxでマシーナリーとも子に課金すれば次の話を先行で読むことができる。noteではバックナンバーがいつでも読めるし、非常にボリュームがある。少なくとも一気読みしたら休日がお陀仏になること間違い無しだ。

コンテンツとしてのマシーナリーとも子を語る上で忘れてはいけないのが、マシーナリーとも子バースは池袋晶葉を中心に回っている、という点だ。
池袋晶葉の新情報が出たとあれば、そこまでのあらゆる展開をぶった切ってでも池袋晶葉の話を始めるのである。ある意味芯が通っていると言える。
池袋晶葉がマシーナリーとも子の世界に与える影響は凄まじく、今やマシーナリーとも子バースの命運は彼女が握っているといってもいいくらいだ。

2045年までに池袋晶葉に声がつかなければマシーナリーとも子の世界は消滅する、というところまできている。それほどまでにマシーナリーとも子バースにおける池袋晶葉の存在意義は大きいのだ。

今後の池袋晶葉次第でどう転ぶかわからないのがマシーナリーとも子だが、総選挙で池袋晶葉を応援することで今後どうなるかを視聴者が動かすことができる。選択によってマシーナリーとも子の世界を自由に変えることができるのだ。まさにSFである。
君も票田になって、マシーナリーとも子の未来を変えよう!

②車と竜人のこども(カードラゴニュートちゃん)

読んで字の如し、車とドラゴニュート(ドラゴンと人間のハーフ)のこどものこと。
主人公のユン・ムーちゃんは車と竜人の子どもという複雑で面倒な家系図にコンプレックスをもっており、家族に対しこんな面倒くさい家系図は私で終わらせると宣言する。しかしそれは、「同じ境遇のカードラゴニュートを見つけなければならない」ということであった。果たしてユン・ムーちゃんは運命の相手と出会えるのか?

ちょっと何言ってるかわからない、という人のために解説すると、元ネタはドラゴンカーセックスという海外のアダルトスラングである。(気になる人は自己責任で調べてみよう。)所謂特殊性癖のなかでも非常に有名なものの一つで、しかしそれ故に笑いものにされやすいものの一つでもある。自分のオカズがギャグとして消費されたら悲しいだろ…。

しかし、カードラゴニュートにはそんな嫌味ったらしさやバカにしてやろうという意図は微塵もない。
理由は簡単。彼女は自分がカードラゴニュートである事に誇りを持って生きているからである。走ることが好きで、好きなことで誰かのためになるのがとても嬉しい。複雑な家系図がイヤなだけで、自分が非常に特殊な生命体であることがイヤというわけではない。むしろ、特別な自分というものを愛しており、自分と自分が出来ることにとても肯定的なのだ。カードラゴニュートの自分が好きだからこそ、家系図が複雑であることかイヤで、伴侶として同じカードラゴニュートを求めているのである。
本作はそういった観点で描かれているので、不快感は一切なくさわやかな気分で読めるハートフルなコメディ作品となっている。あと若干の百合要素もある(重要)。

デザインはトランスフォーマーよろしく車の前部が胸部に、ドアやタイヤは肩やかかとにくるように配置されている。マシーナリーとも子は池袋晶葉以外にもトランスフォーマー(特にレーザーウェーブ)が好きで、彼女の趣味の領域がデザインのエッセンスとして程よく効いている。発想は突飛だがカタチにすると妙にしっくりくる感じになる、とも子のデザイン力の高さが伺える。

かわいい。

③スシシスターハンター

現在5話が公開中。読切分は完結、そしてなんとジャンプ+で連載決定!
(以下若干のネタバレを含みます。ご注意ください。)

「イモータルやアンデッドには銀が有効である。ということは、銀シャリで吸血鬼を倒せるんじゃね?」というノリ(恐らく)から生まれた作品。

生まれはただの言葉遊びだが、読者を納得させるためのロジックの組み方が非常に上手い。日本人の食べ物への執着の強さ(即ち食べ物への信仰心)を利用した除霊方法といった吸血鬼への対処法や、十字をきるように酢飯を混ぜる、鉄砲巻の由来などのような寿司に関する知識など、寿司を起点としたときのアプローチが様々で、どれも何となく「そうかもしれない…」という妙な納得感、収まりの良さというものがある。ジョジョにおけるスタンド能力の解釈と応用というよりは、キン肉マンでいうウォーズマン理論に近いものがあるが、瞬間的な盛り上がりという点ではマシとも本編やカードラゴニュートに勝るのではないかと考えている。

作品を構成する要素はトンデモばかりだが、展開は王道な少年マンガなところも魅力と言えよう。大きな脅威に相対したときの立ち回りや勝てるのか!?といったドキドキ感、あるいは登場人物の葛藤や決断といったところは実に少年マンガ的でジャンプらしい作風かもしれない(ジャンプ読んでないから詳しいことはわからん)。
特に、2話にして身内との死合いというカードをきってきたところは非常に大きい。そもそものことの発端が「忙しさ故に面倒を見てやれなかった」というのがまた無情で、筆者はあまりのやるせなさに苦しくなってしまった。それでも、脅威である以上自らの手で終わらせなければならないという決断の重さとそれを実行する意志の強さには心を動かされてしまった。

2話にしてかなり重厚な物語が展開されている。今後にも非常に期待が持てる作品だ。

おわりに

マシーナリーとも子の作品はどれもクセが強いが、気づいたらのめり込んでいた、という不思議な魅力がある。残念ながら筆者の文章力が足りていないため簡潔すぎる紹介となったが、これを見て興味を持っていただけたなら幸いである。
ある程度定期的に更新されており、また一つ一つが結構ボリュームがあるので、物足りなさを感じることやエターナる心配はないと思う。

みんなもマシーナリーとも子のコンテンツを摂取してシンギュラリティの深淵に触れてみよう。
シンギュラリティはあなたを覗いている。

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